交換レンズレビュー
お散歩・日帰り旅行向け「50mm単焦点レンズ」(その3)
ソニー FE 50mm F2.5 G
2025年1月3日 07:00
焦点距離50mmは写真用レンズの基本ともいえます。そこでこのたび、お散歩・日帰り旅行向けともいえる小型軽量なミラーレスカメラ用の50mm AF単焦点レンズを、一挙に紹介していこうと思います。
今回はソニーの「FE 50mm F2.5 G」のレビューをお届けします。
静止画撮影はもちろん動画撮影にも配慮した設計。小型軽量で自由度が高くありながら、ふんだんにスイッチ類やリング類を搭載して操作性を高め、日常使いでの高い描写性能も万全という至れり尽くせりな仕様です。まさにミラーレスカメラの新時代に相応しい標準単焦点レンズだといえます。
外観・仕様
「FE 50mm F2.5 G」は2021年4月に登場した35mmフルサイズ対応の50mm単焦点レンズ。本レンズは「FE 24mm F2.8 G」および「FE 40mm F2.5 G」と外装を同じくする3兄弟のうちのひとつです。
ソニーがラインナップするレンズのなかでは、「G Master」に次ぐ高性能ラインである「G」レンズに属しています。小型軽量といえども、高品位な質感と直感的な操作性を兼ね備えているのが本レンズの大きな特徴といえましょう。
操作系
外形寸法はφ68mm×45mmで、質量は約174g。35mmフルサイズ用の高性能レンズとしては、納得の小型軽量化を実現しています。同じく小型軽量なソニーのαシリーズミラーレスカメラと組み合わせれば、素晴らしいほどの相性の良さを感じられるというものです。
操作系はさすがにソニーの「Gレンズ」だけあって、フォーカスリング、絞りリング、フォーカスホールドボタン、フォーカスモードスイッチなど、大変豪華に仕様になっています。ここまで充実していれば、静止画でも動画でも撮影時に操作の不満を覚えることはまずないだろうと思います。
鏡筒右側下には、絞りリングのクリックの有無を切り換えるためのスイッチがあります。絞りリングのクリックは、静止画と動画で有り無しの必要性が大きく分かれるところですが、本レンズのような小型軽量レンズにもちゃんと装備してくれているところが嬉しいですね。同様なスイッチは兄弟レンズである、「FE 24mm F2.8 G」や「FE 40mm F2.5 G」にも採用されています。
「ALC-SH166」というレンズフードが同梱しています。デザインは好みによりますが、いわゆるフジツボ型で角型の窓というのはなかなかユニークに感じます。装着してもレンズのサイズ感を大きく損なわないところが良いと思います。
作例
絞り開放のF2.5とはいえ、ピント面での高い解像性能と、綺麗で自然なボケ味が両立されているのは、さすがソニーの「G」レンズと言ったところです。解像性能とボケ味の両立といえば「G Master」のうたい文句ですが、「G Master」が続々と登場したことで「G」レンズの基本性能もアップグレードされていると感じました。
最短撮影距離はAF時に0.35mで、MF時に0.31mとなっています。最大撮影倍率はAF時が0.18倍、MF時が0.21倍。35mmフルサイズ用の焦点距離50mmの標準単焦点レンズとして、この近接撮影性能はかなり優れていると思います。絞り開放はF2.5とそれほど明るくないものの、小型軽量な取り回しの良さと、自由度の高い近接撮影性能で、表現の幅は存外に広いといえるのではないかと思います。
ただ、絞り込んでも画面周辺の解像感がなかなか向上しないのは、小型化に対する弊害でしょうか。それほど問題となる程度ではありませんが、風景撮影や建築撮影などでは不満の残るところかもしれません。とはいっても、作画上は実に些細なことで、本レンズが旨とするポートレート撮影やスナップ撮影にはほとんど影響がないものと思います。何と言っても日常での気軽さを大切にしながら、同方面での高画質を楽しむという、方向性の明らかなレンズのようです。
まとめ
一眼レフカメラに比べて小型軽量なミラーレスカメラに向けて登場した、これまた小型軽量な50mm単焦点レンズが、本レンズなのでしょう。静止画と動画の両方に活用されることも多くなったいまの時代には、定めし需要も多いことと考えます。
小型軽量を目指しながらもふんだんに盛り込まれた、妥当な描写性能と充実の操作性の高さは、これまでになかった新時代に向けての新しい仕様でしょう。
単焦点レンズなのに開放絞り値がF2.5とそれほど明るくもないことに不安を覚えるかもしれませんが、この手の小型レンズは従来F2.8に留められていたものです。小ささからくる見た目以上の性能をもつのが本レンズ。静止画撮影だけでなく動画撮影にも、幅広く活用すればきっと大きく楽しさも広がることでしょう。