交換レンズレビュー

OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.2 PRO

広角レンズなのに豊富なボケ 逆光にも強い

M.ZUIKO PROシリーズにF1.2の大口径単焦点レンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO」と「M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PRO」の2本が加わる。2016年11月に発売された「M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO」と合わせて、“F1.2シリーズ”3本のラインナップとなる。

いずれのレンズも「美しくにじむボケと高い解像性能の両立」を追求したレンズ設計となっており、今回紹介するM.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PROのレンズ構成は新開発のED-DSAレンズなどの特殊レンズを贅沢に使用した11群15枚。

ED-DSAレンズとは、色収差を補正するEDレンズと球面収差、コマ収差、非点収差を補正するDSAレンズの性能を1枚のレンズでカバーするというもの。それによって、レンズ全長の短縮化と高性能化を実現している。

17mmは35mm判換算34mm相当の広角になる。広い範囲が写るため、主被写体と背景を活かした構図を作りやすく、被写体にぐっと近づけば遠近感を活かして奥行きのある写真を撮影することができる。

スナップだけでなく、ポートレートや料理、テーブルフォトなどさまざまな被写体で使える焦点距離だ。

発売日:2018年1月下旬
希望小売価格:税別16万5,000円
マウント:マイクロフォーサーズ
最短撮影距離:0.2m
フィルター径:62mm
外形寸法:約68.2×87mm
重量:約390g

デザイン

既存のM.ZUIKO PROシリーズ同様、金属外装の高級感あるデザインを採用。フードはズレ防止のロック機構を搭載する。そして、防塵・防滴・耐低温性能を実現した。

カメラはOLYMPUS PEN-Fです(以下同)。

今回、OLYMPUS PEN-Fで撮影を行ったが、クラシカルなボディとの相性が良く、デザインもマッチした。レンズを購入する決め手となるのは性能だけでなく、デザインも重要なポイントの1つだろう。まさに、この組み合わせは所有欲を刺激するかっこよさだ。

質量390g、最大径×全長が68.2×87mmと17mm、25mm、45mmとほぼ同じサイズ感。また、フィルター径も62mmで統一。フォーカスリングやL-Fnボタン、マニュアルフォーカスクラッチ機構も同じ位置に配置されているため、操作性が一貫している。

既存のM.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8と比較すると、質量はプラス270g、全長は約2倍とずっしりとした印象。しかし、レンズを握るようにグリップできるため、安定してカメラをホールドすることができる。とはいえ、比べるとやはり大きくなるため、バランスを考えるとミドル機以上のカメラとの相性が良さそうだ。

操作性

フォーカスリングをレンズ中央部分に幅広く配置した。リングに適度なトルク感があり、MF時でのピント合わせもスムーズに行うことができる。

そのため、F1.2の近接域での撮影など被写体深度が浅くなるシーンでもピントの微調整がしやすい。

フォーカスリングを前後に移動させることで、AFとMFを瞬時に変更できる「マニュアルフォーカスクラッチ機構」を搭載。

MF時には鏡筒に距離目盛を表示することができ、被写体との距離を目測で設定すれば、速写性を高めることができる。特にノーファインダー撮影やパンフォーカススナップなどに使用すると便利だ。

レンズ鏡筒のL-Fnボタンにはよく使う機能を割り当てることができ、23種類の機能から選択可能。L-Fnボタンをレンズ曲面部に配置し、曲面を指で沿えばファインダーを覗きながらでもアクセスできるように考えられている。

このレンズを使用する場合は、レンズを握るようにグリップする必要があるため、L-Fnボタンはボディ側のファンクションボタンよりもアクセスしやすいかもしれない。ぜひ自分好みの操作感にカスタマイズしていただきたい。

AF

軽量なフォーカシングユニットMSC(Movie & Still Compatible)を採用し、駆動方式はスクリュードライブ機構、駆動モーターにはステッピングモーターを使用している。それにより、素早く静かなAFを実現している。

F1.2の大口径だからこそ、求められるのは精度の高いAFだ。今回実際に使用してみて感じたのは、ピント合わせの速さだけでなく、正確さ。

特にポートレート撮影において、しっかりと瞳にピントを合わせる「瞳優先AF」が活躍した。被写界深度が浅いと、ピントのずれが目立ってしまうが、常に瞳を優先してピント合わせを行ってくれるため、モデルの表情を探ったり、構図を決めることに集中できた。

作品

今回はPEN-Fに装着して、ポートレートと街スナップをすることにした。大口径レンズながらも、この身軽さで撮影できるのはマイクロフォーサーズの魅力の1つだろう。

※作例はβ機のレンズによる撮影のため、長辺を2,048ピクセルにリサイズしています。

まずは解像感についてだ。実際に開放F値のF1.2から最小F値のF16まで撮り比べてみたが、画像中央に関してはF1.2の開放でも解像感は高く、F2.5あたりからさらにシャープさが際立つ。

画像周辺においては、F1.2でも目立つ収差もなく十分に解像、F2.5からF4あたりがピークの印象で、周辺まで圧倒的な解像感を見せた。そして、F5.6を過ぎたあたりから、画像全体に少しずつ回折現象による画像の低下を感じた。

