中井精也のエンジョイ鉄道ライフ「ジョイテツ!」
ゆる鉄探訪 第15回「山形県の鉄道」
お気に入りの厳選撮影スポットをご紹介!
2023年4月10日 09:00
僕が大好きなゆる鉄撮影地をご紹介する「ゆる鉄探訪」。これまでは路線ごとに取り上げていましたが、今回からは県単位のエリアで、複数の路線をまたいでご紹介いたします。
僕の作品を展示・販売する「ゆる鉄画廊NOMAD」を全国各地で開催していて気付いたのですが、各会場で喜ばれるのは、いわゆる僕の代表作品だけではなく、その土地で僕が写したいわゆる「ご当地作品」なんですね。僕自身が東京生まれの東京育ちだったこともあり、あまり故郷という感覚がなかったのですが、やはり郷土愛というのは強いのだなぁと、少し羨ましくなっちゃいました。
今回ご紹介するのは山形県。魅力的な路線や撮影ポイントがたくさんありますが、その中からぜひみなさんに訪ねてほしい、お気に入りのポイントを厳選してご紹介いたします。撮影地の情報は僕が訪ねた当時のもので、現状と異なる場合もありますので、参考程度に役立てていただければと思います。
仙山線 山寺駅付近
最初のスポットは、宮城県の仙台駅と山形県の羽前千歳駅を結ぶ仙山線の山寺駅付近。この駅の近くには通称「山寺」として知られる「宝珠山立石寺」があります。松尾芭蕉が紀行文「おくのほそ道」で、「閑さや岩にしみ入る蝉の声」という名句を詠んだ場所としても有名ですね。
奇岩怪石が連なる山全体が信仰の場となっており、厳かな空気がたまりません。山形を代表する観光地ですが、仙山線とからめて撮影できる鉄ちゃんポイントとしても、昔から有名です。
ご紹介するのは、立石寺の一番高いところにある五大堂からの俯瞰撮影。ふもとから五大堂までの階段はなんと1,015段。20年ぶりのチャレンジですが、最近ちょっと痩せたので楽勝!かと思いきや、やっぱりキツかったっす。
五大堂から見下ろすと鉄橋がバッチリ見えるので、ついついアップで撮影したくなりますが、手前に開山堂の屋根を入れつつ、立石寺全景を入れた構図にしてみました。列車はかなり小さいですが、まるでそこに立って眺めているような臨場感が出た気がします。
意外にお気に入りなのがこちらのカット。五大堂から山寺駅を望む方角を、あえて観光客を入れて撮影しました。風景の面積は減りましたが、かえってこの寺の高さが強調できた気がします。
奥羽本線 村山〜袖崎
続いては山形新幹線「つばさ」号を撮影できる奥羽本線の村山〜袖崎のポイントをご紹介します。つばさ号が走る区間には、いくつか田園地帯がありますが、ここは広大な田んぼが広がりながらも送電線や邪魔な建物などがなく、スッキリと撮影することができる貴重なポイントです。6月上旬には田んぼに水が入り、とても爽やかな雰囲気になるのも魅力。この作品は田植え後の6月12日に撮影しました。
撮影は国道13号と奥羽本線がオーバークロスするポイントから。国道からの撮影になりますが、歩道があるので安全に撮影を楽しめます。ちょうど水田の時期なので、初夏らしい絶景になりました。だいたいこういう大規模なオーバークロスには、電柱やら電線などがあり撮れないパターンが多いのですが、ここは奇跡的に障害物もなく、撮りやすい貴重なポイントと言えるでしょう。
つばさ号は運転本数が多いイメージですが、山形駅以北の区間になるため、運転本数は2時間に1本程度なので気をつけましょう。
こちらは同じ場所から夕暮れ時に撮影したもの。撮影したのは、19時6分に村上駅で交換する上下のつばさ号です。19時過ぎなので、さすがに日没後になりますが、水田が夕焼けの色に染まり、かなり良いシチュエーションになりました。
そこで僕は悩みました。列車を止めて手堅く撮るか? それとも流し撮りするか?
