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ライカのドイツ本社に「ライカミュージアム」がオープン
通常非公開の資料室を見学 ミュージアムショップも楽しい
2018年10月10日 12:00
ライカカメラ本社が所在するドイツ・ウェッツラーの「ライツパーク」が2018年6月に拡張され、新たな建物が増えた。新しい建物はライカミュージアムとも呼ばれ、写真作品を展示するギャラリーと、過去の製品や資料を保管しているスペースがある。
ライカミュージアム
建物2階のスペースには、シンプルながら要点を押さえたライカの歴代製品の展示がある。ライカ試作機のレプリカや代表的な機種とともに、これまであまり目にしたことがないような工場風景や、ライカの発案者オスカー・バルナックが撮った写真なども展示されていた。
ライカ誕生当時の社長だったエルンスト・ライツ二世は、ドイツが経済危機にあった1924年に自社の雇用を守るべく、オスカー・バルナックの発案した小型カメラをリスク覚悟で製品化した。バルナックは元々カール・ツァイスの機械工だった経歴があり、35mmフィルムを使うスチルカメラのアイデアは、エルンスト・ライツ社に転職したのちに「ライカ」として花開いた。
そうして展示を楽しんでいると、とある壁の写真に穴が開けられていることに気付く。
通常非公開の資料室へ
2014年にライカカメラ社がライツパークへ移転し、それまで使っていたゾルムスの工場を畳んだ。その際に出てきた様々な資料やプロトタイプ、モックアップなどを保管するために、ライカカメラ社はアーカイブ担当部署を新たに設けた。
アーカイブ部門が管理する資料室は、「カメラ機材」「紙資料」「ライカアカデミー関連」の大きく3つに分かれている。セキュリティの観点から写真を撮影できたのは一部のみだったが、大事に整理整頓されている様子が伝わるかと思う。ライカファン向けにはこちらも是非ガイドツアーを実施してほしいが、現時点では未定とのこと。
続けて歴代製品を収蔵する部屋に移動したが、こちらは撮影禁止。収納するカメラに合わせて作られたケースに年代ごとの機種がまとめられ、背丈よりも高い棚が部屋中に整然と並ぶ。統一されたケースには黒い発泡スチロールのような素材の仕切りが入り、各カメラにフィットするようにくり抜かれていた。一例として中を見せてもらえたケースには、バルナックライカのボディが8台並んでいた。
年代順で一番古いケースには「0-serie, Leica I」とメモが貼られていた。工場試作機、いわゆる“ヌル・ライカ”の実機があるということだろう。全体での保管台数は相当なものと見え、誤って閉じ込められてもカメラを眺めていれば1週間ぐらいは退屈しそうにない部屋だった。
紙資料を主に管理する部屋では、棚に機種ごと・年代ごとのファイルが並ぶ。歴代モデルの企画書や仕様書が収められたファイルのほかに、過去のプレスリリース、ライカに関する写真集や書籍もあった。先ほど外の覗き穴から見えたのは、この部屋の一部分だった。
お楽しみのミュージアムショップ
博物館にはグッズが付きもの。ライカミュージアムにもミュージアムショップが併設されており、ここでしか買えないという新アイテムが並ぶ。プロデュースしたのはフランクフルトにあるライカストアで、同店から来ていたスタッフがいくつかのアイテムを紹介してくれた。ちなみに、フランクフルトのライカストアは広いギャラリーや写真集専門のフロアなどもあり充実しているので、ドイツで時間があればそちらにも立ち寄ることをオススメしたい。