フォトアプリガイド

NEGAVIEW PRO(iOS/Android)

ネガにかざして反転表示 確認向けのシンプル操作が特徴

ネガフィルムをポジ反転して表示できるスマートフォンアプリ「NEGAVIEW PRO」が登場し話題となっている。フィルムカメラユーザーや、かつて撮影したフィルムを持っている人はおおいに気になるアプリだろう。筆者もそうした1人であり、今回実際に使い勝手などを試してみた。

NEGAVIEW PROは、Android用(Android 2.2以降)とiOS用(iOS 11.0以降)が用意されており、価格はいずれも370円。無料版は無く、有料版のみとなっている。

機能はシンプル

このアプリを使うに当たっては、ライトボックスなどフィルムをうしろから照らす光源が必要となるのであらかじめ用意しておきたい。ライトボックスが無い場合はタブレットやPCのディスプレイでも代用できる。

タブレットをライトボックス代わりにしたところ。ライトボックス化する無償アプリがあるので利用した。

今回はAndroid版を試用した。NEGAVIEW PROを起動するとライブビューの画面になり、すぐにフィルムの反転映像を確認できるようになっている。ご存じの通りネガフィルムは明暗が反転しているため、肉眼で見ても本来の色や明るさは確認できない。

ところが、NEGAVIEW PROをかざすと本来の写りがリアルタイムで確認できるのである。これはなんとも新鮮な体験で、ちょっとした感動を覚えた。

対応するフィルムはカラーおよびモノクロのネガだ。フィルムサイズはライトボックスに載る大きさであればどんなフォーマットでも見ることができる。

使い方だが、まず右上でカラーとモノクロを選択する。基本的にこれだけで綺麗に見えるが、フィルムの露光状態などによっては明るさや色が不自然な場合がある。その時は、画面下に並んだアイコンから調整できるようになっている。

下のアイコンは左から「明るさ」「コントラスト」「赤」「緑」「青」となっており、その隣りに設定のリセットボタンがある。フィルムを映しながら適宜これらのスライダーで調整すると見やすくなる場合がある。色味は、例えば青みが強いようなら青のスライダーをマイナスに動かすという具合だ。モノクロモードでは明るさとコントラストのみ調節できる。

設定が決まって観賞する際には右下の「Hide」を押すと、アイコンが消えて画面が広くなる。また画面をピンチインすると拡大表示もできる。

撮影も可能

NEGAVIEW PROはフィルムを見るだけではなく、撮影する機能もある。右側のカメラアイコンをタップすると画面をそのままpng形式で記録できる。ただし記録された画像は1,920×1,080ピクセルで、カメラ本来の解像度で記録できるわけではなかった。ライブビュー映像をそのままキャプチャしているようだ。

そのため、画質はスキャナーで取り込んだものに遠く及ばない。記録画像にはジャギーの発生も見られた。

35mmカラーネガフィルムの撮影例。
同上。こちらはできるだけフィルムに近づけて撮影したもの。

加えて、このアプリにはフィルムのコマを検出してトリミングするような機能も備わっていないことから、画質を重視したスキャンに使うには厳しいものがあると感じた。一方で、スマホの画面で見る事を前提に保存したり、SNSにアップロードするにはとても手軽な方法といえそうだ。

フィルムスキャナーや写真店でのデジタル化に対するメリットを挙げれば、並べた複数のコマを1つの写真として保存できること。また、フィルムの銘柄が書いてある部分までスキャンできる点などが挙げられそうだ。なお、パーフォレーション(穴の列)も写ればおしゃれに思うが、黒く抜けてしまうので写らなかった。

120サイズのカラーネガフィルムも撮影してみた。そのままライトボックスの上に置くとカールしてしまう。

その場合はネガを入れる透明のスリーブケースに入れたまま撮影するとカールは抑えられた。しかし、フィルムの置き方が変わると明るさや色味も変わってしまうようだ。この辺りをスライダーできちんと調整しようとすると、なかなか根気がいる。

こちらは120サイズのモノクロネガフィルムを撮影。スライダーでコントラストを少し上げている。

何枚かのフィルムを無造作に置いて撮るのも面白いし、別のフィルムをスマホの前にかざしてコラージュのようにすることもできる。工夫次第でSNS映えする写真を残せそうだ。

SNSを意識して正方形にトリミングしてみた

もう1つ面白い使い方としては、モノクロネガフィルムをカラーモードで表示して、赤を-100、緑を+100、青を+100にするとセピア色の写真にすることができるので、ぜひやってみて欲しい。

ちなみにフィルムを2枚重ねて多重露光のような写真になるか試したが、これはちょっと難しいようで綺麗に見ることはできなかった。最初から合成を考慮した露出で撮影しておけば可能かもしれないが……。

まとめ

以上の通りざっと使ってみたが、フィルムビューアーとして考えるとよくできているアプリだと思った。昔撮った数々のフィルムを時間も忘れて見入ってしまったほどで、なかなか楽しいアプリであった。

記録解像度の低さや1コマごとの調整の手間などを考えると、フィルムのアーカイブ用に使うには難があると言わざるを得ないが、内容の確認やSNS投稿などにはもってこいのアプリと思う。無料版が無いのは残念だが、そこまで高価でもないので、フィルムをお持ちなら気軽に試してみてはいかがだろうか。

武石修

1981年生まれ。2006年からインプレスのニュースサイト「デジカメ Watch」の編集者として、カメラ・写真業界の取材や機材レビューの執筆などを行う。2018年からフリー。