ニュース

日本カメラ博物館で本日開幕「カメラと動画 —動画126年の歴史—」。展示品の一部を紹介

一般財団法人日本カメラ財団が運営する日本カメラ博物館は、特別展「カメラと動画 —動画126年の歴史—」を10月19日から2022年1月30日にかけて開催する。

現代人の生活に溶け込む「動画」について、最初期の映画機材や家庭向けの小型撮影機、各種映写機などを交えて紹介する内容。初期のアニメーションビューワーや、動画機能に特徴のあるデジタルカメラも一部展示している。

なお、10月18日午後に行われた報道公開では、1989年の開館から2021年6月末で同館の館長をつとめた森山眞弓氏の逝去が伝えられた。森山眞弓氏は内閣官房長官、文部大臣、法務大臣などを歴任。個展を開くなど、写真撮影の趣味でも知られている。日本カメラ財団(Japan Camera Industry Institute)の前身である日本写真機検査協会(Japan Camera Inspection Institute)は、1954年に夫の森山欽司氏を理事長として創設された。

今回の特別展は、いわゆるスチルカメラの展示がほぼなく、あくまで“動画機材”がメインとなっている。とはいえカメラファンにとっては、各時代における撮影機能の進化(ゼンマイからモーター駆動へ、ターレットからズームレンズへ、MFからAFへ……など)や、レンズの名前と外観など、スチルカメラとの共通を見出して楽しめる展示となっていた。本稿では、約150点という展示品の中から一部を紹介する。

展示品の一部を紹介

35mmフィルムの撮影・投影が可能な「シネマトグラフ」(1895年)。カメラの背面から照明を当てることで投影した。
「エジソン キネトスコープ」(1897年)は、個人鑑賞用だった「キネトスコープ」を投影式としたもの。本体上部にマガジンを装着し、手前のアームに装着したリールで巻き取る。
イギリス・ビンテンの「ビンテン」(1929年)は、35mmフィルムを使うムービーカメラ。現在もヴァイテックグループのVinten(ヴィンテン)としてビデオ/映画用三脚を手がけている。
シネコダック モデルK(1930年)。2019年のNHK大河ドラマ「いだてん 〜東京オリムピック噺〜」のマラソンシーンで、当時の撮影機材として使用されたものだという。
ペンタコン ペンタフレックス AK16(1953年)。ゼンマイもしくは電動モーターで駆動可能。16mmフィルムを使用する。
各時代の関連媒体も展示されている。「VIDEO CAPA」と、その別冊「デジタルCAPA」
1938年の「シネニッコール 12.5mm F2.8」(試作)。本稿執筆時点では、品川のニコンミュージアムでもシネニッコールの展示が行われている。
アリフレックスと、それを元にしたドイフレックス(土井工作所)。1950年代の16mmカメラ
16mmカメラのコーナー
NHKの使用機材。シンモール セリエC(1952年)。斜め後ろから交換できるマガジンの利便性の高さが特徴。テレビのニュース撮影に使用されたという
アリフレックス 16ST(1952年)。NHKの番組制作カメラとして当時もっとも台数が多かったという。100ftフィルムで3分弱撮影できた
キヤノン スクーピック16MN(1974年)。1973年発売のスクーピック16Mをベースに、ニュースカメラマン向けに操作性と耐久性を向上させたプロフェッショナルモデルだという。
フォトソニック アクションマスター500(1970年)、最速500コマ/秒の高速撮影が可能。NHK「ウルトラアイ」などの科学番組で使われたという。
スチルカメラの流行機の名前を冠したダブル8のカメラ「オリンパスペン 8EE」(1963年)
スーパー8の展示コーナー
ビデオカメラのコーナーより、ソニー ベータムービーBMC-100(1983年)。ベータムービーの1号機。発売時に世界最小・最軽量だったという。
ほかにも、ソニーが小型軽量をアピールしたモデル。中央はハンディカムCCD-V88(1988年)。1kgを切る最軽量モデルで、同年のグッドデザイン賞。左は当時“パスポートサイズ”として人気を博したというCCD-TR55(1989年)。
動画を撮れる一眼レフカメラの始まりは、2008年のニコンD90(右)。その後に登場した35mmフルサイズ機のキヤノンEOS 5D Mark II(中央)で“一眼動画”が広まった。シグマfp(左)は、ヒートシンクの搭載など動画撮影時の放熱に配慮した構造が特徴。
1995年の「リコーDC-1」が動画撮影できるデジタルカメラの最初だという。

図録を販売中

今回の特別展の内容をまとめた図録が日本カメラ博物館およびオンラインで販売されている。価格は税込1,000円。

日本カメラ博物館

所在地:東京都千代田区一番町25番地 JCIIビル
開館時間:10時00分〜17時00分
休館日:毎週月曜(月曜祝日の場合は翌火曜)、年末年始(12月27日~1月4日)
入館料:一般300円、中学生以下無料。10名以上の団体割引あり

本誌:鈴木誠