中井精也のエンジョイ鉄道ライフ「ジョイテツ!」
ゆる鉄探訪 第14回「高山本線」
新型車両も大人気! お気に入りの撮影ポイントを紹介
2023年3月10日 09:00
僕が大好きなゆる鉄路線をご紹介する「ゆる鉄探訪」。路線の撮影ポイントや見どころのほか、僕がその路線で撮影したBEST SHOTもご紹介します。
14回目の舞台は、岐阜駅から富山駅を結ぶJR高山本線です。1989年から高山本線の顔として活躍してきた特急「ワイドビューひだ」のキハ85系気動車が、いよいよ3月18日に定期列車から引退することになりました。また、キハ85系の後継車両としてデビューしたHC85系気動車も大人気で、鉄道ファンの注目を浴びています。まさに今アツい! 高山本線のお気に入りのポイントをご紹介しましょう。
飛騨川が途方もない年月をかけて削り出した荒々しい岩肌が、ダイナミックかつ美しい姿を見せてくれる飛水峡。渓谷だけでも絵になるのに、飛水峡の奥に高山本線の列車が走るという、出来すぎとも思える作品が、お手軽に撮れるオススメポイントです。撮影地は国道41号のパーキングで、車を停めて、数歩歩いた柵から簡単に撮影することができます。列車は小さくなりますが、荒々しい飛水峡を主題とした縦位置の構図がしっくりきます。
気をつけたいのは、鉄橋を渡ったところの電柱が列車の手前にあるので、それが車両にかからないようにすること。電柱の手前をシャッターチャンスと考え、全体のバランスを考えながら、飛水峡を切り取りましょう。晴れた日は明暗差が大きくなりますが、それが生み出す陰影こそが、渓谷の険しさを際立ててくれます。無理にシャドウ部を起こそうとせず、明暗差もひとつの見せ場と考えるほうが、良い結果になるでしょう。いつ列車が来るかドキドキしますが、対岸に踏切があるので、列車が来るタイミングは把握できます。
ここはゆる鉄派の僕が大好きな撮影地。下原八幡神社の参道内の真ん中に踏切があるというレアなポイントで、鳥居越しに参道を横切る列車や、この作品のように鎮守の森の間を抜ける列車を撮影することができます。この日は濃霧で、背景の山々に霧がかかり、幻想的な雰囲気になっていました。撮影ポイントは踏切付近ですが、反対を向けば編成写真を撮影することも可能です。
ここは高山本線のメイン舞台とも言える、「下原ダムポイント」です。ダム湖のすぐ脇に鉄橋があり、運が良ければ水鏡を使って幻想的な作品を狙うことができます。こちらも撮影地が駐車スペースになっており、車を降りたその場所から撮影できるという神ポイントです。
オススメは夏の朝。この作品は朝の8時半ごろに撮影したものですが、川霧が盛大に立ち、列車をドラマチックに飾ってくれました。
今度は流し撮りに挑戦。ここはダムなので水の流れがほとんどなく、かなりの確率で水鏡になります。こちらは最新鋭のHC85系気動車。美しいフォルムを水鏡に映しながら、軽快に走り抜けて行きました。
鉄道車両の魅力を水鏡を使って表現するなら、僕的には画面の中に1両半くらい入るフレーミングがオススメです。ひだ号なら、僕は1/30秒くらいの流れ具合が好き。一番流し撮りがシンクロしやすい、車両がほぼ真横の位置で撮るのがコツです。
こちらは鉄橋で列車を撮れるお手軽ポイント。下原ダムから飛騨小坂付近の撮影ポイントに移動する際、だいたいこのへんでひだ号が来ちゃうパターンが多いので(笑)、知っておくと便利なポイントです。国道から河原に下りてすぐ撮影できます。ただ意外に鉄橋が短く、6両目より後方がはみ出てしまうので、正統派の編成写真を好む人には不向きかもしれません。下呂温泉と列車撮影をライトに楽しみたい人向け。
こちらは飛騨小坂駅〜渚駅にある鉄橋。背景が森になるので、季節を問わずスッキリとした写真を狙えるオススメのポイントです。1枚目は国道41号の橋から撮影したもの。国道には歩道もあるので、大勢の撮影者がいても撮影できるのは嬉しいところです。編成は4両ちょっとしか収まりませんが、手前に森があるので、編成が切れてもそれほど違和感はありません。
同じ鉄橋を国道の下を通る道から見上げるように撮影することもでき、2枚目がその作品。ここでは縦位置で、美しい飛騨川の流れをメインにしてみました。紅葉だけでなく、これから来る新緑の季節も狙い目のポイントです。
高山本線は飛騨古川を越えると、沿線の雰囲気が大きく変わります。ひだ号の運転本数も格段に減ってしまいますが、素朴な渓谷の風景と列車をからめて撮影することができます。こちらは編成大きめで撮影できるお立ち台。スッキリとした背景、シンプルな鉄橋、アウトカーブで最後尾が切れないという恵まれた条件なので、記録写真には最適です。
