特別企画

Profoto Clicに3つの新アクセサリー「バーンドア」「スヌート」「OCF アダプター II」が登場!

機動力を生かして屋外ロケで使ってみた

世界的なフラッシュメーカーProfotoから新たに3つのClicライトシェーピングツール(以下Clicシリーズ)が発売になった。それがClic スヌート、Clic バーンドア、Clic OCF アダプターIIの3製品である。

Clicシリーズは、カメラへの着脱が可能なクリップオンタイプのProfoto A10(以下A10)や先日発売されたコンパクトなモノライトProfoto A2(以下A2)などのProfoto Aシリーズ向けに開発されたアクセサリーだ。マグネット式による着脱で、手早くセットできるのも大きな特徴だ。

Profoto A10
Profoto A2

現在、Profotoはロケ撮影にも人気のあるこうしたAシリーズフラッシュ向けのアクセサリーの拡充に力を入れている。これまでもワンタッチで開閉できるオクタ型のソフトボックスやグリッド、カラーフィルターなどをClicシリーズとして発売してきた。

さらに今回3製品が新たに投入されたことで、より気軽に本格的なライティングパターンがAシリーズフラッシュで試せるようになった。

今回はこれらの新製品をポートレートの屋外ロケで使用した。それぞれの特徴と、効果的な使い方をレビューしていく。

正確に光をコントロールできるClic バーンドア

バーンドアは4枚の黒板(バーンドア)をそれぞれ調整することで、光の広がり方を細かくコントロールできるアクセサリーだ。絞ってスポットライトのように使ったり、特定部分にのみ光を照射したりできる。メインライトとして使うこともあるが、フィルインライト(補助光)としても非常に重宝するアクセサリーだ。ポートレートだけでなく、物撮りなどでもよく用いられる。

Clic バーンドアは4枚の黒板のうち2枚が三角形の形状を採用し、黒板を閉じた際の光の拡散を最小限に抑える仕様になっている。自由に360度回転できるのもポイントだ。黒板の開閉と合わせ、より自分好みに照射範囲をコントロールできる。マグネット式なのでワンタッチで取り付けできる。非常に直感的にセットできてストレスがない。また、「Clic グリッド」や「Clic カラーフィルター」との併用も可能だ。

Clic バーンドア+A10
Clic バーンドア+A2
付属の保護ケースもシックなデザインでかっこいい。このあたりのこだわりもProfotoらしい

これまでバーンドアは、クリップオンタイプのA10であれば、OCFバーンドアで対応できたが、別途OCFアダプターが必要でセットに時間がかかった。

外径寸法は11.3×2.8×11.3cmで、重さは0.12kg。非常に軽くて携帯性にも優れている。付属の保護ケースに入れて気軽に持ち運べる。

Clic バーンドアでリムライトをつくる

雲が多く、全体的にフラットな光源の下で撮影。A2を2灯使ってライティングした。

メインライトはモデルに向けて左前方高い位置から直当て。もう1灯はClic バーンドアを付けて右側面から照射した。

バーンドアは縦スリット状に調整。右側面からリムライトをつくり、立体感を演出している。

リムライト自体はグリッドや後述するスヌートでも演出できるが、いずれも円形のスポットライトになる。非対称な光の広がりはバーンドアならではだ。

A2は直当てだが、生っぽくならないように、自然なトーンを意識しながら光量や角度を決めてライティングした。自然光をベースにしたカットになっている。

完成カット
A2+A2(Clic バーンドア装着)
EOS R6/EF24-70mm F2.8L II USM/F2.8/1/200秒/ISO100

右下の作例はClic バーンドアを外し、右側面の1灯も直当てにしたもの。つまり直当て2灯だ。バーンドアがないと、かなり強い光が広範囲にモデルを照射することがわかる。この照射範囲を上下左右で個別に調整できるのがバーンドアの魅力だ。

自然光のみ
直当て2灯

Clic バーンドアで非対称に拡散する

続いて、暗所のシーンでライティングを組み立てる。右からClic バーンドアで手前の壁と体の一部にだけ光を照射。暗くなるモデルの表情は直径60cmの「Clic ソフトボックス オクタ型(ソフトグリッド付き)」で左から明るく起こした。ソフトグリッドを付けたのは照射範囲を狭めて顔周りにだけ光を当てるためだ。

バーンドアで右の壁面だけに光を照射することもできるが、ここでは独特な立体感を演出するために、半身の一部にも光が当たるように黒板を調整している。こうした複雑なライティングもバーンドアを使えば1灯で演出できるのだ。

完成カット
A2(Clic ソフトボックス オクタ型を装着)+A2(Clic バーンドアを装着)
EOS R6/EF24-70mm F2.8L II USM/F11/1/200秒/ISO100

Clic バーンドアを外したカットも見てほしい。狭い空間だったため、壁を明るくしようとすると、人物に対しても光が広く拡散してしまう。バーンドアでこうした不要な漏れ光が簡単にカットできる。

