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操作性が大幅に向上した「α7CR」「α7C II」。G Master広角ズーム「FE 16-35mm F2.8 GM II」も
2023年8月31日 07:00
ソニーからフルサイズミラーレスカメラの新モデル「α7CR」と「α7C II」が発表された。コンパクトなフルサイズ機として注目を集めた「α7C」(2020年10月発売)の後継機に位置づけられる両機。このページでは、従来モデルから外観上で変化した点を中心にお伝えする。
なお、YouTubeチャンネル「デジカメ Watch Channel」でも、編集部スタッフによる解説動画を公開している。本製品が気になる読者には、ぜひこちらもご覧いただきたい。
似ているけど違う…細部の進化点
小型・軽量の「Compact」を意味する“C”シリーズ待望の後継機は、高解像度モデル“R”の系譜を継ぐ6,100万画素モデル「α7CR」と、従来モデルを正統に進化させた3,300万画素モデル「α7C II」による2系統の展開となった。
撮影性能に関する細かい進化点は、既出のニュース記事および今後公開予定のレビュー記事を参照されたいが、いずれのモデルも画像処理エンジンの刷新をはじめ、ボディ内手ブレ補正や動画記録方式の向上、AIプロセッシングユニットの搭載など注目のトピックは多い。
それらの充実した撮影性能を、“C”のコンセプトを守ったボディサイズにまとめてきた点は称賛に値するだろう。
両機種ともに外形寸法は約124.0×71.1×63.4mm。従来モデルのα7C(約124×71.1×59.7mm)と比較してもその差は僅か。違いとしては後述するグリップ形状の変化により、厚み(グリップ部)が0.7mm大きくなっただけだ。
質量はα7CRが約515g、α7C IIが514g(メモリーカード、バッテリー含む)。α7Cの約509gから僅かに増量しているが、これはAIプロセッシングユニットの搭載などによる事情なのだそう。向上した機能を考えると、増量分がこれだけにとどまっているのはCシリーズのファンにとって安心材料となるのではないだろうか。
デザインについては、概ね従来モデルを踏襲した印象となっている。ボディカラーをブラック/シルバーの2色展開としているのも従来と同様だ。ちなみに「α7CR」と「α7C II」は同様のデザインとなっており、違いは正面右上と天面のロゴのみとなっている。
外観上で最もわかりやすい変更点は、先に触れたグリップ部にある。形状と素材の変更により、握りやすさが大きく向上している。グリップが少しだけ深くなり、右手人差し指がかかる部分の形状も改良されている。素材はαシリーズの他のフルサイズ機と類似したものに替わっており、こちらも握った際の手馴染みが向上している印象を受けた。
細かく見れば、グリップのシボパターンは従来機も捨てがたい。全体的にオシャレで都会的なイメージ(筆者の印象です)をなるべく残しつつ、撮影機材としての実用性を十分に高めてきた印象だろうか。
各種操作部にも変更点は多く見られる。
まずは天面。従来機でモードダイヤルに組み込まれていた「S&Q/静止画/動画」切り替えレバーが独立した。モードダイヤルと同軸上(下段)に配置されている。右手人差し指で操作する前ダイヤルも追加された。
シャッターボタンはグリップ部の中央寄りに、サイズが大きくなって配置された。より押しやすさが向上する進化点となっている。このほか露出補正ダイヤルはコマンドダイヤルに変更された。YouTubeの解説動画では、操作の感触についてもお伝えしているのでぜひチェックしてほしい。
背面を見ると、MENUボタンの位置がより右手側になっているのがわかる。右手親指での操作性に配慮した変更だ。その隣にはC1ボタンも追加されており、こちらも操作性の向上に寄与するだろう。スティック状のマルチセレクターは引き続き非搭載。
EVFの改良は、従来モデルのユーザーから最も多く要望されたことだったという。
従来モデルで0.59倍だったファインダー倍率は0.7倍に向上。輝度も上位モデル「α7R V」と同等になった。スチール機として多くの人が重要とするポイントについての、ソニーの回答となっている。
一方、側面の端子部にはムービー機としての改良も施された。蓋の開き方を変更したことで、バリアングルモニターの可動に配慮。一番上の蓋は上側に、一番下の蓋は横向きに開くように変更した。また端子の並びにも工夫が加えられており、USB Type-C端子が上部に移動している。モニターの可動に関していうと、この位置だと従来モデルでは“邪魔”だったようだ。
「α7CR」と「α7C II」の専用となるエクステンショングリップ「GP-X2」についても触れておく。要は小指が置ける分だけ高さを延長するアイテムとなっている。コンパクトを売りにしているモデルなだけに、大きなレンズとの組み合わせではそのホールド性に心許なさが生じるかもしれないが、このアイテムがあればひとまず安心といったところだろうか。バッテリー室部分が“折れる”ようになっているので、装着したままバッテリー交換できるのもGOODポイントだ。
「FE 16-35mm F2.8 GM II」
同日に発売されたEマウントレンズ「FE 16-35mm F2.8 GM II」は、2017年に登場した「FE 16-35mm F2.8 GM」の後継モデル。第2世代のG Masterズームレンズとして、本機の広角、「FE 24-70mm F2.8 GM II」の標準、「FE 70-200mm F2.8 GM OSS II」の望遠の3モデルが揃ったことになる。
特筆すべきはそのサイズ感で、従来モデルから約20%の軽量化を果たした。質量は本機が約547gで、従来モデルが約680gとなっている。
外形寸法は本機が約φ87.8×111.5mm、従来モデルが約φ88.5×121.6mm。両機を並べてみるとその差は歴然だ。
小型化を図りつつも、当然ながらその性能に妥協はない。鏡筒にフォーカスホールドボタン×2、AF/MFスイッチ、絞りリングクリック切り換えスイッチ、アイリスロックスイッチを備えた。