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パナソニック、「LUMIX S1R」「LUMIX S1」を日本初披露
カメラ/レンズの実機写真を掲載 銀座にギャラリーを開設
2019年2月14日 21:30
パナソニックは2月14日、35mmフルサイズミラーレスカメラ「LUMIX S」シリーズ(3月23日発売)の製品発表会を実施した。海外で先行発表されており、日本国内で初披露となる。記事後半には、会場に展示されていた実機写真を掲載している。
パナソニック製品の「インプット」を担うLUMIX
発表会の最初に、パナソニック株式会社 執行役員 アプライアンス社 副社長の渕上英巳氏が登壇。パナソニックにおけるLUMIXの存在を改めて説明した。
パナソニックは2018年に創業100周年を迎え、今後のビジョンを「くらしアップデート業」という言葉で定義。その中でいわゆる家電事業を担当するアプライアンス社は、「一つひとつのくらしアップデート」をキーワードとしている。
LUMIXのデジタルカメラも、そのアプライアンス社の領域。2008年に世界初のミラーレスカメラを発売してから、「(カメラ業界の)チャレンジャーとして先端技術に磨きをかけて挑戦してきた」と振り返る。ライカカメラ社との協業は17年になり、ライカの高い光学技術および物づくりの力と、パナソニックのデジタル画像処理技術の融合で、数々の世界初を送り出してきたと話す。
2018年9月に発表したLUMIX Sシリーズは、同社いわく「静止画/動画の両面に有利」というLマウントを採用。ライカカメラ、シグマとの3社協業による「Lマウントアライアンス」に加わるというニュースも注目を集めた。将来的には、Lマウントがミラーレスカメラのトップランナーとなることを目指しているそうだ。
LUMIX Sシリーズは「プロの体の一部になる」ことを目指しており、サポート体制の充実も図る。LUMIXとしては初めてとなるプロサポートブースを東京2020のメインプレスセンターに設置することが発表されている。
LUMIX S1R/S1の概要
パナソニック株式会社 アプライアンス社 イメージングネットワーク事業部 事業部長の山根洋介氏が登壇し、LUMIX S1R/S1の概要を紹介した。
プロの作品づくりに使用されることを目指したLUMIX S1R/S1。絵作りはLUMIX G9 PROで訴求した「生命力・生命美」の思想を継承しつつ、フルサイズセンサーならではの階調特性などを活かして発展させた。イメージセンサー、画像処理エンジンともに新開発のものを搭載している。
LUMIX S1R/S1の本体サイズについては、山根氏も当初は「大きい」と感じたそうだ。しかし、このサイズゆえにカメラがブレにくく、操作性が高められ、高品位のEVFや防塵防滴性能も持たせられるため、"これがいい"と感じるユーザーが必ずいると信じて、まずはそこに届けたいと話していた。
LUMIX SシリーズのLマウント交換レンズについては、「レンズの味というべき印象的な立体表現と美しいボケ味を実現」したといい、動画対応についても「4Kの先までも見据えている」とした。中でもハイグレードカテゴリとして提供するLUMIX S PROレンズは、ライカカメラ社の基準をクリアした証として「Certified by LEICA」を冠する。
東京・銀座にLUMIXのショールーム/ギャラリーを開設
ユーザーとの絆を深めることを目的として、"写真文化のメッカ"という銀座にショールームを設置すると発表。LUMIX Sをはじめとする同社カメラ製品を体感できるほか、写真や映像でLUMIXの世界観を感じられる密度の高い空間にしていくという。これに伴い、プロサービスも秋葉原から銀座に移転してサポート体制を強化するそうだ。
綾瀬はるかさんの写真集をLUMIX Sで撮影
LUMIX Sのマーケティング関連では、「LUMIX CHALLENGE」として女優の綾瀬はるかさんを世界各地で撮影し、10冊の写真集を講談社から出版すると発表された。
第1弾は、写真家の佐内正史氏が台湾で撮影。佐内氏にとってデジタルカメラでの撮影は初だそうで、この撮影を通じて感じたLUMIX Sの「良かった点」「改良すべき点」なども、素直なインプレッションをWebサイトで公開していくという。
「値段以上の所有感が出てくる」
すでにLUMIX S1Rで3か月にわたり撮影を行った、写真家の相原正明氏が登壇。作品を示しながら印象を語った。
現在は「写真機」というより「情報デバイス」のようなデジタルカメラが多いと感じる中、LUMIX S1Rは所有感が高く、久々に写真機だと思ったという相原氏。フルサイズならではの階調再現で作品性が高まる点も特徴としていた。
夜間や早朝の高感度撮影でも、AF性能が高いためフレーミングとシャッターチャンスに集中でき、目の前のカメラの存在を忘れさせてくれる点がよいと評価。レンズのコーティングがしっかりしているため、逆光/半逆光のような過酷な環境で使うとポテンシャルが発揮されるという。レンズは特に50mm F1.4を高く評価し、「この50mmを使うためにLUMIX S1R/S1を選んでも損はないと思う」と語った。
また、「(LUMIX S1R/S1は)スペックに出ないところが素晴らしい」として、特にファインダーを高く評価。操作フィーリングについても「値段以上の所有感が出てくる」と好評価だった。
実機に触ってきた
発表会場でLUMIX S1R/S1および交換レンズ3本を手に取ることができた。まだ試作機の段階のため、発売まで細部のチューニングは続くという。なお、発売後に寄せられた意見を取り入れたファームウェアアップデートでの改善・機能追加も積極的に続けていきたい考え。
シャッターを切った際の動作感触は、マイクロフォーサーズのLUMIX G9 PROに通じるキレの良さがあった。音量は控え目だが、ボディの重量感・剛性感と相まって密度を感じた。
人体認識のレスポンスを試してみたところ、モデルがこちらを向いていないとき(画面内で顔が小さいか、顔が隠れている時)は人物全体にAF枠が表示されているが、顔を認識すると瞬時にマークが切り替わり、カメラに近いほうの瞳に十字のターゲットが出た。
EVFは、これまでのLUMIXから大きく飛躍した高品位な仕上がり。メガネを掛けていても全体を見渡せ、周辺部が滲むようなこともなかった。接眼レンズの設計によっては瞳の位置が少しでもズレると像が歪んでしまうものや、視度補正の度合いによって四角いファインダー像がタル型/イトマキ型に歪んでしまうものもあるため、LUMIX S1R/S1の接眼レンズはとても高品位といえる。
同社の技術担当者に聞いたところ、今回の新製品でファインダーの品位などが飛躍的に改善された背景には、LUMIX G9 PROでの経験が大いに活きているそうだ。ファインダー像に情報表示が重ならない配置など、細かく検討を重ねたという。