次の作例はF2.8で撮影。画像左側の古いレンガや木材のディテールをしっかりと再現しており、画像中央部分と変わらないくらいクリアでコントラストも高い。

OLYMPUS PEN-F / M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.2 PRO / 1/60秒 / F2.8 / +0.3EV / ISO 200 / 絞り優先AE / 17mm

こちらもF2.8で撮影した。近接域でも画像の劣化なく、シャープに表現してくれている。ピント面であるドライフラワーの花びらの葉脈まで鮮明に写し、ボルトのサビの質感も出ている。

OLYMPUS PEN-F / M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.2 PRO / 1/250秒 / F2.8 / -0.7EV / ISO 200 / 絞り優先AE / 17mm

最短撮影距離ギリギリまで被写体に寄って撮影した。このレンズの最短撮影距離は20cm。被写体にぐっと近づいて撮影できるため、さまざまな表現を楽しめる。

またF1.2での最短撮影距離付近は被写界深度が浅いため、「O」の字の片側にピントを合わせると、片側はアウトフォーカスしているのが確認できる。にじむように大きなボケへと変わり、ピント面が浮き立って見えるのもこのレンズの魅力の1つだろう。

OLYMPUS PEN-F / M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.2 PRO / 1/1,250秒 / F1.2 / 0EV / ISO 200 / 絞り優先AE / 17mm

「美しくにじむボケと高い解像性能」をこの写真で感じることができた。アウトフォーカスするボケのグラデーションが美しく、滑らかに大きなボケに変化する。輪郭をにじませるようにボカすことで、とろけるような美しいボケを実現している。

画面右上の丸ボケを見ても、二線ボケのない輪郭を馴染ませた丸ボケに仕上がっている。大きなボケだからこそ際立つのはピント面のシャープさだろう。F1.2の開放でも洋服のディテールをしっかりと解像してくれているのがわかる。

OLYMPUS PEN-F / M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.2 PRO / 1/800秒 / F1.2 / 0EV / ISO 200 / 絞り優先AE / 17mm

「美しくにじむボケ」は前ボケにも発揮された。葉の輪郭がにじみ、やわらかくふんわりとした前ボケを作ることができた。

OLYMPUS PEN-F / M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.2 PRO / 1/320秒 / F1.2 / 0EV / ISO 200 / 絞り優先AE / 17mm

瞳を見てみると、絞り開放とは思えないシャープさを感じることができる。人物にぐっと近づいて撮影するときは被写界深度が浅くなるため、瞳優先AFを活用したい。顔をどこに配置しても瞳にピントを合わせ続けるため、自由な構図で撮影を楽しめる。

OLYMPUS PEN-F / M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.2 PRO / 1/2,000秒 / F1.2 / +0.7EV / ISO 200 / 絞り優先AE / 17mm

次に逆光性能を見てみよう。この日は雲1つない秋晴れで日差しも強かったが、夕日を背景にフレーミングしても、フレアを最小限に抑え、ゴーストも写らなかった。被写体のコントラストも高く、クリアに表現できている。

OLYMPUS PEN-F / M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.2 PRO / 1/2,500秒 / F1.2 / +1EV / ISO 200 / 絞り優先AE / 17mm

広角特有の歪曲収差もなく、周辺でも線をまっすぐに表現してくれている。建物や風景などの撮影にも活躍してくれそうだ。

OLYMPUS PEN-F / M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.2 PRO / 1/2,000秒 / F1.2 / +0.3EV / ISO 200 / 絞り優先AE / 17mm

広角レンズは広い範囲が写るため、主被写体だけでなく、背景も活かした撮影を楽しめるのがメリットだ。モデルだけでなく、背景も広くフレーミングすることで、街並みの雰囲気も伝わる1枚となった。

ノスタルジックな雰囲気にしたいと思い、アートフィルターのヴィンテージ(タイプ1)を使用。

OLYMPUS PEN-F / M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.2 PRO / 1/4,000秒 / F1.2 / +0.3EV / ISO 200 / 絞り優先AE / 17mm

被写体にぐっと近づけば、遠近感を利用して、奥行き感を出したり、被写体をダイナミックに表現したりできる。広角レンズを使うときは被写体との距離感を大事にしたい。

OLYMPUS PEN-F / M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.2 PRO / 1/2,000秒 / F1.2 / 0EV / ISO 200 / 絞り優先AE / 17mm

まとめ

普段からM.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PROを愛用しているが、25mm同様17mmも使うとクセになるレンズだと感じた。

マイクロフォーサーズの広角レンズとは思えない大きなボケを実現し、ピント面のシャープさも両立している。

さらに、少し絞れば圧倒的な解像感を感じることができる。標準や中望遠のレンズをメインとして使っている方には少し広いと感じるかもしれないが、広角レンズは被写体との距離、背景の切り取り方によって写真が大きく変わるレンズだ。

このレンズの描写が写真に一味も二味もエッセンスを加えてくれるだろう。1度使ってみると、手放せないレンズになりそうだ。

コムロミホ

文化服装学院でファッションを学び、ファッションの道へ。傍らモデルとしても活動。撮影現場でカメラに触れるうちにフォトグラファーを志すことを決意。現在、人物を中心として広告や雑誌等で撮影をする一方、カメラ専門誌等で海外、国内で街スナップを撮り歩いている。