交換レンズレビュー
お散歩・日帰り旅行向け「50mm単焦点レンズ」(その6)
富士フイルム フジノンレンズ XF35mmF2 R WR
2025年1月6日 07:00
焦点距離50mmは写真用レンズの基本ともいえます。そこでこのたび、お散歩・日帰り旅行向けともいえる小型軽量なミラーレスカメラ用の50mm AF単焦点レンズを、一挙に紹介していこうと思います。
今回のテーマは、富士フイルムの「XF35mmF2 R WR」です。
コンパクト化と解像性能を両立したレンズ設計に加え、富士フイルムらしいスリムでスタイリッシュなデザインも魅力となっているこのレンズ。Xシリーズのユーザーでしたら、まず初めに押さえておきたい、53mm相当の標準単焦点レンズなのではないかと思います。
外観・仕様
「XF35mmF2 R WR」は2015年11月に登場したAPS-Cセンサー対応の35mm単焦点レンズ。焦点距離は35mmですが、35mmフルサイズ換算では53mm相当の画角になります。
本レンズの特徴は、APS-Cサイズの利点を活かしたコンパクト設計であること。そして、金属パーツを全面に採用したスリムデザインであるところです。これは「XF23mmF2 R WR」「XF50mmF2 R WR」と共通しています。
操作系
外形寸法は約φ60.0mm×45.9mmで、質量は約170gとなっています。マイクロフォーサーズ用ほどではありませんが、さすがにコンパクトで軽いですね。非球面レンズ2枚を配した6群9枚のレンズ構成も、小型化に対して大いに役立っているようです。
富士フイルムのXシリーズレンズは、ほとんどの操作をボディ側で完了できるので、スイッチやボタン類は一切ないシンプルな操作系になっています。
しかし「X-T5」のように、ダイヤルオペレーションの操作系を前面に押し出したカメラボディが人気の富士フイルムらしく、ちゃんと「絞りリング」は装備されています。
これまたコンパクトな丸型のレンズフードが同梱しています。薄型ですので遮光効果があるのか不安になりますが、最も有害な横からの光は確実に防いでくれるため、撮影時にはぜひ装着したいと思います。これではやっぱり心もとないと言う人のために、スタイリッシュで深型の「LH-XF35-2」も別売りで用意されています。
作例
コンパクト化と高解像を両立した設計というだけあって、絞り開放のF2からピント面の解像感は良好です。撮影距離によってはボケ味が硬くなることもありますが、よほど高望みしなければ、ほとんど気になることはないと思います。ステッピングモーターの採用で、AFがスムーズで静かなところも良いところです。
最短撮影距離は35cmで、そのときの最大撮影倍率は0.135倍となっています。50mm相当のレンズとしては被写体をかなり大きく写せる部類になります。近接撮影時の収差補正もほどよく良好ですので、距離に制限されることなく目についた被写体をどんどん撮りたくなります。
絞れば当然のように、画面全体の解像性能はさらに向上し、有効約4,020万画素の「X-T5」との組み合わせでも十分に満足できる解像感が得られます。わずかな四隅だけ像が緩やかになりますが、それもよほど厳しく比べなければ、まず問題となるレベルのことではありません。
まとめ
実際に使ってみての感想は、「初めて使う50mmレンズ(53mm相当)として相応しい1本」でした。同社のレンズには高性能な「XF33mmF1.4 R LM WR」や、昔ながらの描写の趣をもった「XF35mmF1.4 R」といった標準レンズもありますが、それらはそれなりの価格になります。
本レンズは実用的な性能と、コンパクトでスタイリッシュなデザインをもちながら、大変お手頃な価格で提供されているのが嬉しいところ。そうした意味もあって、初めて使う50mmレンズとしては、まさに最適なレンズだと言えるのではないでしょうか。筆者の知る限りになりますが、とりあえず本レンズを入手してみた後に、案外そのまま使いつづけている上級者やプロがいるのも、また事実であったりします。