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FUJIFILM GFX50S II

GFX 50Sと外観を比較 GF35-70mmF4.5-5.6 WRの装着例も

富士フイルムは9月2日、YouTubeを通じて配信したイベント「X Summit PRIME 2021」で、GFXシリーズの最新モデル「GFX50S II」を発表した。9月27日の発売に先駆けて実機を見る機会を得たので、さっそくGFX 50Sとの比較も交えながら、外観デザインをお伝えしていきたい。なお、写真は量産前の試作機のため、一部仕様が異なる場合がある点をご承知おき願いたい。

GFX100Sのボディデザイン・UIを継承

GFX50S IIの特徴をざっと整理すると、センサースペック自体は43.8×32.9mmの有効約5,140万画素のベイヤータイプをGFX 50Sから踏襲しながらも、ボディデザインやUIが、有効約1億200万画素の同サイズセンサーを搭載するGFX100Sに寄せられたものとなった。前モデルGFX 50SではEVFが着脱可能となっていたほか、背面モニターがフィルムバックのように突き出したデザインが特徴的だったが、外観上かなりすっきりしたデザインに変更された。

GFX 50Sの発売は2017年2月のこと。画像処理エンジンもこの間に進化し、GFX100およびGFX100Sで採用されている「X-Processor 4」が本機にも搭載されている。このエンジン刷新に伴い、AF等のアルゴリズムも調整の手が加えられているなど、ハード・ソフト両面で大幅なブラッシュアップが図られている。

もちろん、フィルムシミュレーション「ノスタルジックネガ」も搭載。配信映像中でも「ラージフォーマットを身近にするカメラ」だとして紹介されていたが、まさに価格面含めでグッとGFXシリーズを身近にしてくれた、というのが本機の大きな魅力だといえるだろう。

左がGFX50S II、右が初代モデル

外観

天面のデザインは初代モデルからグッとシンプルな仕様に変更された。GFX100Sでも採用されているモードダイヤルを左肩に配し、近傍に静止画と動画の独立切り替えスイッチを配置。右肩に配されたサブ液晶モニターも初代モデルのスクエア形状から長方形に変更され、また大型化していることが見てとれる。

機構上の大きな違いとして、初代モデルではファインダーが取り外し式となっていたが、本モデルでは固定式に変更されている点もポイント。今後、チルト機構を備えた着脱式ファインダーを使いたい場合はGFX100を選んでください、ということなのだろう。スタジオや写真館等での使用ニーズと、フィールドでの可搬性や使い勝手を重視したデザインの2つの流れが大きくつくられようとしているのかもしれない。

右肩部のサブモニターは、表示パターンの変更にも対応している。シャッタースピードや絞り値、感度、ホワイトバランス、電池残量や残撮影枚数、露出補正量などの各数値を表示できるほか、ダイヤル風の表示やヒストグラム表示が選択できる。サイズは1.80型でアスペクト比は4:3、ドット数は303×230ドットだ。

この表示内容切り替えはGFX100から採用されているもので、擬似的にであれダイヤル操作とボタン操作の両様式をユーザーが選べるというのは歓迎したいポイントだ。Xシリーズと併用する場合、X-H1のインターフェースとであれば違和感なく共用していけるだろうが、多くがダイヤル操作主体のインターフェースを採用しているXシリーズ機のユーザーは少し戸惑う可能性があるため、行き届いた配慮だといえるだろう。

もちろん、モードダイヤル式に慣れたユーザーにもXシリーズ的な使い方を強いるUIではないため、どちらの使い方に慣れているユーザーであっても戸惑わないUIを採用したという事実は、本機のように「入口」をひろげることがミッションのひとつと位置づけられているカメラにとって、とりわけ大きなポイントであるように思う。UIはわかりやすく、シンプルに。多くの人が違和感なく使えるカメラに育てていこう、とする開発側の意図が感じられる。

左側面端子部。上からマイク用とヘッドホン用の3.5mmステレオミニジャックがそれぞれ配されており、USB Type-C、HDMI(タイプD)、シンクロターミナルが並ぶ。

右側面は記録メディアスロットと、2.5mmリモートレリーズ端子が並ぶ。記録メディアはSDカードのダブルスロット仕様。両スロットともにUHS-IIに対応しているとのことなので、振り分けや同時記録での使い勝手も良さそうだ。

背面デザインは最小限のボタン類ですっきりとまとめあげられている。フォーカスレバーもGFX100S同様、フラットかつ幅が広めの形状に。ファインダー脇に配されたAFモードのセレクターや、左肩のDRIVEモードスイッチもGFX100Sに準じた配置となっている。

背面モニターは3方向チルト式を採用。横位置・縦位置でそれぞれ軸がズレることなくモニターのチルト操作が可能となっている点は、特に静止画ユーザーにとって本機を選択する大きなポイントになるだろう。

サイズは3.2型で、ドット数は約236万ドット。タッチ操作にも対応している。

底面部。バッテリーはNP-W235(2,350mAh)を採用。初代モデルで採用されていたNP-T125(1,250mAh)から、容量が約2倍になっている。スペックシートで公開されている静止画の撮影可能枚数は約455枚(ノーマルモード時、オートパワーセーブONかつGF63mmF2.8 R WR使用時)。動画は顔検出をオフにした状態のフルHD 30p記録で約140分となっている。

