新製品レビュー

パナソニック LUMIX G100D

ファインダーが進化した小型ミラーレス機…新世代の“旅カメラ”に

装着レンズは「LUMIX G VARIO 12-32mm / F3.5-5.6 ASPH. / MEGA O.I.S.」

パナソニックがミラーレスカメラの新モデル「LUMIX G100D」を発表した。ここでは新機能を中心に従来機からの進化点を見ていく。発売は2024年1月26日。店頭予想価格は税込8万9,000円(Kキット)からとなっている。

静止画ユーザー向けにパッケージングを強化

名称からもわかるとおり、2020年7月に発売された「LUMIX G100」の後継モデルとなる。G100はVlogユーザーを意識して動画機能を盛り込んだモデルとして投入したが、同社によると購入者の約74%が静止画メインのユーザーだそうで、風景や旅行など主に写真撮影の用途に購入されるケースが多かったそうだ。

今回は、静止画や動画など基本性能は変わらないマイナーチェンジとなる。そのため、前機種の新製品レビューも併せてご覧いただきたい。

新しい点としては、写真ユーザーを意識した望遠ズームレンズをキットに加えたほか、EVFを変更した。また、USB Type-C充電にも対応した。

同社マイクロフォーサーズ機「Gシリーズ」では、ローエンドのモデルとなる。すぐ上のモデルとしては「LUMIX G9」があり、比べると画素数は同じだが連写速度を抑えたり操作部材を減らすなどして、本機は小型軽量に仕上がっているのが特徴だ。

キットレンズで300mm相当の望遠撮影

レンズキット(Kキット)のレンズは標準ズームの「LUMIX G VARIO 12-32mm / F3.5-5.6 ASPH. / MEGA O.I.S.」(24-64mm相当)で、新しいダブルズームキット(Wキット)にはこれに加えて「LUMIX G VARIO 45-150mm / F4.0-5.6 ASPH. / MEGA O.I.S.」が付属している。

ダブルズームキットの内容。「LUMIX G VARIO 45-150mm / F4.0-5.6 ASPH. / MEGA O.I.S.」も小型だ

望遠ズームレンズは35mm判換算90-300mm相当ということで、本格的な望遠撮影ができる。標準ズームだけだとスマートフォンに近い画角になってしまうが、この望遠ズームレンズがあるとスマートフォンでは難しいアップでの撮影ができる。

「LUMIX G VARIO 45-150mm / F4.0-5.6 ASPH. / MEGA O.I.S.」を装着したところ。フードも同梱

両レンズともレンズ内手ブレ補正機構を搭載しており、300mm相当時でも安定してフレーミングできる。AFは空間認識技術(DFDテクノロジー)で、望遠レンズでもストレスのない合焦が確認できた。

LUMIX G100D/LUMIX G VARIO 12-32mm / F3.5-5.6 ASPH. / MEGA O.I.S./12mm相当/絞り優先(F8・1/500秒・-0.3)/ISO 200
LUMIX G100D/LUMIX G VARIO 45-150mm / F4.0-5.6 ASPH. / MEGA O.I.S./45mm相当/絞り優先(F4・1/100秒・-2)/ISO 400
LUMIX G100D/LUMIX G VARIO 45-150mm / F4.0-5.6 ASPH. / MEGA O.I.S./300mm相当/絞り優先(F5.6・1/1,300秒・-1)/ISO 800

このように望遠ズームレンズを使えば、近づけない野鳥などもそれなりに大きく写せる。また、スナップ撮影でも適度に画面を切り取れるので、フレーム内の整理もしやすい。

G100Dはバッテリーとメモリーカードを含んで約346gとかなり軽量。45-150mmのレンズも約200gと軽い。マイクロフォーサーズならではの「小さい・軽い」というメリットが生かされたパッケージになっており、レンズ交換式カメラながら手のひらに収まるほどのサイズ感がうれしい。

ファインダーが進化

ファインダーを覗いて撮りたいという写真ユーザーも多いと思うが、ファインダーのパーツが改善され、従来のLCOS(約368万ドット相当、073倍)からOLED(約236万ドット、0.74倍)になった。これは「LUMIX S5」や「LUMIX G99D」と同等。実際に鮮明で見やすい。筆者のようにメガネを掛けて覗いてもなんとか全体が確認でき、それなりにアイポントは確保されているようだ。

そしてイメージセンサーは有効約2,030万画素、感度はISO 200(拡張でISO 100)~25600。動画は4K 30pやFHD 60pなどに対応している。この辺りは前モデルから変わっていない。

下の作例は逆光で暗くなった置き時計を明るく写したもので、ISO 6400で撮影している。ノイズも見られるし少し甘くなっているが、等倍で使わなければ問題無さそうなレベルだ。

LUMIX G100D/LUMIX G VARIO 45-150mm / F4.0-5.6 ASPH. / MEGA O.I.S./150mm相当/絞り優先(F5.6・1/80秒)/ISO 6400

USB Type-C充電が可能に

前機種は本体充電の端子がUSB Micro-Bだったが、今回からUSB Type-Cになり使いやすさは向上した。

それに合わせて、オプションのトライポッドグリップがUSB Type-Cでの接続に変更された「DMW-SHGR2」としてリニューアルした。グリップ自体には電池不要で、シャッター、動画記録、スリープのボタンを備えている。ミニ三脚としても使用可能だ。

ファンクションボタンも充実

小さなボディではあるが、グリップはラバーを配したしっかりしたもの。親指部分の引っかかりも申し分なくホールド性は良い。

モードダイヤルを別にすると、前ダイヤルと後のコントロールダイヤルという2つのダイヤルがある。そのため、マニュアル露出といった上級者向けのモードも使いやすい。ファンクションボタンもハードボタンが4つ、ソフトボタンが5つと充実している。

背面モニターは3型タッチパネル式のフリーアングルモニター(約184万ドット)。正面に向けることもできる。

新世代の“旅カメラ”に

旅行などで荷物を少なくしたい場合にはもってこいなカメラだと思う。昔は旅カメラというと高倍率レンズ付きのコンパクト機という見方もあったが、レンズ交換式でここまで小さくなるとこれからの旅カメラとして大いに活躍しそうな印象を受ける。

やはりスマートフォンの大きな不満点は望遠撮影が弱いこと。旅先で気になった風景やアイテムをアップで撮るにはWキットの望遠ズームレンズは非常に有用だ。スマートフォンの弱点を上手くカバーするパッケージになったので、ミラーレスカメラの入門にもオススメしたいモデルだ。

本機は撮影機能も豊富でこのクラスとしては申し分ないし、マイクロフォーサーズはレンズの種類が多いのでステップアップにも応えてくれる。旅行以外にもスナップなど、普段使いのカメラとして玄人も大いに気になるのではないかと思わせる1台だ。

1981年生まれ。2006年からインプレスのニュースサイト「デジカメ Watch」の編集者として、カメラ・写真業界の取材や機材レビューの執筆などを行う。2018年からフリー。