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ソニー製APS-Cセンサー搭載の冷却CMOSカメラ「Player One Poseidon-C Pro」
2023年4月21日 11:00
株式会社サイトロンジャパンは、Player One Astronomyの天体撮影用冷却CMOSカメラ「Poseidon-C Pro」(カラー)と「Poseidon-M Pro」(モノクロ)、関連アクセサリー15種類を4月26日に発売する。
冷却CMOSカメラ「Poseidon-C Pro」「Poseidon-M Pro」
どちらのカメラも、1画素3.76μmの微細なピッチと全域で均一な受光特性をもつというソニー製2,610万画素APS-Cフォーマットセンサー「IMX571」を採用。
裏面照射型のSTARVISテクノロジーにより、「Poseidon-C Pro」で約81%、「Poseidon-M Pro」で約91%の高い量子変換効率と低読み出しノイズを実現している。
イメージセンサーの冷却には、2つのTEC(冷却素子)を用いた「デュアルTEC冷却システム」を採用。センサーチャンバーの構造の最適化、テフロンスペーサーによる伝導熱(ヒートバック)の軽減、大型ヒートシンクによる効率的な排熱により、最大で外気温40度の強力な冷却が可能。また、冷却による結露を防ぐため、結露防止ヒーターも内蔵する。
また、光の情報のデジタル信号に変換には、高分解能な16bitのADCを採用。豊かでなめらかな階調の記録を可能としている。
加えて、独自のチューニングにより、「IMX571」のカタログスペックでは50keの飽和電荷容量(FullWell)を71.7keまで拡張。飽和しにくいことで、表現の幅がより広がるという。
東西南北の軸に対するセンサーの長辺・短辺の直交性は重要であることから、センサーの辺に対応する位置が平面となるカメラボディデザインを採用。セッティングや構図の変更時、角度合わせに利用できる。
また、望遠鏡との接続部分は円形になっており、一部のプライムフォーカス鏡筒に使用した際に回折光を円形に保ち、星像に与える遮蔽の影響を最小限にとどめられるという。
カメラを望遠鏡に取り付けた状態でも簡単に操作ができるチルトプレート形状を採用。各辺に対応した位置に調整ネジがあり、スケアリングの調整に際してより直感的に傾きを修正可能。チルトプレートと本体の間には、遮光性に優れたシェーディングパッドが装着する。
本体内部には512MB DDR3キャッシュメモリを搭載。フレームのドロップを回避し、読み出しを安定させることで、リードアウトノイズやアンプグローを大幅に減らせるという。
また、デッドピクセルサプレッション(DPS)テクノロジー搭載を搭載し、ホットピクセルやクールピクセルといった欠損画素(デッドピクセル)を自動で判別。カメラ内部のメモリへ記録することで、撮影時に自動的に補正し、デッドピクセルを大幅に抑制可能。
このほか、ハイゲイン設定時に読み出しノイズを大幅に低減し、低ゲインと同じ高ダイナミックレンジを維持するHCG(high conversion gain)モードを搭載する。
PCとの接続用のUSB Type-C(USB 3.0)ポートのほか、アクセサリー接続用のUSB Type-C(USB 2.0)も備える。
画素読み出しモードとして「Normal」モードのほか、読み出しノイズを大幅に低減し、長時間露光時により低ノイズな画像が得られる「LowNoise」モードを搭載している。
なお、Player Oneの冷却CMOSカメラをネイティブサポートしているのは「Sharpcap4.1」(β版)以降のみ(2023年4月時点)。Sharpcap以外のキャプチャーソフトを使用する場合は、ASCOMプラットフォームと、Player Oneが無償配布するASCOMドライバーをインストールすることで使用可能になるという。
主な仕様(共通)
- イメージセンサー:SONY IMX571 裏面照射型CMOSセンサー
- フォーマット:APS-C(23.5×15.7mm)
- 解像度:6,252×4,176ピクセル(約2,610万画素)
- ピクセルピッチ:3.76×3.76μm
- シャッター:ローリングシャッター
- シャッター速度:32μs~2000s
- QE:約81%(カラー)/約91%(モノクロ)
- 読み出しノイズ:3.9~1.0e
- 保護ガラス:ARコートクリア(直径46mm/厚さ2mm)