Clic バーンドア1灯
直当て1灯

下の写真は撮影時のバーンドア。照射範囲はモデリングライトで照らし、目視で確認しながらライティングを調整した。

シャープなスポットライトがつくれるClic スヌート

スヌートは光を絞ってスポットライトを演出できるアクセサリーだ。バーンドア同様、フィルインライト、アクセントライトとしてよく用いられる。Clic スヌートもマグネット式なのでワンタッチで取り付けできる。また、「Clic グリッド」や「Clic カラーフィルター」と重ね付けして併用も可能だ。

外径寸法は10×9.2×10cmで、重さは0.12kg。Clic バーンドア同様、コンパクトで携帯しやすい。スヌートもクリップオンタイプのA10であれば、OCFスヌートで対応できた。しかし、やはりOCFアダプターが別に必要だった。Clic シリーズが出たことで、持ち運びやすさと機動力が格段に増した。

Clic スヌート+A10
Clic スヌート+A2
付属の保護ケースに入れて持ち運べる

なお、Clic グリッドも似た効果を持つが、こちらは減光が緩やかに進むアクセサリーで、度数(網目の細かさ)によって光の拡散範囲が変わる。対してスヌートの場合、ハイライトの輪郭がシャープですっきりとしたスポットライトになるのが特徴的だ。

スヌートとグリッドの比較

Clic スヌートとClic グリッドを同じ距離(60cm)から照射した。

Clic スヌート
Clic グリッド10度
Clic グリッド20度

スヌートのほうがスポットライトの輪郭がはっきりしている。グリッドは度数が大きくなるほど、照射範囲が広くなる。

なおClic スヌート利用時はモデリングライトがあまり参考にならないので注意したい。これはモデリングライトが中心より下に配置されているためだ。Clic スヌート使用時は、テスト発光ボタンで実際の照射位置を確認するほうがいいようだ。

Clic スヌートでトップライトを演出する

ではClic スヌートで実際に撮影してみよう。

まず、シンプルに A2にスヌートを取り付けた 1灯でライティングしてみた。スタンドに取り付け、手持ちで頭上に配置。コンパクトサイズなので、こうしたセットアップも楽々行える。

ここではトップやや手前から照射した。影が下に伸びるドラマチックなトップライトの特徴を生かしつつも、少し手前から狙うことで表情を明るく浮き上がらせていく。近めから照射しているのもポイントだ。

顔周辺にのみ光を当て、スポット効果を強調している。スヌートらしいシャープな陰影で被写体がとらえられた。

A2(Clic スヌートを装着)1灯
EOS R6/EF24-70mm F2.8L II USM/F2.8/1/2,000秒/ISO100
自然光のみ

光の広がり方が異なる3灯でライティング

次はスヌート、グリッド、直当てと異なる照射範囲の3光源を用いて、3灯ライティングに挑戦してみた。

メインライトはClic スヌートを付けたA2。モデルの上半身のみを明るくするイメージで左前方から照射した。

そして、フィルインライトとして「Clic グリッド(20度)」と「Clic カラーフィルター(ピーコックブルー)」を重ね付けしたA2を右サイドから照射。体の右側面に淡い青色を加えた。

最後は背後に向けて、「Clic カラーフィルター(ピンク)」付きのA10を照射。グリッドは付けず、広い範囲にピンク色を加えた。特段珍しいロケーションではないが、スヌートならではの硬い光とカラーフィルター効果で非現実的な空間に仕上がった。

3灯による完成カット
EOS R6/EF24-70mm F2.8L II USM/F10/1/200秒/ISO100
メインライトとバックライトのみ
メインライトのみ
自然光のみ

マグネット式で利便性が増したClic OCF アダプターII

Clic OCF アダプターIIはOCFシリーズのアタッチメント(OCFソフトボックスやOCFビューティーディッシュなど)をAシリーズのライトでも利用できるようにするためのアダプターだ。

アンブレラホルダーを備えたスタンドアダプターとセットになっているため、このアダプターを使えば各種アンブレラを装着することも可能になる。

Clic OCF アダプターII+A10
Clic OCF アダプターII+A2
Clic OCF アダプターII+アンブレラホワイトM
Clic OCF アダプターII+OCFソフトボックスオクタ型(60cm)
付属の保護ケースに入れて持ち運べる。

Clic OCF アダプターIIはその名の通りII型で、I型が存在する。A10のようなクリップオンタイプに対応するもので、モノブロックタイプのA2には対応しない。

下の写真は左がClic OCF アダプターIIで、右がI型の「OCFアダプター」。従来品はA10のようなクリップオンタイプに対応。ホットシューを固定して取り付ける。

