特別企画
Vlogにぴったりの広角単焦点レンズとは…サイズ・画質・使い勝手で選ぶソニー「FE 20mm F1.8 G」の魅力
動画クリエイター AUXOUTさんにインタビュー
2022年8月26日 07:00
クリエイターのAUXOUTさんが今夏に公開した下の動画は、ソニー純正の広角レンズ2本を比較し、それぞれの特徴を解説したものだ。
4月に発売された広角ズームレンズ「FE PZ 16-35mm F4 G」と、従来から定評ある広角単焦点レンズ「FE 20mm F1.8 G」という両レンズの特徴を浮き彫りにすることで、αユーザーの悩みにずばり答えた内容だ。どちらのレンズを選ぶべきか、結論についてはぜひ動画を見ていただきたい。
このページでは「FE 20mm F1.8 G」について、さらに深く知るべくAUXOUTさん本人にあれこれ聞いてみた。特にVlogをこれから始めたい読者に役立つ内容を詰め込んだので参考にしていただきたい。
Vlogと焦点距離20mmの関係
——それではまず広角レンズ全般についてお聞きしましょう。今回の動画の中でも「動画を撮るなら広角レンズ」とお薦めしていますがその理由は?
被写体だけではなく背景を一緒に写す時や、動いている被写体を追いかける時には、画角が広い方が撮りやすいからです。
Vlogを撮る時の多くは屋外。あとは室内やクルマの中など狭い場所がほとんどです。そうなると広角レンズが有利ですね。
それに僕は映画っぽく見せるために、広角レンズの上下をクロップして擬似的なシネスコサイズにしています。映画撮影では35mmや50mmのアナモルフィックレンズを使うわけですが、それが横に引き伸ばされてワイドになります。ですから、広角レンズの方が映画に近い見た目になるというのが広角レンズを僕が選んでいる別の理由です。
——Vlogや自分撮りだと20mmは広すぎませんか?
映るのが1人だったらもう少し狭くてもいいですが、人物が2人、さらに背景も一緒にとなると20mmは取り込みやすい画角ですね。それに自分撮りの時は片手でカメラを持って撮るのですが、安定させるために腕を軽く曲げることになります。するとカメラが顔に近くなるので、20mmが広すぎるということは無いと思います。もっと広くても良いくらいですね。
また、カメラ固定で撮った映像を編集時にトリミングして動きを与える使い方もします。そういう時は広めに撮っておきたいので広めの画角が向いています。
同じ動画撮影でも、Vlogや自撮りを全くやらない人なら標準レンズから24mm程度でも良いかなという気もしますが、一般的な撮影とVlogを両方やりたいなら、20mmはちょうど良い広さでしょう。
あとは距離感ですね。僕は奥さんと外を歩きながら撮る事が多いのですが、20mmは一緒に歩いている距離感で撮れるんですね。そういう意味で結構使うことが多くなっています。35mmではちょっと狭いというイメージですね。
——このレンズをAPS-Cにクロップして30mm相当で使うことはありますか?
個人的にフルサイズ機でクロップして使うことは無いですね。もちろん、APS-C機でこのレンズを標準レンズ的に使うのはアリだと思います。
——一部のαに実装されている手ブレ補正「アクティブモード」との相性は?
α7 IVを使っていますが、アクティブモードは非常に便利ですね。自撮りをする時はどうしても片手で撮ることが多いので、映像を安定させるために重宝しています。アクティブモードでは、画面が多少クロップされるので、その点でも20mmは良い焦点距離だと思います。
単焦点レンズらしいシネマティックな表現
——FE 20mm F1.8 Gはいわゆる単焦点レンズです。画角を変えたり、レンズ交換が少なくなる点を考えるとズームレンズの方が便利では?
確かにそれらはズームレンズの良いところですね。ただ、Vlogやシネマティックな動画を撮っている人は、撮影中にズームをガンガン動かすかというとそれほどでもない。なので、撮影対象によってどちらが自分に適しているかということです。
僕のスタイルは、シネマティックとVlogのハイブリッドのようなものです。カッコつけすぎてもお腹いっぱいになるので、面白いパートも入れてバランスを取っています。こうした撮り方だと20mmレンズ1本で撮れてしまいますね。
——明るい単焦点レンズだと、暗い場所での撮影にも有利ですよね。
日が落ちてからや夜に撮る事はそう多くないと思います。屋外で撮るとしても、明るさは必須の条件ではないでしょう。ですが、僕はYouTubeの撮影を自宅の室内で撮ることも多く、そういう時はちょっとした自然光でノイズを少なく撮れるので意外と重宝しますね。
——開放F1.8ということで、ボケもズームレンズとは違いますか?
ボケを生かしたい時は明るいレンズは強いですね。大きなボケがシネマティックな映像に近づけるのに一役買ってくれている感じはします。個人的にも背景を被写界深度に含めるようなパンフォーカスでの表現をする時以外、基本的に絞り開放で撮影しています。
——すでに広角ズームレンズを持っている人がこのレンズを買い足すメリットはありますか?
例えば16-35mmがあったとして、使っているうちにこの焦点距離を一番使っているなというのが出てくると思うんですね。そこが20mmだったら、20mmのレンズを買えばいいということだと思います。
小型軽量なレンズのメリット
——スペックの割に小形軽量なのもこのレンズの特徴の一つです。そのメリットは感じられますか?
