インタビュー

スリムでパワフル、画面も◎!MSIの一押しノートPCをチャーリィ古庄さんが使ってみた

移動の多い写真家が求めるPC性能とは

航空写真家のチャーリィ古庄さんに、MSI PS63 Modernを試してもらいました。その感想はいかに?

PCに詳しい人がMSIと聞いてまず思い浮かべるのは、ゲーミングPCだろう。昨今の高負荷なゲームを快適に遊べるハイスペックPCをリーズナブルな価格で提供しているメーカといったイメージがある。プロ、アマを問わず数々のeスポーツ大会やチームを支援していることもあり、PCでゲームをプレイする人ならば知らぬ者は居ないだろう。

ただ、MSIの名は知っていても、MSIがビジネス向けやクリエイター向けのノートPCを手掛けていることを知らない人は意外に多い。盾にドラゴンを配した同社のエンブレムや、ゲーミングPCやデバイスで刷り込まれた黒×赤、あるいは黒×銀といったカラーリングの印象が鮮烈過ぎて、ビジネス向けノートPCと結びつき難いのかもしれない。

そこで、今回はMSIの新鋭機「PS63 Modern 8SC-035JP」を紹介していきたい。PS63 Modernは今年初頭に登場したシリーズだが、035JPはこの最上位モデルとなる。

CPUにCore i7-8565U、外部GPUとしてGeForce GTX 1650 Max-Qを採用。ストレージはSSD 512GB(M.2 NVMe)、メモリは標準で16GBを搭載し、最大32MBまでの拡張が可能だ。ディスプレイは15.6型で解像度はフルHD。冷却システムには、ゲーミングノートPCで評価の高い「Cooler Boost 3」を積んでいる。ざっとスペックを確認しただけでも、なかなかに豪華な製品だ。

今回はこれを写真家のチャーリィ古庄さんに試用していただき、インプレッションを語ってもらうことにした。事前に打診したところ、ちょうど撮影で2週間ほど欧州に向かう前とのこと。これ幸いと旅に随伴という形を取ることができた。古庄さんの目にPS63 Modern 8SC-035JPはどのように映っただろうか。

MSI PS63 Modern 8SC-035JP。スリムな筐体にIntel Core i7-8565U、GeForce GTX 1650 Max-Qなどを搭載する15.6型ノートPCだ。

チャーリィ古庄

写真家・冒険写真家・フォトジャーナリスト。ロサンゼルスの航空アカデミーに留学、航空機操縦資格を取得。航空マネージメントを学び、ロサンゼルスベースの米系航空会社にて運航業務全般、航空機売買などを手掛ける。

日本帰国後は国内航空会社、米系航空会社に勤務した後、航空写真家として独立。以降、雑誌各誌に自ら撮り歩いた世界100以上の国や地域の航空、観光写真を発表、国内外の航空会社、空港会社、旅行社などの宣伝、広報制作、映画制作、などにも携わり、TV・ラジオ出演も行う。

過去に乗った航空会社の数は200社以上、訪れた空港の数は約500ヶ所、という経験を活かして、「日本退役機追跡紀行」「デザインで選んだ世界のエアライン100」「航空会社の選びかた」「格安航空会社の選びかた」「ジャンボジェットの時代」「世界おもしろヒコーキ旅」「世界ヒコーキ紀行」「世界のビックリ空港探訪記」「エアライン年鑑」「World Jet Tour(写真集)」「世界の旅客機補獲標本」「ビックリ飛行機でゆく世界紀行」など、著書も多数あり。

世界で最も多くの航空会社に乗った人としてギネス記録を持つ。


撮影:チャーリィ古庄
撮影:チャーリィ古庄
撮影:チャーリィ古庄

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ノートPCの必要性が高まってきた

——まずは普段お使いのPC環境を教えていただけますか?

デスクトップPCとノートPCを使用しています。デスクトップPCは詳しい知人に組んでもらったものを使用してますね。主に現像や画像処理など負荷の高い作業用という位置づけになってます。ノートPCは原稿やメールなど軽めの作業が主体ですね。

——ということは、あまりノートPCでは画像処理などはおこなわないのでしょうか?

いや、それがですね、最近はイベントなどで即納が求められるんですよ。たとえば空港で初便就航セレモニーなどのイベントがあり、それを撮影したとすると、「とりあえずFacebookに上げるからすぐに現像して」と。仮納品とはいえ現場でセレクト・現像をするケースが増えていますので、ノートPCに求める処理能力も上がりました。

——SNSの浸透でクライアントの広報体制にも変化が出たわけですか。ご使用のノートPCで処理能力は足りてますか?

やはり、画像処理などはデスクトップPCでの作業に慣れてるのでパワー不足を感じるところはありますね。ただ、私は外にいることの方が多いですから、大きなノートPCは避けたいんです。処理能力が多少落ちても持ち運びしやすく、邪魔にならない方を選びますね。

——ご試用いただいたPS63 Modernのサイズや重さはいかがでした?

最初にお話を聞いて、写真で見た時はちょっと大きめかな、と思ってたのですが、実際に使ってみると全然負担になりませんね。普段使用しているカメラバッグにポンと放り込めるサイズですし、何より薄さが気に入りました。

——厚さは15.9mmだそうです。モバイルノートと呼んで差し支えないレベルですよね。重量も1.65kgに抑えられています。

カメラバッグのポケットに無理なく仕舞えるので、撮影機材と干渉しないのはありがたかったです。それでいて剛性感もある。柔な感じが無いのは安心できますね。重量についてはどうでしょう。私の場合は他の機材と一緒なので、正直なところ総重量が100gや200g変わったところであまり気にはなりませんでした。

——キーボードはどうでした?