左からClic OCF アダプターII、OCFアダプター

Clic OCF アダプターIIの大きな特徴は接着部にマグネット式メタルリングを採用していることだ。A10やA2がワンタッチで簡単に装着できてしまう。

アンブレラがより光軸寄りに配置される設計なのもポイント。アンブレラそのものの持ち味がより発揮されるアダプターとなっている。

アンブレラ使用時にモデリングライトを点灯し、ホットスポットの位置を比較してみた。左がClic OCF アダプターIIで、右が「OCFアダプター」。従来品はアンブレラホルダーの穴の位置が発光部から離れているため、どうしても照射がやや上向きになる。ただ、ライトの照射角度を下向きにすると、中央寄りにもう少し修正できる。

左からClic OCF アダプターII、OCFアダプター

また、「Clic グリッド」や「Clic カラーフィルター」などのClicシリーズのアクセサリーもメタルリングに装着し組み合わせて利用できるのもメリットだ。

「Clic カラーフィルター(ピンク)」を装着した例。このようにClicシリーズのアクセアリーも取り付けできる。

Clic OCF アダプターII+OCFソフトソフトボックスで撮る

ここではOCF ソフトボックス ストリップ型(30×90cm)をClic OCF アダプターIIに装着してみた。

2つのA2による2灯構成で、もう1灯は直径60cmのClic ソフトボックス オクタ型を使用。被写体正面から上下にライトを配置するクラムシェルライティングを行なった。このライティングは人肌を美しく魅せるのが特徴。そこから発展させて、上下に挟むだけでなく左右で挟んだり、3灯にしたり、さまざまなライティングの可能性を試してみる。

形状の異なるソフトボックスを2灯使っているのは、目の中のキャッチライトに変化をつくるため。ちょうど日の沈む頃合いで、背景の様子と相まってドラマチックな描写になった。

2灯による完成カット
EOS R6/EF100mm F2.8L マクロ IS USM/F2.8/1/1000秒/ISO100
Clic ソフトボックス オクタ型のみ
OCF ソフトボックス ストリップ型のみ
自然光のみ

Clic OCF アダプターII+アンブレラで撮る

日の沈んだ後の海辺と空を背景に、アンブレラホワイトM(直径105cm)をClic OCF アダプターIIに装着し、A10の1灯ライティングでシンプルに撮影した。

アンブレラの中央付近でしっかりライトを照射できるため、本来の光の広がり方で撮影できる。この安心感は、撮影への集中力を高めてくれるはずだ。

ここではマグネット式のClic OCF アダプターIIの強みを生かし、Clic カラーフィルター(ハーフCTO)をアダプターに装着。カメラ側の色温度の数値を4000Kに変更して撮影した。空と海の青みを強調しながら、青白くなる肌色をアンバー系のカラーフィルターで温かみのある色合いに戻している。

完成カット
EOS R6/EF24-70mm F2.8L II USM/F2.8/1/800秒/ISO100/Clic カラーフィルター(ハーフCTO)使用/色温度:4000K
カラーフィルターなし/5300Kで通常撮影
自然光のみ

まとめ

今回Clic バーンドアとClic スヌートがClicシリーズに加わったことで、さらにAシリーズによるライティングシステムの強度が増した。光の硬さややわらかさだけでなく、その照射範囲のコントロールにまでバリエーションが広がったのは非常に大きい。小型軽量なので常に携帯でき、いざというときに備えられるアイテムでもある。ケースも洒落ていて魅力的だ。

マグネット式のClic OCF アダプターIIは、機動力の高いClicシリーズやOCFシリーズ、アンブレラの持ち味をより引き出して高めてくれるアイテムと言える。Aシリーズのライトにとって欠かすことのできない相棒となるだろう。

携帯性に優れたアイテムほど、セッティングを素早く、直感的に行いたくなる。今回使ったアイテムは新製品を含め、ライトから周辺アクセサリーまでが一体となって、撮影中のひらめきやテンションを鮮度そのままに生かしてくれるシステムになっていた。柔軟性もあり、とても創造的にライティングが実践できる。

Clic バーンドアやClic スヌートは光の質を落とさずに軽量コンパクト、扱いやすさを実現していることも最後にきちんと述べておきたい。クリエイティブで本格的なライティングが手数をかけず気軽に行えるのだ。光を扱う楽しさにどっぷり浸れるアクセサリーだ。

モデル:小野あかね(Gather)
ヘアメイク:Luna Yoshikawa
制作協力:Profoto株式会社

フォトグラファー。1976年東京生まれ。写真家テラウチマサト氏に師事後、2003年独立。ポートレートを中心に活動。著書としてこれまでに40冊以上を手がける。最新著書に『まねる写真術』(翔泳社)、「一生ものの撮影レシピ」(日本写真企画)、『デジタル一眼カメラ 知っておきたい撮影の基礎知識200』(玄光社)。ポーラミュージアムアネックス(2015年/銀座)など、写真展も多数。Profoto公認トレーナー。日本写真芸術専門学校講師。