グリップ部は適度な厚みがあり、ボディサイズもあってか小指余りになってしまうこともない印象。筆者はそれほど大きな手ではないこともあってか、自然に握り込めるサイズ感だという印象だった。

設定画面から見る機能面

GFXシリーズならではの特徴である様々なアスペクト比は、本機でも継承されている。65:24や1:1、7:6など、“ならでは”なアスペクト比が選択できる。

また、フィルムシミュレーションはGFX100Sで初めて搭載されたノスタルジックネガを搭載。グレイン・エフェクトやカラークローム・エフェクト、スムーススキン・エフェクトなど、同シリーズならではの設定項目も継承・搭載している。

RAWは非圧縮も選択可能。このほか、ロスレス圧縮と圧縮とが選択できる。製品Webページ上で公開されている連写速度は、CH設定時のメカシャッターで約3.0コマ/秒。連続記録枚数は圧縮RAWで約31枚、ロスレス圧縮RAWは約13枚、非圧縮RAWは約8枚というスペックになっている。秒3コマの連写速度はシーンによってはもう1歩となる懸念が残る。あとは、バッファクリアの時間だが、圧縮RAWで31枚ほどいけるのであれば、ポートレートのようなシーンで連写使用する場合も、そこまで心配することはなさそうだ。

そして特筆しておきたいのがJPEG記録であれば「エンドレス」で記録できると公表していること。試みにプログレードデジタルのSD UHS-IIカードのCOBALTで簡易的にテストしてみたところ、コマ速が落ちたり連写が止まる素振りは見られなかった。新エンジンの処理能力が効いているということだろうか。記録性能は実際の撮影の快適度合いに直結してくる部分なだけに、より本機のハンドリングを軽快にしてくれていると感じた部分だ。

シャッター速度は、メカニカルシャッターが最高1/4,000秒に対応。電子シャッターでは、最高で1/16,000秒となっている。このほか、電子先幕式も選ぶことができる。この方式では、1/500秒までは電子先幕で撮影し、シャッタースピードがこれ以上高速になる場合はメカニカルシャッター動作になる。

AF面では、フォーカスポイントを117点(9×13)と425点(17×25点)から選択が可能となっている。人物の顔検出と瞳AF機能も搭載。このほか、AF制御を高速に設定できる「AFスピードアップ」機能も搭載している。

GF35-70mmF4.5-5.6 WRを装着

X Summit PRIME 2021によれば、大型センサー機のさらなる普及に向けた一助となるべく設計・開発されたレンズ、というのがGF35-70mmF4.5-5.6 WRのキーコンセプトであり位置づけなのだという。

軽量・コンパクトながら画質面にも配慮した設計という、かなり意欲的な1本だが、何といっても特徴的なのはGマウントレンズシリーズで初となる沈胴機構が採用されている点だろう。

そのサイズおよび質量は最大径84.9×沈胴時全長73.9mm・質量約390gと、サイズ・質量は最大径84.0×全長71.0mm・約405gの「GF63mmF2.8 R WR」が近い。大型センサー機ゆえに極端にコンパクトである、ということはないが、携行時に単焦点なみのサイズ感になるというのは、大きなメリットとなっている。

画角は35mm判換算28-55mm相当。汎用性の高さは、重量メリットとともにメインにもサブ用途でも優れた利便性を提供してくれそうだ。また各焦点域での繰出量もほとんど変わらない点も使い勝手を高めてくれている。

沈胴時
繰出時35mm
同45mm
同63mm
同70mm

GF35-70mmF4.5-5.6 WRに近い焦点距離のズームレンズには、ズーム全域で開放絞値がF4の「GF32-64mmF4 R LM WR」がある。35mm判換算25-51mm相当の画角が得られる1本だ。最大径は92.6mm。全長は焦点距離によって変わるタイプで、広角端時に116mm、望遠端時に145.5mmとなっている。質量は875gだ。

繰り返しになるが、GF35-70mmF4.5-5.6 WRが最大径84.9×沈胴時全長73.9mm・質量約390gであることを考えると、数値上からもひとまわり大きく重い1本であることが読みとれる。

実際に比較してみたのが以下のカットだ。見比べてみると、その数値以上の差があるように感じられるはずだ。GF32-64mmF4 R LM WRは画質にも定評があり、これ1本で多くのシーンに対応できるだろう魅力があるが、GF35-70mmF4.5-5.6 WRであれば単焦点1本とプラスして持ち歩けるという重量・サイズメリットも得られるように思う。もちろんGF32-64mmF4 R LM WR自体決して安いレンズではないので、1本の汎用性を求めていくか、ズームレンズの利便性をいかして軸幅をひろげるか、と悩ましい選択肢を提供してくれているように思う。

左がGF32-64mmF4 R LM WR、右がGF35-70mmF4.5-5.6 WR
フィルター径はGF32-64mmが77mm、GF35-70mmは62mmとなっている

GF63mmF2.8 R WRを装着

35mm判換算で50mm相当の画角が得られる「GF63mmF2.8 R WR」を装着した状態をチェックしていった。本レンズの質量は約405g。GFX50S II(質量約900g)との組み合わせだと、約1,305gとなる。サイズ感は良好。グリップが適度に肉厚になっていることもあってか、持ち重り感を覚えるようなこともなかった。

本誌:宮澤孝周