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結果発表!「デジカメ Watch アワード 2018」
フルサイズミラーレス戦国時代、その元年を制した機種は?
2018年12月28日 15:08
今年発売されたレンズ交換式デジタルカメラから最大5機種に投票いただく「デジカメ Watch アワード 2018」の結果を発表します。総投票件数は3,893でした(受付期間:2018年12月13日〜12月27日)。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。この場をかりて厚く御礼申し上げます。
1位:ソニーα7 III(1,678票)
映えある1位に輝いたのは、第3世代に進化したフルサイズαのスタンダードモデル「α7 III」でした。総投票件数3,893件のうち、約43%もの支持を集めています。本年話題をさらったキヤノン、ニコンのフルサイズ機を制しての堂々たる1位獲得、おめでとうございます!
本機は、有効約2,420万画素の35mm判フルサイズ裏面照射型CMOSセンサーを搭載した機種。フラッグシップモデルの「α9」と、高解像度モデルの「α7R III」の基本仕様やカスタマイズ性を取り入れたモデルです。「従来のベーシックの概念を打ち破る(高い水準の機能・性能を持つ)ベーシックモデル」と同社がいうように、このバランスの良さが高い支持を得た理由だといえそうです。
ワンショットAF時の連写性能は最高約10コマ/秒で、キヤノンEOS Rの約8コマ/秒と同画素数のニコンZ 6の約5.5コマ/秒(拡張時は約12コマ/秒)より優位に立っています。
前述した2機にもそれぞれ搭載されている、ボディ内手ブレ補正や瞳AFといった魅力もさることながら、システムとして順調に育ってきたこともあり、レンズラインナップも豊富という利点も大きな魅力となっているといえそうです。純正以外にもサードパーティー製レンズが使える点や、SIGMA「MC-11」を介してEFマウントレンズが使える点も複数マウント使用者にとっては嬉しいポイント。
追撃、猛攻をかけるキヤノンとニコンに対して、先行者としてのアドバンテージを発揮する結果となりました。ただ、まだまだ始まったばかりの戦国時代、次代も覇権を握り続けることができるか、来年もひじょうに楽しみな年になりそうです。
2位:ニコンZ 6(1,177票)
2位には、ニコンZシリーズからZ 6がランクイン。8月の発表を経て11月23日に発売された同機種ですが、まだ1カ月程度という短期間ながら、実に多くの票を集めました。
位置づけとしては1位のソニーα7 III同様にオールラウンダーをはるモデル。総合性能のバランスの良さが評価されたものと思われます。
画素数は2,450万画素と抑え気味にして、常用ISO感度をISO 100〜51200と高めにしたことで、同画素数クラスの35mm判フルサイズセンサーを搭載するデジタルカメラとしてはトップレベルの高感度性能を獲得。拡張という条件はつくものの、約12コマ/秒という連写性能も魅力です。
3位:ニコンZ 7(1,105票)
続いて、ニコンZ 7がランクイン。ニコンZシリーズの2機種が上位を獲得する結果となりました。機になる2位Z 6との得票数の差は僅差。わずか72票に過ぎません。
2位のZ 6とあわせると、総投票件数に対する得票パーセンテージは58.6%を誇り、メーカー単位でいえば、トップとなります。このことからも、いかに多くのニコンファンが待望し、また新たなファンを獲得したかが知られます。
Z 7は、オールラウンダーのZ 6に対して高画素機に位置づけられる機種。4,575万画素FXフォーマット裏面照射型CMOSセンサーを搭載しており、画素数だけでいえば同社D850と同等。D810から続く常用低感度ISO 64に対応するほか、絞りこんだ際の回折現象を低減する「回折補正」機能を新たに搭載している点も風景撮影時に嬉しいポイントです。
「不変のFマウント」からついに新たなZマウントが誕生し、100周年の次の一歩を踏み出した同社。ファンミーティングも盛況の内に幕を閉じ、Zシリーズは賛否両論どうあれ、多くのニコンファンに暖かく迎え入れられることとなりました。
Zマウントレンズも続々登場しており、新たなシステムも順調に立ちあがってきています。新たな機能、ミラーレスならではのメリットも多数。機能が多過ぎてわからないよ、といった方は弊社デジタルカメラマガジン編集部から解説ムック本『ニコン Z 7&Z 6 完全ガイド』が発売されていますので、ぜひご参考になさってください。もちろん、当サイトのレビューもぜひ。
4位:富士フイルムX-T3(903票)
4位には富士フイルム「X-T3」がランクイン。35mm判フルサイズ機が賑わいを見せていますが、APS-C機も多くの支持を集めました。
