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ライカ本社のカスタマーケア部門を見学してきた
古いカメラも当時の機械で修理・再生
2018年10月15日 12:00
ドイツ・ウェッツラーのライカカメラ本社で、ライカ製品の修理やサポートを行うカスタマーケアの部門を見学した。取材当日は土曜日だったため本来の営業日ではなかったが、何名かの担当者が出社しており、要点のデモンストレーションを見せてくれた。
製品の修理だけでなく、トップカバーへの刻印のようなパーソナライズサービスなど、ここには世界から年間2万5,000件が集まる。ライカのサービスセンターは世界に10か所以上あるが、その中でも大きな拠点はドイツ本社、日本、アメリカ、中国だという。複雑な検査機器などを扱うために、全ての技術者はドイツのライカ本社でトレーニングを受けている。センサークリーニングだけの軽作業も含め、世界では年間5万件の修理対応が行われているそうだ。
カスタマーケア部門に入庫した製品は1つずつトレーに載せられ、番号を振って作業工程を追跡できるようにする。まずは故障の特定や見積もりをしてユーザーに実施確認の連絡を取る。それから作業開始までは、ロッカーにストックされる。法律により、30日が経っても返事はなければ預かり品は返送する。
例えばここでは、1954年発売の「ライカM3」であっても修理を受け付ける。歴代全てのパーツは保有していないが、近いものがあれば“1954年のカメラに1956年のパーツを使ってもよいか?”など、ユーザーに確認しながら修理を進めるという。仮に費用がどれほど高額になっても構わなければ、例えばライカM3のファインダーブロックをスペアパーツとして新しく作ることも可能だそうだ。
ライカは高額製品だが、それでも「費用や価格が現実的であるか」という判断は常に行われている。例えば2018年にフィルムカメラの「ライカM7」が生産を終了した。自動露出を実現する電子式シャッターの関連パーツが調達できなくなったのがその理由だ。それでも生産を続けること自体は不可能ではないものの、価格は必然的に高くなり、さらに市場では中古品や旧製品とも競合するため現実的ではない。そこで、完全機械式の「ライカMP」(露出計入り)と「ライカM-A」(露出計なし)を残した。
M型ライカのファインダー調整は、最新のデジタル機とフィルム時代の機種で方法が異なる。古い機種は実際に近距離・遠距離に目標を置いて目視で調整するが、ライカM10などの新しい機種ではコンピューターを使って省スペースで行われていた。