薄い割にはタッチも良くて、ストレスなく作業できました。あと、タッチパッドが使いやすいです。今使っているノートPCよりも広く、スムーズに動きます。操作がとてもしやすく、作業がはかどりました。

ディスプレイ、処理能力、バッテリーとも大満足

——ディスプレイの表示サイズはいかがでしょうか。

15.6型液晶のノートPCということで、実物を見るまでは大きなノートPCを想像していました。でも実際は、パネルの周辺が凄く狭いのですね。だから、15.6型から受けるイメージのわりに本体が小さく収まっている。本体サイズがこのくらいなら、そりゃあ表示サイズは大きい方がありがたいです。

——MSIのノートPCは色再現性にも注力しているのですが、この点はいかがでしょう?

デスクトップPCと繋いでいるハードウェアキャリブレーション対応のモニターと比べても、さほど差異は感じませんでした。いま使っているノートPCだと表示品質に物足りなさがあり、困ることがあるんですよ。例えば、夜間に撮影して即納というケース。夜景は階調が重要なので、コントラストは大丈夫か? あるいは暗所での撮影ですのでノイズは大丈夫か? と、正確に細かく見たいのですがそれが難しい。PS63の表示だとそのままプリントしても違和感なく仕上がったので、これは良いなと。

キヤノンの純正RAW現像ソフト「DPP(Digital Photo Professional)でチャーリィ古庄さんの作品を表示。表面がノングレアなのもポイントだ。

あと、表面加工がノングレアなのも自分に合いました。自然光下での使用時も良いのですが、機内の照明は手元を直に照らすじゃないですか。そういう強い光でも、映り込みが柔らかいですし、反射光で隣の人に注意されることも無いのはありがたいです。

——それは旅客機での移動の多い古庄さんならではの感想ですね。作業中に処理性能の面で不満はありましたか?

いえ、これも快適でしたよ。キヤノンのカメラを使っているのでDPPでRAW現像をするのですが、画像をどんどん開いても処理は軽いままで処理も速い。操作中のスライダーなどの動きもスムーズでした。ほとんどデスクトップPCで作業しているような感覚です。いつも使っているノートPCとは世代の違いもあるのでしょうが、最新型は違うなあと思いました。

——DPPでどのような調整をしていますか?

すべてを一度に行うわけではありませんが、コントラスト、ピクチャースタイル、彩度、トーンカーブ、切り抜き、ゴミ取りなどさまざまな機能を使います。実際、EOS学園航空写真教室でもプリント講座や写真セレクト術、DPP講座も担当してますので、DPPは必須のソフトです。

あとはPhotoshop Elementsがあれば十分で、即納品のときなどはコントラスト、シャドウの調整をJPEGから直接で仕上げています。

——携帯型デバイスだと特にノウハウの蓄積が性能向上のための大きな要素になるでしょうから、処理能力の向上はMSIならではと言えるかもしれません。今回はわりと長期の撮影だったようですが、内蔵バッテリーの持ちはいかがでしたか?

一番感心したのはそこですね。機内やラウンジでも電源コネクターが埋まってたり、そもそも存在しなかったりで、内蔵バッテリーを使用するケースが頻繁にあるんです。今回の撮影行でも国内線は電源アダプターが無いケースが多かったのですが、MS63はバッテリーの持ちが良くて精神的に楽でした。実は2、3日充電を忘れたこともあったのですが、問題なく使用できました。

——バッテリー駆動時間は公称で16時間だそうです。負荷によっても変わるでしょうが、かなりの駆動時間ですよね。

大きなイベントを取材しているときは、充電する暇さえ無い時もあります。夜通しの取材だったり、空港のオープンやサミットなど1日張りつきっぱなしの撮影ですね。撮影者自身でさえゼリー飲料で充電するような感じになります(笑)

さすがに常時PCを起動している必要は無いのですが、午前の分、午後の分と納品を求められるので、どうしても手元にPCは必要になります。余裕を持って使えるというのは大きいですね。

写真愛好家におすすめのノートPC

——インターフェースに過不足はありましたか?

実際、この薄さでこれだけ端子を揃えてるのは凄いですね。PCとプロジェクターをつなげてセミナーを行うことも多いので、本体にHDMI端子があるのは嬉しいです。あとはUSB端子を使用した急速充電も便利です。

——MS63にはUSB 3.1 Gen1に対応したUSB Type-A端子がありますが、これが急速充電の「Quick Charge 3.0」に対応しています。スマーフォトン以外に、USB充電が必要な機器を持ち歩いているのですか?

最近は撮影中の状況を動画などで抑えて欲しいという要望があります。そんなときのために、アクションカメラや全天球カメラを使うことが増えました。例えばヘリコプターからの空撮の模様を記録するため、GoProが活躍しています。こうした機器を充電できるのは心強いです。

——最後にPS63 Modern 8SC-035JP全般の感想をいただけますか。

私の場合、まず持ち運びやすさが第一なんですね。なので、ハイエンドノートよりはモバイルノートに目が行くのですが、PS63 Modern 8SC-035JPはモバイルノートではないのかもしれませんが、それに近い運搬性を持ちながらハイエンドノートとしての性能も併せ持っていると思います。

オールラウンドで使用できるので「こういう人向け!」と断じるのは難しいですが、売り文句の通りクリエイターなど、1ランク上の描画性能を求める人に合っていると思います。

個人的には、やはりバッテリーの持ちの良さと液晶パネルの表示品質が気に入りました。ロケの多い写真愛好家には良い選択でしょうね。

提供:MSI
撮影:曽根原昇 武石修

榊信康