デジカメアイテム丼

ついに登場!「Dタイプニッコール」でAFできるEマウントボディ用アダプター

レンズ内モーター非搭載のニコンFマウントAFレンズ(AFカップリングを使う方式)を、ソニーEマウントボディでAF可能にするマウントアダプターがいよいよ登場する。

ニコンFマウントのレンズのうちいわゆる「Dタイプニッコール」と呼ばれるレンズは、カメラ内のモーターでAFを実現しているため、マウントアダプターを介してのAF動作が行えなかった。

今回、MonsterAdapterがリリースするモーター内蔵のマウントアダプター「LA-FE2」によって、おそらく世界で初めてとなるFマウントレンズのAFカップリング動作によるミラーレスカメラでのAFが実現する。

この度、MonsterAdapter代理店の焦点工房からLA-FE2の試作品をお借りできたので、使用感をお伝えしたい。試したアダプターはファームウェアも最終版とは異なる。焦点工房によると、発売時期や価格は近日中に案内するとのこと。

MonsterAdapterは中国のメーカー「深セン魔環光電テクノロジー」のブランドで、マウントアダプターを中心に手がけている。すでに「LA-FE1」という、Eマウント機でFマウントのAF-I、AF-S、AF-Pといったモーター内蔵レンズをAF駆動できるアダプターが発売済みだ。

LA-FE2は、LA-FE1にAFモーターを追加した製品となる

アダプターにモーターを内蔵

今回のLA-FE2は、AF-I、AF-S、AF-Pの各ニッコールレンズに加えて、レンズ内モーター非搭載のAFレンズでのAF駆動にも対応したのが最大の特徴となっている。レンズ内モーター非搭載のFマウントAFレンズは、必ずしも「Dタイプ」とイコールではないが、慣例的にそう呼ばれることが多いため「Dタイプニッコール」とここでは呼んでいる。

AFカップリングがあれば動作可能ということで、今回は試していないがDタイプ以前のAFニッコールレンズもAF可能だとしている。

レンズ側(Fマウント)
カメラ側(Eマウント)

Dタイプニッコールなどニコンのモーター非内蔵AFレンズでは、AF駆動はカメラボディに搭載されたAFモーターをカプラーを介して機械的にレンズに伝える仕組みとなっている。LA-FE2はアダプター下部にモーターを内蔵することでAF駆動を実現した。先にも述べたが、この方法でモーター非内蔵のFマウントAFレンズのAF駆動を達成したマウントアダプターはLA-FE2が世界初とみられる。

Dタイプニッコールはフィルム一眼レフカメラ時代のレンズだが、最新のレンズとはまた異なった描写が楽しめることもあって今でもファンが少なくない。こうしたレンズ資産のある人にとっては、ボディがソニーにはなるが待望のアイテムといえるだろう。

実測重量は147g。いろいろの機構を含んでいるのでシンプルなアダプターに比べると少し重め

実用的な合焦速度

アダプターを見ると下部にモーターを収納した部分があるが、使用中に邪魔になるほどではなく、一般的なマウントアダプターに近い使用感となっている。

下に出っ張りがある。三脚ネジ用の穴は無い

そして特徴的なのがレンズ側マウントに「AFカップリング」があることだろう。これがレンズ側のカプラーに噛み合って、フォーカス駆動をする。加えて絞り連動レバーを搭載しており、絞りの制御も可能である。

アダプター側のAFカップリング
(参考)レンズ側のAFカップリング
アダプター側の絞り連動レバー
(参考)レンズ側の絞り連動レバー

使い方だが、カメラの電源をOFFにしてボディにLA-FE2を装着してからレンズを付け、電源をONにする。するとレンズのピントが無限位置に一旦移動し、撮影可能となる。ボディの電源を切るとピント位置はまた無限位置に来るようになる。

α7 III(以下同)に装着したLA-FE2

静止画撮影時のAFモードはAF-SとAF-Cの両方が使える。今回はボディに「α7 III」、レンズは「AI AF Nikkor 35mm f/2D」と「AI AF Nikkor 85mm f/1.4D IF」で試用したが、AF-Sならかなり実用的な合焦速度で使える印象だった。ピント精度も問題無く、合焦が確定すればピンズレもなく撮影できていた。

