交換レンズレビュー
OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.2 PRO
ボケが魅力の大口径中望遠レンズでポートレートを撮る
2017年12月1日 12:00
オリンパスのPROシリーズに、45mm(35mm判換算90mm相当)F1.2の大口径中望遠レンズがラインアップされた。昨年レビューした「M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO」に続き、溶けるように美しくにじむボケと高い解像力を両立する単焦点レンズだ。
今回はフラッグシップ機「OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II」に本レンズを装着し、ポートレートでの描写や使い勝手を中心に紹介していく。
発売日:2017年11月24日
実勢価格:税込14万円前後
マウント:マイクロフォーサーズ
最短撮影距離:0.5m
フィルター径:62mm
外形寸法:約70×84.9mm
重量:約410g
デザイン
2016年11月に発売された「M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO」、2018年1月下旬に発売予定の「M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO」と、本レンズを合わせた3本のPROシリーズは、デザインや操作性が統一されており、3本とも全長も質量もほとんど同じで、フィルター径も62mmで統一されているという驚くべきこだわりようだ。
鏡胴は堅牢性の高い金属を採用。PROシリーズにふさわしい高級感を感じさせる。防塵・防滴・耐低温性能を実現しており、悪天候でも安心して撮影に臨める。
全長は約85mm、重量は約410g。手にしたときに重量感はあるが、高級レンズであるということをしっかりと感じさせてくれる。
操作性
レンズの主な操作系は、幅広のフォーカスリングとL-Fnボタンのみというシンプルなもの。
フォーカスリングを手前に引くことで、AFからMFに瞬時に切り替えることができるマニュアルフォーカスクラッチが利用可能だ。
L-Fnボタンはファンクションボタンとして使用でき、好みの機能を設定することができる。
AF
MSC(Movie & Still Compatible)機構により素早く軽やかなピント合わせが可能。AF速度も速く、精度も高い。
カメラ本体の「瞳優先AF」を併せて使用すれば、F1.2と被写界深度が浅い絞り開放でのポートレート撮影において強い力を発揮してくれる。
作品
35mm判換算90mm相当という焦点距離とF1.2の浅い被写界深度は、背景を大きくボカし被写体を際立たせることができるポートレートに向いている。
撮影当日は天候に恵まれず太陽が全く出ていなかったので、暗い古着屋でライトを被写体の背後に置き、逆光気味に撮影。
ピントが合っているまつげは非常にシャープで、そこから肩にかけてなだらかにボケ、背景はさらに豊かにボケている。ボケのなめらかさに嫌味がなく、ピント面のシャープさを際立たせている。光が当たっている顔の輪郭の立体感や、モデルが手にしているボトルの質感も素晴らしい。
モデルにポラロイドカメラを持ってもらい、それを前ボケとして使用した。クセがなく素直なボケを生み出している。
背景までの距離がさほど取れない室内でも、豊富なボケを感じることができる。やはり大口径F1.2の威力は素晴らしい。
薄暗くなってきた屋外での1枚。明暗差のある提灯で短い距離での前ボケと後ボケを作った。
モデルを画面端に置き、F4まで絞って撮影。モデルの髪やまつげまでシャープに描写し、高い解像感があることがわかる。
モデルとの距離をとり、F4まで絞って撮影。モデルも背景もシャープに描写している。
最短撮影距離が0.5mと、近接撮影にも強い。ポートレートにおいてこれだけ被写体に近づいて撮影できれば十分だろう。
モデルと距離をとって全身を撮影。モデルがくっきりと浮かび上がるような立体感がある。
まとめ
撮影日は残念ながら天候に恵まれず激しい雨が降っていたので、傘を片手で持ち、もう片方の手でカメラを持って撮影した。
E-M1 Mark IIに本レンズを装着しても約984gと大口径中望遠レンズとは思えないほどの軽量さで、快適に撮影を行うことができた。
F1.2という明るさは素晴らしく、厚い雲が覆う屋外や白熱灯で薄暗い室内でも感度をそれほど上げることなく撮影できるのは、やはり安心だし心強い。
また、背景との距離がさほどとれない室内であってもボケが豊かで美しいことがわかり、PROシリーズの大口径レンズらしいとても上質で奥行きのある描写をしてくれた。
なんでもない場面もどこか特別な瞬間にしてくれるような力を持っており、今回のように気張らずお散歩をしながらのポートレートなどで力を発揮してくれると感じた。