新製品レビュー

HUAWEI nova 2

ダブルカメラを搭載した低価格モデル

ライカと協業しているHUAWEIから、2万円台から購入できる買いやすい価格のデュアルカメラ搭載Androidスマートフォンが登場した。その名は「HUAWEI nova 2」。

約1,200万画素と約800万画素のメインデュアルカメラと、約2,000万画素のインカメラを搭載しているのが特徴だ。撮影後にピント位置とボケ量を変化させることができる「ワイドアパーチャ」機能ももちろん備えている。

CPU:Kirin659 2.36GHz/クアッドコア + 1.7GHz/クアッドコア
RAM:4GB
ROM:64GB
メモリーカードスロット:microSD
ディスプレイ:1,920×1,080ドット 約5.0インチ
バッテリー容量:2,950mAh
OS:Android7.0
重量:約143g

サイズとデザイン

約5.0インチディスプレイを積んだボディは大きすぎず小さすぎず持ちやすい。シャツの胸ポケットにもすんなりと収まるサイズ感である。

少しザラザラ感があるアルミ製メタルボディは高級感が感じられ、丸みを帯びたエッジは、撮影時に構えたときに手に優しい印象だ。

ディスプレイ向かって右サイドに、上からボリュームボタンと電源ボタンを備える。背面には指紋認証センサーと、底面にはスピーカーとUSB-Type C端子などがある。

画面

ディスプレイは約5.0インチ。IPS液晶でなかなか高精細かつ鮮やかだが、上位機種の見え具合と比較するとやや視認性が低く感じられた。ここは端末の価格を考えるとしかたがない部分だろう。解像度はフルHD(1,920×1,080ドット)だ。

アウトカメラ

Mate10 Proに代表されるHUAWEIのスマートフォンは、ライカと協業してデュアルカメラ(近ごろトリプルカメラのモデルも登場したが)を搭載しているというイメージが強い。

このHUAWEI nova 2は残念ながらライカ製ではないが、約1,200万画素+約800万画素のメインデュアルカメラと、約2,000万画素のインカメラを積んでいる。

ディスプレイ上の1.0x、2.0xというアイコンをタップすれば瞬時に広角と望遠を切り替えて撮影が楽しめる。スライダーによる擬似的なズームももちろん可能だ。

写りは上々だが、Mate10 Proと較べるとやはり物足りない感じがする。モノクロセンサーによる深みのある描写が加味されないせいであろうか。ただリーズナブルな価格を考えると許容範囲内、と感じる人もいるだろう。

画角

やや眠い印象があるもののメリハリが感じられる絵作りだ。27mm相当となる広角の1.0xカメラはF1.8相当の明るさとなる。

望遠の2xカメラはF2.4で54mm相当の画角だ。1xカメラよりソフトな描写となり、わずかに暖色傾向に感じた。

ポートレートモード

ワイドアパーチャ機能とポートレートモードの効果はディスプレイ上のスライダーで調整ができる。

モデルの半身をポートレートモードのF0.95で。とても自然なボケ味でいい雰囲気だ。背景の光芒も違和感がない。

こちらもF0.95で。やや背景にボケ処理のおかしいところがあるが、概ねイイ感じに仕上がっている。スキントーンもビューティーモードが効いており、ボケ効果と合わせてモデル撮影を楽しめるスマートフォンになっていると言えよう。

これだけ遊んで楽しめるスマートフォンは、やはりコンパクトデジタルカメラを駆逐してしまうはずである。2万円台で、ただシャッターを押すだけでこれだけ撮れてしまうのだから。傾きかけた日光の色合いも、背景のボケ具合もご覧の通りである。

料理

ワイドアパーチャ機能を使ってパスタを撮影。F0.95に絞り効果を設定したシャッターを切った。手前にあるサラダの皿と、背景のボケ味がまるで大きなセンサーを積んだ一眼カメラで撮影したかのようにボケている。これがHUAWEI機の醍醐味だ。

風景

千鳥ヶ淵の桜を1.0xカメラで。これはハイライトからシャドウまでキレイに写ってくれた。遠景の桜も立体感ある描写となっている。同社のMate10 Pro には及ばないが、まずまずの仕上がりだと感じた。

日没

薄暮時の光景を写した1枚はISO感度が2500まで上がったが、建物の質感表現、画面下部の線路周辺の描写など、スマートフォンとしてはよく写っているという印象だ。ノイズも整っておりイヤな感じが少ない。

フィルター

nova 2は8種類のフィルターを搭載していて、リアルタイムに効果を確認しながら撮影を楽しめる。

写真は「インパクト」を使って、外環道工事現場を撮ったもの。手軽に大胆な効果を得られるので、ビギナーにはうれしい機能だ。

インカメラ

nova 2はインカメラに約2,000万画素のカメラを搭載したことが最大のトピックだ。

シングルカメラだがボケ味を楽しめるワイドアパーチャ機能はもちろん、セルフィーが美しく撮れるビューティーモードが特徴である。これはディスプレイに表示されるスライダーにより、10段階で効果を変化させることができる、

「ビューティーレベル 0」でのモデルによるセルフィー。約2,000万画素なので、髪の1本1本の細かさや、ネックレスの立体感、服のきめ細かさなど見事な写りとなっている。

「ビューティーレベル 10」にすると肌のスムーズ感がもの凄い。色味も明るく補正されて、やや人形のようになってしまうが、多くの女性にはこのような仕上がりが喜ばれるに違いない。髪や服の部分にはあまり影響が出ていないところに注目したい。

インカメラでの撮影はなかなかシャッターが押しにくいものだが、nova 2は「ジェスチャー操作」でシャッターを切ることができる。

使い方はカンタン。手のひらを写真のように見せるだけ。すると2秒のセルフタイマー撮影機能が起動するので、その間にポーズを整えればいいのだ。

これはセルフィー大好き女子だけでなく、最近増殖気味の自撮りオジサンにも喜ばれるだろう。ちなみにインカメラは約23mmの画角となる。

まとめ

HUAWEI nova 2は買いやすい価格ながら2つのカメラを搭載し、ボケ味をコントロールできるワイドアパーチャ機能と、美肌効果を調整できるポートレートモードをもつのが特徴だ。

日頃カメラやレンズに投資して、スマートフォンまで予算が回らないフォトグラファーにはなかなか魅力的な端末かもしれない。これがあれば単体で上記効果を楽しむことはもちろん、アプリをインストールしてデジタルカメラとWi-Fi接続し、撮影した写真をすぐアップロードしたりクラウドにバックアップも可能になる。

上位機種と較べるとディスプレイの大きさと見え方などで残念な部分もあるが、コストパフォーマンスを考えるとなかなかのスマートフォンに仕上がっていると思う。

モデル:高実茉衣
撮影協力:chicama cafe(二子玉川)

三井公一

1966年神奈川県生まれ。新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。雑誌、広告、Web、ストックフォト、ムービー、執筆、セミナー、コンサルティングなどで活躍中。有限会社サスラウ、Sasurau, Inc.代表。著書にはiPhoneで撮影した写真集「iPhonegrapherー写真を撮り、歩き続けるための80の言葉(雷鳥社)」、「iPhone フォトグラフィックメソッド(翔泳社)」がある。