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アドビ、ニコンと協働でデジタル作品の信頼性確立へ向けた動き。来歴記録機能を搭載した「Z 9」を参考展示

ニコン Z 9

アドビ株式会社は10月19日、同社が主導するコンテンツ認証イニシアチブ(Content Authenticity Initiative:CAI)が株式会社ニコンとのパートナーシップを結んだと発表した。

あわせて、来歴記録機能を特別に組み込んだミラーレスカメラ「ニコン Z 9」をクリエイティブの祭典「Adobe MAX 2022」(米国・ロサンゼルス)にて参考展示している。なお、「ニコン Z 9」への同機能の搭載は予定しておらず、今回の展示については、開発中の機能の発表を目的としている。

来歴記録機能は、いつどこでどのように撮影されたかを含む、画像の来歴情報を撮影時に写真に付与する機能。デジタルコンテンツのライフサイクルの過程で混入する可能性のある「誤った情報」や「虚偽の情報」の拡散防止を目的としており、デジタル作品の信頼性の確立が期待できるという。

今回、「ニコン Z 9」にはカメラ機器としてはじめて、CAIとのパートナーシップのもとで作成された規格「Coalition for Content Provenance and Authenticity」(C2PA)に準拠した機能が実装された。この取り組みについて同社は、コンテンツの信頼性の確立とデジタル作品の作者への適切な帰属を実現するうえで大きな前進だと説明する。また、同機能のカメラへの実装には、同社が普及を推進するCAIオープンソースツールが使われているという。

ニコンは、カメラメーカーとしてはじめてCAIとC2PAの両方に参画。将来製品への搭載に向けて、C2PA規格に準拠した来歴記録機能の開発を進めているという。

CAI(Content Authenticity Initiative)は、オンラインコンテンツの誤報や偽情報に対抗することを目的として2019年にアドビが設立したグループ。800以上の企業・団体会員を擁し、主要メディアやIT企業、非政府団体、学術機関などと協力して、デジタルコンテンツの信頼性と透明性の向上に寄与する技術の導入を推進している。

C2PA(Coalition for Content Provenance and Authenticity)は、コンテンツの来歴および信頼性のための標準化団体。

飯塚直

(いいづか なお)パソコン誌&カメラ誌を中心に編集・執筆活動を行なうフリーランスエディター。DTP誌出身ということもあり、商業用途で使われる大判プリンタから家庭用のインクジェット複合機までの幅広いプリンタ群、スキャナ、デジタルカメラなどのイメージング機器を得意とする。