インタビュー

ノートPCでどこまで使える? MSIの一押しモデルを写真家・鈴木さや香さんに試してもらった

RAW現像に動画編集 スリムボディに高性能を凝縮

写真家の鈴木さや香さん。実は3台のノートPCで仕事をするパワーユーザーだ。

MSIといえばゲーミングPCのメーカとして名を知られているが、最近はビジネスやクリエイター向けのPCシリーズにも力を注いでいる。

先ごろ発売されたばかりのPrestige 14もこうしたクリエイター向けPCシリーズの1つ。その名が示す通り、ディスプレイサイズは14型。プロセッサーに第10世代のIntel Coreを採用するとともに、ストレージにM.2 NVMeのSSD(512GB)、メモリ16GBを搭載している。また、クリエイター向けということもあり、NVIDIA GeForceシリーズのGPUを搭載している。

まさにデスクトップPC並みのスペックだが、さらに圧巻なのはこれだけの性能を備えながらもスタイリッシュで軽量なボディを実現していることだ。

Prestige 14。オフホワイトのスリムなボディが特徴だ。

ボディサイズは319×215×15.9mmと小さく薄い。重量もバッテリーを含めてわずか1.29kgに抑えている。

モデルは、エントリークラスの

Prestige-14-A10RB-250JP
 i7-10510U/GeForce MX250/ノングレア14インチ フルHD(1,920×1,080)

上位モデルの

Prestige-14-A10SC-165JP
 i7-10710U/GeForce GTX 1650 Max-Qデザイン/ノングレア14インチ フルHD(1,920×1,080)

MSIストア限定モデルの

Prestige-14-A10RB-255JP
 i7-10710U/GeForce MX250/ノングレア14インチ 4K(3,840×2,160)

の3モデルとなっている。

なお、以前にチャーリィ古庄さんに試用いただいた「PS63 Modern」と型番の付け方が異なっているのは、少々わかりにくかった従来方式を改めたため。

今後は、薄型・軽量・ハイスペックのクリエイター向けノートが「Creatorシリーズ」、薄型・軽量クリエイター向けノートが「Prestigeシリーズ」、薄型・軽量ビジネス向けノートが「Modernシリーズ」に分化されるとのことだ。

今回はPrestige-14-A10SC-165JP(以下Prestige 14)を写真家の鈴木さや香さんに試用していただき、そのインプレッションを伺ってみた。

鈴木さや香

1982年生まれ。東京都出身。東京造形大学環境造形学部卒業。映像演出家、写真家に師事し独立。広告写真を撮る一方で、自分の作品を発表。写真雑誌、ムック本や解説など多数。フォトエッセイ多数、鎌倉観光協会Webサイトに「かまくらかたおもい」連載中。また写真封筒など、写真を暮らしに溶け込ませる独自の活動を行うため、一般社団法人 写真と暮らし研究所を立ち上げる。

計4台のPCのうち3台がノートタイプ

インタビューは鈴木さや香さんが運営する「Ateler Piccolo」で行った。

——それではまず、現在使用しているPC環境を教えていただけますか?

Windows PCが3台とiMacが1台、Macbookが1台ですね。iMacは動画編集用、Macbookは半ば遊び用ですね。なので、主に仕事で使うのはWindowsの3台になりますね。

——なかなかにパワフルな環境ですね。デスクトップPCとノートPCの配分は?

全てノートPCです。外出することが多いですし、出先で突然クライアントから連絡が入ることも多いので、ノートの方が即座に対応できますからです。

——それにしてもノート3台というのは思い切った構成ですね。

現在、企業とのお仕事が2社あるんですね。1社はカメラメーカーで、作品作りと作例、講座やワークショップなど。もう1社はカメラとは全く別の業種で広告撮影や内外のプレゼン用資料の作成などをおこなっています。それぞれ仕事の内容が大きく異なるので、仕事先ごとにPCを用意した方が混乱せずにすむな、というのが理由の1つです。

もう1つの大きな理由として、出来れば外部ストレージとのデータやり取りはなるべく避けたいんですね。もちろん、バックアップは取っていますが、近況の作業はすぐにアクセスできるようにしておきたいんです。

先ほど言ったクライアントの急な要件に対応するためもあるのですが、自分の作品を振り返る趣味があるんですね。この前の写真展の構成はこれで良かったのか? などと考えつつ、振り返ることが自分を煮詰めて自分の色を出すために大事な時間だと思ってるので、デスクトップに置いてすぐにアクセスできるようにしておきたいんです。

そんな理由から、カメラメーカさん用に1台、1回で3,000枚ほど撮影する広告写真用には2台のノートPCを用意してますね。

——それでは、複数のノートPCを使用している鈴木さんから見て、Prestige 14は如何でしたか?