この悩みの原因は、列車の存在感にあります。たとえば夕焼け空バックの鉄橋のように列車をシルエットにできる状況ではないので、明るい夕焼け空に露出を合わせてしまうと列車が暗くなり、同じく暗い背景に溶け込んでしまうリスクがあるのです。
いっぽう流し撮りでは、背景が流れることで列車が浮かび上がるため、列車の存在感を間違いなく高めることができます。ただ低速シャッターでの流し撮りになるため、そのぶん失敗のリスクはかなり高くなってしまうのです。
運良く上下のつばさ号が村山駅で交換するため、チャンスが2回ある! というわけで、1枚目の作品では高速シャッターで列車を写し止めてみました。2枚目の下りつばさは、1/8秒で流し撮り!
結果としては、止めて撮影したほうも列車の存在感はそれほど損なわれておらず、どちらもいい感じになりました。今回は運良くほぼ同じ時刻に2チャンスありましたが、こんなラッキーなことはほとんどありません。もし列車が1本しか撮れないとしたら、あなたはどちらを選びますか?
奥羽本線 板谷駅
続いてご紹介するのは、福島県と山形県の県境に位置する板谷峠。急勾配が続く板谷峠は日本有数の鉄道難所と言われており、峠区間にある各駅は急勾配の途中でも停車できるようにスイッチバック方式になっていました。
この板谷駅もかつてはスイッチバックだった駅で、今も駅構内のスノーシェルターとホームへ続く線路が残されています。今は列車が来ないホーム付近から、スノーシェルターごしに颯爽と山を下っていくつばさ号を狙いました。
こちらは駅に入る側線の名残を入れて、通過するつばさ号を撮影したもの。左側のスノーシェルターの奥に昔のホームがありました。ホームへ向かう線路の左側ははがされて道路になっていますが、右側は今もレールが残されています。
先程のカットを撮影して振り返ったら、スノーシェルターの中をゆくつばさ号に奥の緑が反射してとってもキレイなのに気づきました。というわけで、次のつばさ号を待って撮影したのがコチラ。出口付近でいちばん反射するので、600mmレンズをさらにクロップして900mm相当で撮影しました。タイトルを付けるならば、「Green Forest Green」。グリーンに輝くつばさ号は、宝石のようにキレイでした。
左沢線 羽前金沢〜羽前長崎
続いてご紹介するのは北山形駅から左沢駅に至る左沢線。観光シーズンを除き鈍行列車しか走らず、車両のバリエーションも少ないため、撮影する人もあまりいませんが、山形盆地ののんびりとした田園風景が実に絵になる路線なのです。
広々と広がる田園風景の奥には、蔵王の山々が広がります。画面右側の雲のすぐ左にあるのが、蔵王山。左側の入道雲のあたりにあるのは神室岳です。夏空に映える青い車体は、左沢線のオリジナルカラー。最近のローカル線は1〜2両での運行が多いですが、左沢線は学生さんの利用も多いため堂々たる4両編成! 青空とのコントラストも美しい、左沢線ならではの絶景と言えるでしょう。ちなみに朝の通学時間帯には、堂々の6連編成もあるそうです。
この日はとにかく青がキレイだったので、青という「色」を主役にしようと決めて撮影したのがこちらの作品。こういう条件のいいときは絶景ばかりを狙いがちですが、こういうときこそ遊び心を発揮して違う狙いをすることも大切。
青い空をバックに1/8秒で列車を流したら、画面全体が気持ちの良いブルーに染まりました。タイトルをつけるなら、「Blue Sky Blue」。ヒデキ世代には、このタイトルしか浮かびませんでした(笑)。
フラワー長井線 松川橋梁
最後にご紹介する山形鉄道フラワー長井線は、奥羽本線の赤湯駅と荒砥駅を結ぶ第三セクター鉄道。こちらは松川橋りょうの夕景。水田に夕焼けが映り、旅情たっぷりのカットになりました。鉄橋の横には田んぼが広がっているので、田植えしたばかりの水田を入れて撮影。田植え前の水が入ったばかりの時期だったら、かなり幻想的な水鏡になりそう。いつかまたチャレンジしたいな。
中井精也からのお知らせ
ゆる鉄画廊NOMAD開催情報
・第22回ゆる鉄画廊NOMAD新潟
4月21日(金)〜23日(日)に新潟市のレンタルギャラリー「STACK-BOARD」にて第22回ゆる鉄画廊NOMAD新潟を開催いたします!