Vlogを撮る人にとっては一番重要な要素と思います。Vlogは旅行や山登り、キャンプなど何かしらのアクティビティをしながらカジュアルに撮りますよね。その時に荷物の軽量化に貢献してくれますから。そういったスタイルで撮影を楽しんでいる方にとっては小形軽量が効いてくると思います。
——ジンバルで使う場合も軽量な方が有利ですよね。
ジンバルも色々ありますが、どのジンバルを使うかは載せる物の重さで決まってきます。カメラやレンズが重ければ、そのぶん大きなジンバルが必要になります。
ジンバルはそもそもカメラより大きな物です。あれをどれだけ小型なタイプにできるかは……どのレンズを使うかが影響しますね。FE 20mm F1.8 Gをジンバルで使うことがありますが、非常に良く撮影できて満足しています。
解像力・逆光耐性など写りに不満なし
——全体的な画質の印象はどうですか?
さすがGレンズということで、絞り開放から非常にシャープに写ります。G Masterに比べると周辺が甘い部分は多少ある気がしますが、F4程度に絞ると四隅までコントラストも高く写りますね。どのみち動画だと上下はクロップされますし、フレーム単位で見ればブレていますので、周辺画質は写真ほどシビアではなく大きな問題ありません。人物を中央に配置して撮った場合も周辺部はボケるので気になりませんね。
レンズはそれぞれのキャラクターがあるので、自分に合ったものを選ぶことですがポイントです。総じてこのレンズは非常に良く写るという印象で、写りに不満はほとんどありませんね。
——逆光耐性はいかがでしょうか?
このレンズを含めて、最近出ているソニーのレンズは非常に逆光耐性が良くてびっくりします。個人的には良すぎるぐらいで、映像ではフレアやゴーストを動かす演出があるのですが、それが出来ません(笑)。
とはいえ編集時にエフェクトを掛けたりして映像を汚して作り込んでいくのですが、素の映像がきれいなので自分好みのアナログ感が作りやすいところは気に入っています。
フォーカスへの信頼性
——AF速度や顔、瞳への追従性の印象は?
ソニーのレンズ全般がそうですが、非常にフォーカスの追従性は良いですね。カメラ本体の相性の良さはさすが純正レンズという感じです。フォーカスが暴れたり、外れることはめったに無いですね。AF性能が高いのが、僕がソニーをずっと使い続けている一番の理由です。
特に狙った物を撮るので無ければ常に瞳認識も使ったAFで撮影していますが、全く問題ないですね。被写界深度が浅くなる絞り値での撮影も、このAF性能があるから積極的に使えるというのが正直なところです。
操作性について
——絞りリングのクリック切り替えを使うシーンは?
自撮りをしていて露出を調整したい場合に便利ですね。可変NDフィルターで調整する場合もあるのですが、暗くする場合に可変NDフィルターには画質面で限界があります。
その時にカメラを持ち直して露出調整をするのは面倒です。一番手っ取り早いのは絞りリングで露出を調整する事なんですね。クリックOFFにしておくと音が出ないので、撮影中にも調整できます。
——レンズのフォーカスホールドボタンはどんな時に使っていますか?
前ボケを作りたい時に、ピントがそちらに持っていかれないようにする時ですね。例えば、壁のようなところからカメラをスライドして出していくといったカメラワークでは、最初に被写体にピントを合わせた後にフォーカスホールドボタンを押しながらカメラをスライドさせます。
FE 24mm F1.4 GMとの違い
——スペックの近い純正単焦点レンズとしてFE 24mm F1.4 GMがありますが、どのように使い分けていますか?
FE 20mm F1.8 Gを買ってからは、FE 24mm F1.4 GMの出番は減りました。ただ、写りといったところではG Masterの24mmに軍配が上がりますね。
自撮りの時は20mmの方が軽いのでよく使っています。腕を伸ばしていると30秒くらいで疲れてきますから、なるべく軽いレンズがありがたいです(笑)。一方、自分できちんと構えてシネマティックにしっかり撮るという場合は24mmという使い分けをしています。
純正レンズならではの魅力
——純正レンズならではの魅力は?
僕も砂浜など外で撮ることが多いですし、いまはアウトドアが流行っていますから、そういったところでは防塵防滴があると安心だと思います。
——α7 IVは「フォーカスブリージング(※)補正」に対応しています。
※動画撮影中にピント位置が動くと画角も変わってしまう現象。特にフィックス撮影では違和感の原因になる。
自宅でYouTube用の収録をする時はカメラを固定して、僕が座った状態で撮影しています。しかし身振り手振りもありますし、多少なりとも僕が動いてピントが変わりますよね。そういう同じ背景でフォーカスブリージングが出ると目立つんです。α7 IVとこの純正レンズの補正効果は高くて、ほとんどフォーカスブリージングは分からなくなります。
手ブレ補正のアクティブモードやブリージング補正などカメラに新しい機能がどんどん入って進化しているので、αシリーズの性能を最大限に引き出せるのが純正レンズを使う大きな魅力ですね。
まとめ:Vlogにシネマティックに…まさにオールラウンダーなレンズ
——このレンズが適しているシチュエーションは?
Vlogもシネマティックも1本でこなしたい時に向いているレンズですね。16-35mmなどはVlogには向いているけれど、シネマティックな写りという点ではボケの大きさなどで20mmのレンズとは差が出てしまいます。
それと、かなり寄れるレンズなんですよ。寄ることで背景のボケを大きく出来る。YouTubeでアイテムを紹介する人などは使えると思います。
——まとめると、どういう人にお勧めのレンズなのでしょうか。
Vlogを撮りたい方の中でも、シネマティックな映像に興味があるならぜひ検討して欲しい1本ですね。コンテンツの企画で勝負するなら使い勝手重視でズームレンズが良いかもしれませんが、映像美を求めて写りにこだわりたい人にとって、ボケと画質が有利な単焦点レンズは大きな魅力になると思います。
スマートフォンとの違いを求めて、「ボケのある映像っていいよね」という感覚で撮影されている方もいらっしゃると思うので、そういうニーズにも合っているのではないでしょうか。
提供:ソニーマーケティング株式会社