まず最初に感心したのはディスプレイの周囲ですね。本当に液晶パネルサイズのギリギリまでサイズを抑え込んでいるんですね。普段使用しているノートPCが15.6型なのですが、ふた周りほど小さいですね。

——14型のノートとしては最小クラスでしょうね。13型に匹敵するボディサイズだと思います。重量はいかがでしたか?

今回は限られた試用期間ということで、普段使っているノートPC(15.6型)と共に持ち歩きました。それでも思ったほど負担にはなりませんでしたね。Prestige 14に統一すれば、移動の負担は減るかもしれません。

——普段使用しているノートPCが15.6型ですと、ディスプレイのサイズが物足りなく感じたりはしませんでしたか?

そこまで違和感はありませんでした。元々、出先での作業はある程度アタリを付ける程度と割り切っているところがありますし、大画面が必要な作業は自宅に戻って外付けのディスプレイを使用しますので。

——Content Creationシリーズ(Creator/Prestige/Modernシリーズの総称)のアピールポイントである色再現性はどうでした?

これは、普段使っているノートPCと明確に違いました。色がしっかりと出るのでこれまで出先では諦めていた色調整などの作業もできましたね。

——普段お使いのノートPCだとそうした作業は諦めていたのでしょうか。

そうですね。個体差なのかもしれませんが、どのノートPCも青味が強く、キャリブレーションをしても吸収しきれないのです。シャドーやハイライトも潰れや跳びが出てるように見えてしまいますね。そういうものなのだろうと思って諦めつつ、表示の癖をこちらが覚えてアタリをつけるという作業になってました。

だからPrestige 14の表示には驚きましたよ。色はしっかりしていますし、シャドーやハイライトもしっかり描写できています。本当に見たまま素直に作業が進められるので、ディスプレイの癖を覚える必要が無い。実際にPrestige 14だけでプリントまで作業を進めてみましたが、綺麗にできました。

——デザイン全体についてはどうでしょう? 今回は女性層も意識したデザインにしたということなのですが?

MSIっぽくない色合いですよね(笑)

——お、MSIをご存知でしたか?

使ったことは無いのですが、PCショップで薦められるブランドの中で見かけた程度なのですが。ただ、店頭でみたMSIのPCはカラーリングが自分とは合わなかったですし、派手だったので仕事で使うのもちょっと……とご縁がありませんでした。

今回試用させていただいたPCは落ち着いた色ですし、ツヤを抑えたボディも良い印象です。軽量・薄型で持ち運びもしやすいですし、女性にもアリじゃないでしょうか。ただ、ちょっとドラゴンの紋章が厳ついですかね(笑)

——処理性能・速度はどうでしたか?

あ、それも凄い違いがありましたね。私はテザーで撮影する機会が多いのですが、普段のノートだとすぐに熱くなって、処理速度が落ちてしまうんですね。それがPrestige 14だと、どんどん撮れて、熱もそれほど発しない。動作音も特に気になることは無かったですし、最新型は凄いなあと。

現像についても速かったですよ。バッチ処理で現像している時間は無駄というか、自分がその場にいる必要ない時間なので、食事の時間など自分が他の事をするタイミングでおこなっています。広告撮影の場合は撮影量が多いですし、現像にかかる時間も長くなりますから、これだけ速く処理できるのは助かります。

あとは、写真を並べて一覧表示するときですね。いつもならかなりの負荷がかかるのですが、モタつくことも無く、表示中に別の作業をしてもスムーズにおこなえました。

——キーボードやタッチパッドはいかがでしょう?

ボディが小型のわりにキーピッチもキートップも無理のないサイズで扱いやすかったです。気に入ったのがタッチパッド。非常にスムーズで引っかかる感じが無くて、思ったところにピシッと止まります。DPP(Digital Photo Professional)やPhotoshopであればタッチパッドだけで十分に操作できますね。

——インターフェースに過不足はありましたか?

USB Type-C、Type-Aがそれぞれ2つあります。SDカードリーダーを含むUSBハブも同梱されていたので、特に気になりませんでした。

——特に気に入った点をまとめていただけますか?

処理速度の速さと色再現性の高さです。どちらもいま使っているWindowsノートPCで得られていなかった部分ですから。処理速度は言うまでも無く、ワークフローを通した様々な時間の短縮につながります。色再現性の高さは、先ほど言った通り新しい作業スタイルの発見につながりました。

——ありがとうございました。それでは最後にどのような人にお勧めの製品でしょうか?

ノートPCを買い替えたい人にはもちろん、フルスペックのデスクトップPCを買い替えたい人にお勧めしてもいいですね。処理性能が高く、インターフェースも将来性があるので長期に渡って使っていけると思います。

制作協力:MSI
撮影:曽根原昇

榊信康