新製品レビュー
HUAWEI Mate 10 Pro カメラ機能レビュー
ライカダブルレンズ&AIプロセッサの実力は?
2017年12月19日 18:00
ファーウェイから登場したフラッグシップ スマートフォン「HUAWEI Mate 10 Pro」。F1.6のライカレンズと「AIプロセッサ」を搭載し、画質と表現に磨きをかけてきた。定評ある擬似的な「ワイドアパーチャ」もあり、注目のAndroidスマートフォンとなっている。
・メーカー:HUAWEI
・メインカメラ:1,200万画素カラーセンサー+2,000万画素モノクロセンサー、F1.6、光学式手ブレ補正
・インカメラ:800万画素、F2
・ディスプレイ:約6インチ、18:9、OLED、2,160×1,080ドット
・OS:Android 8.0
・CPU:HUAWEI Kirin 970 オクタコアCPU
・メモリ(RAM):6GB
・ストレージ(ROM):128GB
・ボディカラー:ミッドナイトブルー、チタニウムグレー
デザイン
HUAWEI Mate 10 Proは幅約74.5mm、高さ約154.2mm、厚さ約7.9mmで、約6型の有機ELディスプレイを搭載している。そのためやや大振りに感じるが、手にした印象はなかなかのバランス感で持ちやすくしっくりくる。重さは約178gと適度な存在感がある。IP76の耐水、防塵性能を備えたのがうれしい。
デザインは高級感のある仕上げで、前面背面ともにガラスを採用。エッジは滑らかなカーブ形状となっていて手に馴染む。2つのライカレンズがマウントされる部分には「シグネチャーストライプ」と呼ばれる意匠が施され外観上のアクセントとなっている。
カメラ機能
HUAWEI Mate 10 Proは背面にライカのレンズを2つ搭載している。上下にマウントされるそれは、上がモノクロセンサー搭載、下がカラーセンサー搭載レンズとなっており、それぞれ約2,000万画素、約1,200万画素という解像度で明るさはF1.6。前面のセルフィー用レンズはF2.0の約800万画素という仕様だ。
撮影時のレスポンスは極めて良好で、モデルと会話しながらサクサクとレスポンスよく撮影ができた。これは画像処理エンジンがデュアル化された恩恵だろうか、ストレスなくシャッターを切れるのがとても快適であった。
定評ある被写界深度エフェクト「ワイドアパーチャ」や深みのあるモノクロームモードに加え、HUAWEI Mate 10 Pro最大の特徴となるのが「AIプロセッサー」によるリアルタイムの「シーン・被写体認識」だ。
これは約1億枚以上の写真を撮影し機械学習、それによって被写体が何であるかを認識、判断して適切な仕上がりの写真が得られるのがウリで、いわゆるオートモードの「AIモード」に設定することで利用できる。
文字、フード、舞台、青空、雪、ビーチ、犬、猫、夜景、日の入/日の出、植物、ポートレート、花の13種類の被写体およびシーンを検知して最適な仕上がりとなる。
シャッタースピード、ISO感度、ホワイトバランスの変更などマニュアル操作が可能な「Proモード」を駆使しなくても、ほとんどのシーンでHUAWEI Mate 10 Proに任せっきりで美しい写真を撮影できた。フルオートなのでこれは楽チンである。
ディスプレイ
約6型の有機ELディスプレイはアスペクト比18:9。解像度は2,160×1,080ドットとなっており、手にするとややスリムな印象だ。明るさ、コントラスト、発色ともに鮮やかで晴天の日中でも各種操作が問題なく可能だった。
表示はAndroid機らしくややシャープネスがきつい印象だが、一般的に好まれるチューニングであると感じた。
作品
3つのカーブミラーをAIモードで撮ったカット。太陽をミラーでカットしているが、一般的なスマホでは「どアンダー」になっても不思議はないところ、空のブルーを保ったままシャープな写真となった。カメラ任せでほとんどのシーンをこなせるのが機械学習のメリットだ。
とはいえ意図的に露出や感度を撮影者が変更したいシーンもある。そういう場合はProモードが有効だ。このカットは肌のトーンを明るく出したかったため、露出補正をプラスにかけて撮影した。
青空のグラデーションから芝の質感、遠くに見えるビルの窓もしっかりと判別できる。明るい空部分が画面を占めるが、AIのおかげで適切な露出になったと感じる。
ポートレートも気持ちよく撮影できる。なによりもテンポ良くシャッターチャンスを逃さないで撮れるのがいい。ダブルレンズによるボケのエフェクトも美しく、そのエッジもAIによって不自然さがあまり目立たないので美しい仕上がりだ。もちろん苦手な部分もある。格子の内側などは曖昧な処理になるので避けるなど注意が必要である。
高感度もISO1600程度までなら許容範囲の画質だ。露出補正をプラスにかけて明るめに撮影したカットだが、建物の窓や植え込みの落ち葉なども判別でき、まずますの画質ではないだろうか。
AIモードとProモードの切り替えはカンタンだ。画面下部のシャッターボタン上のバーを上にスワイプするだけである。モノクロなど各種設定は右および左のフリック操作で行える。Proモードだと過度な補正がかからないのでノーマルに仕上げたいときにも有効だ。
HUAWEIの端末は自撮りにも定評がある。実物よりも「盛って」美しく撮影できるのが女性に支持されている。肌などのスムーズさを盛る「ビューティーモード」と被写界深度エフェクトを併用するとこの写真のようになる。ここでもAIが効いておりモデルと背景の境目がうまい具合に判別されている。
二子玉川のカフェで美味しそうなパスタを撮影。AIでは「フード」と判定され、適切な露出と色合いになったが。ここで「ワイドアパーチャ」を併用してF0.95の絞り効果を出した。このように機能の組み合わせでさまざまな楽しみ方ができるのがHUAWEI Mate 10 Proだ。
モノクロームモードのしっとり感もHUAWEI Mate 10 Proの魅力のひとつだろう。モデルの肌、光沢感のあるダウンジャケット、古ぼけたスコアボードまで、味わいのあるグレーで表現された。積極的に使いたいモードである。
まとめ
HUAWEI Mate 10 Proは「AI」というパワーを得て、あらゆるシーンを手軽に美しく撮影できるスマートフォンに仕上がっている。
「シーン・被写体認識」と、F1.6という明るいライカのデュアルレンズ、光学式手ブレ補正機能、明るく見やすいディスプレイ、大容量バッテリー、防塵防滴と、Androidスマートフォンの中ではトップクラスの性能を持つ。無線接続によるデジタルカメラの相棒としてチョイスするのもいいだろう。
ただストレージは心許ない。128GBしかなく、メモリーカードスロットもないので、大量に撮影するフォトグラファーはクラウドサービスを使うなど対応が必要だ。
モデル:飯島かおり
撮影協力:CHICAMA CAFE