- フランジバック:17.5mm(チルトプレート取り外し時12.5mm)
- 内部キャッシュ:512MB(DDR3)
- 筐体直径:最大90mm
- 接続規格:M48 P0.75mm、50.8mm 差し込み/31.7mm 差し込み
- 質量:約650g
- 価格:税込28万円前後(Poseidon-C Pro)、税込35万円前後(Poseidon-M Pro)
関連アクセサリー
Phoenix M48 電動フィルターホイール
USB Type-C(USB2.0)でPCと接続し、ASCOMを介してして電動でフィルターの切り替えを行うことのできるフィルターホイール。
1.25フィルターを8枚搭載できる「Phoenix M48 電動フィルターホイール 8×1.25”」と、36mmフィルターを7枚搭載できる「Phoenix M48 電動フィルターホイール 7×36mm」の2種類をラインナップする。価格は、どちらも税込4万7,000円前後。
ホイール部分の厚さは21mm(モーターを搭載した最厚部でも30mm)と極めて薄型で、磁気を利用した非接触ホールセンサーと9.5mm厚の超薄型静音ステッピングモーターを搭載。フィルターを定位置へと素早く正確に回転させられるという。
カメラや望遠鏡との接続は、汎用性の高いM48×P0.75mm(メス)を使用。
オフアキシスガイダーと組み合わせる場合は、 M2.5のネジ穴にビス止めすることで、プリズムの位置を正確に合わせることが可能。
光路長は約20mm。ホイール外径は約168×184mmの涙滴型。質量は約520g(フィルター除く)
USB Type-Cケーブル各種
Player Oneの冷却CMOSカメラ本体とPCやガイドカメラ、フィルターホイールを接続するためのUSB Type-C USBケーブル。
ラインナップと価格(税込)は以下の通り。
- USB 3.2 TypeC to A(2m)ケーブル:3,000円前後
- USB 2.0 TypeC to A(2m)ケーブル:3,000円前後
- USB 2.0 TypeC to B(0.5m)ケーブル:3,000円前後
- USB 2.0 TypeC to B(1m)ケーブル:3,000円前後
- USB 2.0 TypeC to C(0.5m)ケーブル:2,000円前後
M48カメラキャップ
Poseidonシリーズのカメラなど、接続がM48×P0.75mmメスのカメラのセンサーの前や、延長筒の先端に取り付けられる金属製キャップ。価格は税込2,000円前後。
ローレット加工が施され、ゴムパッキンが装着されている。
延長筒各種
主にPoseidonシリーズなどの冷却CMOSカメラを、望遠鏡やフィルターホイール、オフアキシスガイダーと運用するために使用する各種延長筒。
ラインナップと価格(税込)は以下の通り。
- M54 オス-M48 オス 2mm アダプター:3,000円前後
- M54 オス-M54 オス 2mm アダプター:3,000円前後
- M48 メス-M54 オス 17.5mm アダプター:5,000円前後
- M48 メス-M48 オス 17.5mm アダプター:4,000円前後
- M48 メス-M48 オス 20mm アダプター:4,000円前後
M54/M48 FHD オフアキシスガイダー MAX
光路長付属の専用アタッチメントプレートを取り替えることで、M42(鏡筒側に変換リングを取り付けて対応)、M48、M54の切り替えに対応したオフアキシスガイダー。価格は税込3万円。
14×8mmの大型FullHDプリズムを搭載し、スティックタイプのガイドカメラシリーズに対応する。IMX174/IMX249などの1.2/1型センサーを使用した場合でも、ガイドカメラにケラレが生じることなくガイド星を捉えられる。
ガイドカメラを取り付けるヘリコイドは、ストローク長約9mmの直進式ヘリコイドを採用。センサーの縦横位置を変えることなく、精密にガイド星のピントを合わせることができるという。
「Phoenix M48 電動フィルターホイール」もしくは、「フィルタードロワー MAX」と組み合わせてカメラと望遠鏡に取り付けて使用する。
なお、4カ所または、6カ所をネジ止めして固定するため、カメラとオフアキシスガイダーのみでの接続は不可となる。
対物側接眼径は、M48×P0.75メス、M54×P0.75メス(M42→M48 変換リング付属)。
光路長は17.5mm。質量は約250g(カメラ除く)。