開催期間中は毎日、中井精也は在廊しております! 新潟県にゆかりのある路線、信越本線・只見線・弥彦線・羽越本線・磐越西線など四季の美しい色彩や絶景の中を走る新潟の鉄道風景を展示いたします。ぜひお越し下さいね。
さらに、翌日の24日月曜は恒例の写真教室を開催いたします。詳細は、決まり次第、中井精也公式ブログでご案内いたします。こちらも合わせてご検討下さいませ。
<日時>
4月21日(金):12時〜18時
4月22日(土):10時〜18時
4月23日(日):10時〜17時
会場:STACK-BOARD
〒950-0084 新潟県新潟市中央区明石1丁目6-23
<第22回ゆる鉄画廊NOMAD新潟について>
https://ameblo.jp/seiya-nakai/entry-12795203972.html
<ゆる鉄画廊NOMADホームページ>
https://garou.ichitetsu.com/
<STACK-BOARDのホームページ>
https://stackboard.wordpress.com/
◯ゆる鉄画廊NOMAD神戸三宮2
5月2日(火)〜7日(日)のGW期間中に、今年も神戸三宮2 NOMADを開催いたします。会場は昨年と同じギャラリーミウラです。会期6日間にも及ぶ長いNOMADですが、もちろん毎日、中井精也は在廊いたしますので、ご家族揃ってぜひお越しください! ゴールデンウィークは神戸三宮へGO!
<日時>
5/2(火):10時〜18時30分
5/3(水):10時〜18時30分
5/4(木):10時〜18時30分
5/5(金):10時〜18時30分
5/6(土):10時〜18時30分
5/7(日):10時〜15時
会場:ギャラリーミウラ
〒650-0004 神戸市中央区中山手通1-8-19 三浦ビル1F
<ゆる鉄画廊NOMAD神戸三宮2>
https://ameblo.jp/seiya-nakai/entry-12795203972.html
<ギャラリーミウラ>
http://www.art-express.co.jp/guide-net/hyogo/miura/index.html
今後のNOMAD案内
・ゆる鉄画廊NOMAD高松
2023年6月2日(金)〜4日(日)
本州外、そして四国初のゆる鉄画廊NOMADです。詳細決まり次第ご案内いたします。
・ゆる鉄画廊NOMAD栃木もてぎ
2023年7月14日(金)〜17日(月)予定
会場:ふみの森もてぎ
・ゆる鉄画廊NOMAD京都亀岡
2023年8月10日(木)〜13日(日)予定
会場:道の駅亀岡ガレリア
※翌日の9月14日(月)に写真教室を開催予定
第5弾!「ゆる鉄画廊コンビニエンス」
eプリントサービスで、全国のコンビニに設置してあるマルチコピー機を使って鉄道写真家 中井精也の作品をプリントできるようになりました。
今回は待望の第5弾! 今回は2023年4月の期間中だけプリントできる限定プリント。中井精也の最近作品を中心に10枚が期間限定で登場です! この機会にぜひプリント・額装してお部屋に飾ってね。絵柄は今後も増えていく予定です。
プリント絵柄や操作方法に関しては、以下のリンクからご覧ください。これまでの絵柄は通常通りプリントできます。期間限定は、今回登場した10枚です。
<eプリントサービス>
https://www.e-printservice.net/content_detail/yurutetsugarou
写真紙Lサイズ:400円
写真紙2Lサイズ:800円
※ねこ鉄はランダムプリントになります。
※一部店舗ではご利用できない場合があります。
※2Lサイズプリントはセブン-イレブンでは取り扱いがございません。