お昼から午後早い時間にかけてが順光になりますが、撮影時は列車の直前に雲が来て、背景がまだらになってしまいました。ちなみに鉄ちゃん用語で、こういう状況のことを「マンダーラ」と言いますので覚えておきましょう(笑)。列車には光が当たっているので、僕的にはまったく気になりませんが、現場では落胆の悲鳴が響き渡っていました……。
こちらは角川駅〜坂上駅にある宮川の鉄橋を俯瞰するポイント。実はこの区間はほとんど撮影したことなかったのですが、現場で出会った鉄道ファンの方に案内してもらって知ったポイントです。聞けば数年前に列車と重なる位置に電柱が立ってしまったそうで(写真の一両目にかかっている電柱)、みんな無理やりカットした構図にしていましたが、この写真のように列車と重ねるとそれほど気にならないので、さほど気にしなくてもいいのではと思いました。
ちなみに撮影時間は11月初旬の15時40分。斜光線が紅葉を印象的に照らしてくれました。きっと新緑もキレイなので、行ってみたいなぁ。
こちらは立山連峰の主役とも言える劔岳と高山本線をからめて撮影できるポイント。SNSに掲載されていた写真を見て感動し、探し回ってようやくポイントを見つけましたが、写真から受ける印象からは想像できないほどの市街地にあり、背景は建物や送電線だらけ。かなり厳しい条件のなか、超望遠での繊細なフレーミングが要求されることに驚かされました。
とうてい撮影できそうもない条件の悪い場所なのですが、それでもあきらめずに劔岳とひだ号の勇姿を狙った鉄道ファンたちの情熱に感動しました。おそらく僕だったらあきらめていただろうなぁ。
よく見ると、背景にバッチリ送電線が写っているのですが、列車をアップで撮ることで目立たなくなるから不思議です。
キハ85系気動車は定期列車から引退しますが、春の高山祭が予定される4月14日・15日には、早くも臨時特急として復活する予定もあるとか。ここで紹介した場所以外にも魅力的な撮影地が多い路線ですので、ぜひ訪ねてみてくださいね。
中井精也からのお知らせ
ゆる鉄画廊NOMAD開催情報
・第21回ゆる鉄画廊NOMAD甲府
3月18日(土)〜21日(火・祝)の期間で、山梨県甲府市にある「元麻布ギャラリー甲府」にてゆる鉄画廊NOMAD甲府を開催いたします。期間中は毎日、中井精也が在廊いたします。山梨にゆかりのある鉄道風景や中井精也の代表作を展示いたします。
<詳細>
3月18日(土):13時〜19時
3月19日(日):11時〜19時
3月20日(月):11時〜19時
3月21日(火・祝):11時〜17時
会場:元麻布ギャラリー甲府
〒400-0031
山梨県甲府市丸の内2-3-2 東横INN甲府駅南口2 1F
<第21回ゆる鉄画廊NOMAD甲府について>
https://ameblo.jp/seiya-nakai/entry-12791641587.html
<ゆる鉄画廊NOMADホームページ>
https://garou.ichitetsu.com/
<元麻布ギャラリー甲府>
http://www.motoazabu-gallery.com/gallery/?id=1427184336-785902
【今後のNOMAD案内】
・ゆる鉄画廊NOMAD新潟
2023年4月21日(金)〜23日(日)
時間:10時〜18時(初日は12時オープン、最終日は17時クローズ)
会場:STACK-BOARD
〒950-0084 新潟市中央区明石1丁目6-23
・ゆる鉄画廊NOMAD神戸三宮2
2023年5月2日(火)〜7日(日)
会場:ギャラリーミウラ
第4弾!「ゆる鉄画廊コンビニエンス」
eプリントサービスにて、全国のコンビニに設置してあるマルチコピー機で鉄道写真家中井精也の作品をプリントできるようになりました。
今回は待望の第4弾! 今回は、これまでのゆる鉄画廊NOMADで特に人気の強かった絵柄30点が登場です。ぜひプリント・額装してお部屋に飾ってね。絵柄は今後も増えていく予定です。プリント絵柄や操作方法に関しては、リンクからご覧ください。
<eプリントサービス>
https://www.e-printservice.net/content_detail/yurutetsugarou
写真紙L判:400円
写真紙2L判:800円
※ねこ鉄はランダムプリントになります。
※一部店舗ではご利用できない場合があります。
※2L判プリントはセブン-イレブンでは取り扱いがございません。