オリンパスZUIKOレンズ 写真家インタビュー

雄大な景観美を余すところなく切り取る…北山輝泰さん

M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO

北の方角を望む海岸線は、東京の街明かりを受けてオレンジ色に輝く。長時間露光で波の動きを平滑化し、インターバル撮影で自分を入れた(撮影:北山輝泰)
OLYMPUS OM-D E-M1X / M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO / 8mm(16mm相当) / マニュアル露出(F1.8、25秒) / ISO 1600 / WB:3,000K

オリンパスのZUIKOレンズを使う写真家に、作品表現でのポイントや使い勝手をお聞きしていく本企画。

写真家の北山輝泰さんに、写真を撮るとき気をつけていることや、撮影機材に重視することなどを聞きました。対角魚眼レンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO」で撮影された作品も紹介します。

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北山輝泰
きたやま てるやす
日本大学芸術学部写真学科在学中、授業で天体望遠鏡を使った撮影を行なったことがきっかけで、天体写真への興味関心が強まる。卒業後、福島県鮫川村に移住し、天文台で星空のインストラクターをしながら、本格的に天体写真と星景写真を撮り始める。その後、星空の魅力を多くの人に伝えたいという想いから、天体望遠鏡メーカー「株式会社ビクセン」に入社する。2017年に星景写真家として独立。天文雑誌「星ナビ」のライターをつとめながら、世界各地で星空の撮影を行なっている。


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現在、どのような作品を撮られていますか?

星景写真で一般的に使われているのは広角レンズですが、私は主に標準~中望遠レンズを使って、星座や月をテーマにした作品を撮影しています。広角レンズではあらゆる星が同時に写ってしまいますが、あえて画角を狭めて撮り、作品の中でギリシャ神話を表現するなど、テーマ性を持たせた作品になるよう努力しています。

夏の天の川の銀河を大きく写すときには、12-40mmなどのレンズも使用する。星の流れを目立たせないために、できるだけISO感度を高くして撮影した(撮影:北山輝泰)
OLYMPUS OM-D E-M1X / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO / 12mm(24mm相当) / マニュアル露出(F2.8、15秒) / ISO 6400 / WB:4,400K

株式会社ビクセンではどのようなお仕事をされていましたか?

株式会社ビクセンでは営業部のメンバーとして勤務していました。主にカメラやレンズを専門に販売している店舗や問屋などを中心に、天体望遠鏡をはじめとした光学機器を案内・販売しておりました。販売店と一緒に星空を楽しんでもらえるようなセミナーをお客さん向けに開催しておりましたが、そのことが今の活動をするきっかけにもなっています。

大島一周道路沿いで撮影した夏の天の川。開放F1.8のおかげで、星の動きが目立たないシャッター速度を選択して撮影することができた(撮影:北山輝泰)
OLYMPUS OM-D E-M1X / M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO / 8mm(16mm相当) / マニュアル露出(F1.8、30秒) / ISO 3200 / WB:3,850K

星景写真の魅力を教えてください。

星景写真はその言葉通り、星空と風景を一緒に写した写真のことです。そのため、星空だけではなく地上の風景も非常に大事な要素になっています。

シルエットで表現するべき被写体、または月明かりを利用して明るく撮るべき被写体など多種多様で、その選択が作品の重要な鍵になります。夜の風景を想像しながら昼間ロケハンができるかどうか、できても予想が難しいときもあり、それが魅力だと感じています。

特徴的な三原山の形を伝えるため、8mmの魚眼効果をいかして広く写した。月を追いかけるように冬の代表的な星座たちが沈んでいく(撮影:北山輝泰)
OLYMPUS OM-D E-M1X / M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO / 8mm(16mm相当) / マニュアル露出(F2.8、2.5秒) / ISO 1600 / WB:6,800K

撮影時の服装や装備について教えてください。

夜の撮影なので、夏場でも場所によっては10度前後となることもあり、防寒具は欠かせません。また、カメラの液晶画面にも虫が寄ってきたりしますので、虫刺され対策も大事です。

また、夜の撮影ではヘッドライトは欠かせません。自分の身の安全のためにも必要なものですが、周りへの配慮もとても大事です。私は、赤色や電球色のヘッドライトを用いて、周りの方の迷惑にならないよう心がけています。

サンセットパームライン沿いを走っていると見つかる、象徴とも言える大きなヤシの木。フィッシュアイの画角をいかして、真下にカメラを置き、木の存在感を最大限に表現した(撮影:北山輝泰)
OLYMPUS OM-D E-M1X / M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO / 8mm(16mm相当) / マニュアル露出(F1.8、25秒) / ISO 1600 / WB:3,850K

撮影地をどのように決められているのでしょうか。

まずインターネットの地図検索で、おおよその撮影エリアを決めます。あとは市町村の公式HPなどを見ながら、観光名所の情報をいくつか控えておいて、あとは実際に昼間のうちに現場に赴いて確認をします。

撮影候補地近くの観光案内所や市町村の観光課に行って、地元の方から直接情報を仕入れることもあります。

溶岩が固まってできた特徴的な形の岩の上に、あたかも笠雲のような面白い雲がかかった。フィッシュアイ補正機能を利用し、ゆがみをなくして撮影した(撮影:北山輝泰)
OLYMPUS OM-D E-M1X / M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO / 8mm(16mm相当) / マニュアル露出(F2.8、30秒) / ISO 3200 / WB:4,000K

交換レンズに求める性能とは?

星の撮影ではF値が明るい方が絶対的に有利なので、まずそこを気にします。さらに、開放値での描写性能は周辺までしっかりチェックするようにしています。

あとは、私の場合、山や森などアウトドアのフィールドで撮影することも多いため、軽くて携帯性が良く、防塵防滴に配慮しているレンズを使用することが多いです。

M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PROの特徴を教えてください。

マイクロフォーサーズが苦手としていた超広角の画角をカバーできるということで、星空撮影に最適なレンズだと思います。F値もF1.8なので、非常に暗い撮影地でも積極的に使用できますし、流星群の撮影でも大活躍するかと思います。また、とてもコンパクトで軽いのもオススメです。

M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO

オリンパスのカメラで気に入っている機能は?

LVブースト機能です。星景写真の構図合わせは、今まで試し撮りを繰り返して行わなければなりませんでしたが、この機能のおかげであらゆるシーンで一発で構図合わせを完了できるようになりました。

また、ライブコンポジット機能も非常によく使います。パソコンいらずで比較明合成写真が作れるようになったので、アウトプットまでの作業効率が早くなり助かっています。

野田浜園地にある特徴的な形のオブジェ。対岸の町が明るく長時間露光ができなかったため、星の存在感を出すためにライブコンポジット機能を利用した(撮影:北山輝泰)
OLYMPUS OM-D E-M1X / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO / 24mm(48mm相当) / マニュアル露出(F2.8、15秒) / ISO 1600 / WB:3,450K / 総露出時間:12分

告知があればぜひ!

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デジタルカメラマガジンにも北山輝泰さんが登場!

デジタルカメラマガジン2019年7月号の連載「日本列島 ZUIKO LENSの旅」で、北山輝泰さんによるM.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PROの解説が掲載されています。

本連載は47人の写真家が47の都道府県を巡るというもの。今回、北山さんは伊豆大島を巡っています。ぜひ、あわせてご覧ください。

制作協力:オリンパス株式会社

デジカメ Watch編集部