2本のレンズを「AF-S」、「フレキシブルスポットS」で試した様子。夜でも素早く合焦していた

一方AF-Cでも被写体を追ってくれるが、こちらは少し迷いが出てしまうようで、ニコンのデジタル一眼レフカメラの追い方ほど素早くはない印象だ。ちなみにAF-S、AF-Cとも顔/瞳AFも動作した。

AI AF Nikkor 35mm f/2Dの装着例
一眼レフレンズ用のアダプターなので厚みはそれなりにある
アダプターの下部はカメラ底部よりも突出する

LA-FE2のAF機能は静止画撮影専用の仕様となっており、動画モードではMF撮影となる。その時、そのままだとAFカップリングが連結しているのでフォーカスリングが回らない。そこで、LA-FE2の「AF/MFスイッチ」をMFにすることでカップリングが解除されフォーカスリングを回せるようになる。AF/MFスイッチの動作は静止画撮影時も同様だ。

AF/MFスイッチ

気になったことと言えば、純正ボディに比較してAFの駆動音が少々大きめなこと。特に至近から無限などピント位置が大きく動く場合、純正ボディよりも甲高い音が聞こえた。

さて、絞り値はボディのダイヤルでコントロールする。そのため、絞りリングは最小絞りにロックしておく。このあたりは純正ボディと同じお約束となる。絞りリングが使えないのは残念な気もするが、例えばMF時代のニッコールに比べるとDタイプレンズの絞りリングは回しやすいとは言えず、ここはボディ側コントロールで正解かとは思う。

絞りリングは最小絞りに固定しておく
AI AF Nikkor 35mm f/2Dでの撮影例。絞りは開放のF2。古いレンズらしいボケ方や大きめの周辺減光など、最新レンズとは異なる趣がある

AF動作時は、絞り込んでいても絞り開放でピント合わせが行われた。マニュアル露出モードでもAF時の絞りは開放状態だが、プレビュー画面は絞り込むとそれに対応して暗く表示されるので、写る明るさは確認できる。

そのほか、電子接点付きということでカメラ側にレンズの情報も伝わる。Exifにも焦点距離や絞り値が記録される。ボディ内手ブレ補正でも焦点距離が自動認識されていると思われ、85mmの望遠レンズでもしっかり補正できていることが確認できた。

AI AF Nikkor 85mm f/1.4D IFのようにレンズにAF/MF切り換えリングがある場合は、それをMFにするとアダプターのスイッチはAFのままでMFができる
AI AF Nikkor 85mm f/1.4D IFでの撮影例。敢えて暗い時間に絞り開放で撮ったが、問題無く撮影できた

非動作のレンズもあるがファームアップに期待

これまでDタイプニッコールは、ミラーレスカメラでは基本的にMF撮影を余儀なくされており、拡大表示をしたりピーキング表示に頼ったりとピント合わせが結構手間だった。その点、やはりAF撮影ができるとスナップ撮影でも瞬時にピントが合わせられて快適なのを実感した。片手持ちでも撮影可能で、傘を差しながら雨の景色も撮りやすい。

ボディ側のマウント外周にはラバーのシーリングも付いていた

Dタイプニッコールはフィルム時代のレンズなのでオールドレンズと言って良いと思うが、MFが当たり前のオールドレンズでAFができるという点も、オールドレンズファンからすると妙味があるのではないだろうか。

ところで、「AI AF Zoom-Nikkor 24-85mm f/2.8-4D IF」というズームレンズも手元にあったため装着してみたところ、AFが正常に動作しなかった。アダプターが試作品なのも関係するかもしれないが、一応対応リストには入っているようなのでこうしたレンズも今後のファームアップでの対応を期待したいところだ。

LA-FE2にはUSB端子は無いが、カメラボディ経由でのファームウェアアップデートが可能。メーカーも、対応レンズを増やすためにファームアップをしていくことを表明している。

AI AF Zoom-Nikkor 24-85mm f/2.8-4D IFでは合焦に至らなかったが、焦点距離や絞り値についてはカメラ側に伝わってはいたようだ
LA-FE2を装着してのレンズのバーションは01だった

とはいえ、LA-FE2は全てのレンズに対応しているわけでは無く、AFが動作しないレンズもあるとのこと。加えて、古めのEマウント機など本アダプターではAF動作しないボディもあるそうなので、正式発表の際に対応するボディとレンズを確認したい。

1981年生まれ。2006年からインプレスのニュースサイト「デジカメ Watch」の編集者として、カメラ・写真業界の取材や機材レビューの執筆などを行う。2018年からフリー。