本年のエントリー機種を見直してみると、富士フイルムからは実に7機種が発売されたことがわかります。Xマウント機としては「X-H1」、「X-T100」、「X-A5」が見られます。中でもX-T3を含めX-H1、X-T100は一眼レフカメラスタイルのセンターファインダーを特徴とする機種です。
得票数は、465票のX-H1を大きく抑えて903票を獲得しています。
X-T3は、撮像素子に新開発の有効2,610万画素裏面照射型「X-Trans CMOS 4」を搭載。映像エンジンも「X-Processor 4」に刷新され、前モデルのX-T2に搭載されているX-Processor Proと比べて処理能力が実に約3倍へと大幅に強化されました。これに伴い、AFも劇的な向上をみせており、外観こそ進化のそれが見つけづらいものの、大きく成熟した機種に成長しています。
同社ならではのフィルムシミュレーションも同社映画用フィルムの名を冠した「ETERNA」を搭載。Xマウント機としては、現状X-H1とX-T3のみのアドバンテージとなっています。
5位:キヤノンEOS R(894票)
5位にランクインしたのは、10月25日に発売されたキヤノン「EOS R」。キヤノン初となる35mmフルサイズセンサーを搭載したミラーレスカメラで、イメージセンサーは有効3,030万画素CMOSセンサーを搭載した機種です。
同社初のフルサイズミラーレスとなる本機、ニコン同様に新たなマウントとしてRFマウントが採用されました。これだけでも話題をさらうものでしたが、発表会では4本のレンズを同時に発表。RF24-105mm F4 L IS USMという定番をしっかりと提示したほかにRF28-70mm F2 L USM、RF50mm F1.2 L USMといった、ミラーレス化ならではのメリットを示すものもあり、新生EOSシステムとして、ユーザーにしっかりとその将来性を示しました。
ユニークなところとしては、既存EFマウントとの互換性を保つマウントアダプターにアイデアに満ちた機能を搭載したところ。単に電子的な互換性を保つだけでなく、RFマウントレンズで新たに採用されたコントロールリング操作を付加するタイプやNDフィルター搭載型など、にぎわいをみせているマウントアダプター界隈でも類を見ない、使いやすさに配慮した点も注目です。
この新たなシステムを体験できるイベント「EOS R SYSTEM PREMIUM SESSION」も各地で開催。当サイトでもその盛況ぶりをお伝えしていますので、まだご覧いただけていない方は、ぜひ。
ニコンZシリーズ同様、デジタルカメラマガジン編集部から解説ムック本『キヤノンEOS R完全ガイド』が発売されています。機能はもちろん、作品撮りでの活用法もご紹介しています。
本年もご愛読ありがとうございました
2018年は、多くのユーザーを抱えるキヤノン、ニコンが35mm判フルサイズセンサーを搭載したミラーレスカメラを市場に投入。先行するソニーに対して猛追が始まりました。にわかに活況を呈し始めたフルサイズミラーレス機市場。各誌でも気がつけばフルサイズミラーレス戦国時代という言葉を目にする機会が増えました。
それにしても、デジタル一眼レフカメラのフルサイズ戦争に火がついた2012年頃を思うと、わずかその期間は6年程度。かつて100万円近くしていたフルサイズセンサー機が、20万円前後で手にできるようになって数年、フルサイズミラーレスカメラであれば、いきなり20万円で高性能なボディが手に入る、というユーザーにしてみれば、ひじょうに嬉しい時代の幕開けともなりました。
フルサイズ界隈が花盛りですが、APS-C、マイクロフォーサーズといった規格も、そのセンサーサイズならではの魅力を高めた機種がラインナップ。4位ながら、フルサイズ陣営に切って入ったX-T3は、フルサイズばかりがカメラではない、と物語っているようです。ちなみに、X-T3と5位「EOS R」との得票数の差は9票とごくわずかなものでした。
そして面白いのは、中判サイズフォーマットの「GFX 50R」が816票を獲得しているところ。順位としては6位ですが、5位EOS Rとの差は78票。35mm判のセンサーが各社から揃ってきましたが、センサーフォーマットサイズをめぐる状況は、まだまだ落ち着かない様子です。
もちろん、一眼レフカメラも。エントリー数自体が減ってしまいましたが、PENTAXのK-1 Mark IIが7位につけており、根強いユーザーの支持を得ていることがわかります。
忘れてならないのが、ライカ・パナソニック・シグマの3社によるLマウントアライアンスの発表。すでに多くのレンズラインナップを誇るシグマが参入していることで、本格的に稼働すればいっきにレンズラインナップが豊富かつ身近になるだけに、この3社の動向からも目が離せません。
フルサイズ戦国時代、初戦は一日の長たるソニーが勝者となりましたが、そこは戦国時代。下克上はもとより、魅力ある機種が次年もあらわれることを期待して。皆様、どうぞよいお年をお迎えください。