デジカメアイテム丼

光軸そのまま、縦横を切り替えられるアダプター「ATOLL」

ケンコートキナーが発売した縦・横構図を瞬時に切り替えできる回転リング「ATOLL」を紹介する。

雲台とカメラ本体の間に取り付けるアイテム。本体中央のリングが回転することで、カメラ本体が360°回転する仕組み。三脚座の用意がないレンズに、三脚座を取り付けるイメージを持つと良いだろう。

L型ブラケットと異なり、縦横位置を切り替える際に、雲台から外す必要がないのが特徴のひとつ。もうひとつはレンズを中心として回転させるため、雲台の操作で縦横を切り替える時のように光軸や重心の移動がなく、切り換えごとの再調整が不要な点も特徴だ。

回転部分は二重構造となっており、内側と外側のリングが個々に回転する仕組み。内側のリング(カメラプレート)はカメラ固定用で、外側のリングは雲台取り付け用となる。

リングは2重構造。個々が回転する仕組み
カメラプレートをカメラボディの三脚穴に装着。もうひとつは雲台に取り付けて使用する。

操作するのは側面のロック解除・固定ノブ。特に三脚座が付いたレンズを使ったことがある人なら、違和感なく使えることだろう。

雲台への取り付け部分はアルカスイス互換のプレート形状。1/4ネジ穴も備える。

なおアルカスイス互換のものでも、雲台によっては形状的に干渉して装着できない場合があるという。取扱説明書によると、取り付けネジの位置が前後に調整できる雲台であれば、干渉する可能性が少ないという。

そのほかリング自体がカメラ本体と三脚をつなげているので、ボディを三脚に固定したままのレンズ交換にも対応する。縦横位置の切り替えのみならず、ボディの落下のリスクなく、安心したレンズ交換が行えるのも特徴のひとつだろう。

今回は写真と動画で使い勝手をチェックする。

まずは山の上から鉄道を動画で撮影。俯瞰からのアングルとなり様々な構図で撮りたくなるが、縦横の切り替えには時間がかかることが多い。横縦の切り替えであれば、自由雲台や3way雲台でも可能だが、光軸が移動し、構図の中心がずれてしまうため、切り替え後に再調整が必要となる。

ATOLLを使うことで瞬時に横位置から縦位置に切り替えられ、構図の中心もほぼ変わらない。シャッターチャンスを逃す心配も少なくなる。そのぶん、露出確認などに目を配る余裕が生まれる。


続いて富士山を撮影した。太陽が富士山の後ろに隠れて刻一刻と空の様子が変わっていくところ。

ニコン Z 9にマウントアダプター「FTZ II」と交換レンズ「AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED」を取り付けて撮影した。

今回は風景撮影での使用となったが、マクロ撮影や星景写真、ポートレートなど様々な分野で活用できるアクセサリーのひとつ。

また動画でも縦位置ニーズが増えており、縦横それぞれの動画をスピーディーに押さえておく、といった使い方にも活躍するだろう。

本誌:佐藤拓