中井精也のエンジョイ鉄道ライフ「ジョイテツ!」
ソニーRX100 VIIでエンジョイお散歩撮影!
2020年6月25日 06:00
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、3月下旬から6月初旬にかけてステイホームの日々が続きました。基本的に家に籠もりっきりの毎日でしたが、そんなときの最大のお楽しみは、なんといってもお散歩タイムに撮影する「1日1鉄!」でした。
と言ってもあくまでもメインは散歩なので、できるだけミニマムで、ふだんと変わらない撮影ができるカメラが最適と考え、ソニーRX100 VIIを選びました。有効約2,010万画素の1.0型積層型CMOSセンサーを搭載したRX100 VIIはいわゆる"コンデジ"ですが、ソニーが「α9の遺伝子を継ぐプレミアムコンパクトデジタルカメラ」と言うだけあり、快適に鉄道写真を撮影できるスペックを秘めています。そしてコンパクトカメラなだけあってとても小さいので、いつも財布などを入れているちいさなバッグに忍ばせています。そのままバッグに入れると傷だらけになってしまうので、シリコン製のカバーをつけて使用しています。
今回はステイホーム時にお散歩しながらRX100 VIIで撮影した作品をたくさんお見せしましょう。
ここは僕の自宅の近所、埼玉県越谷市にある出羽公園です。公園のすぐ横には武蔵野線の線路が通っていて、いろいろな撮影が楽しめるほか、お散歩コースも充実しているので、ステイホーム時のお散歩はだいたいここに来ていました。毎年4月になると出羽チューリップコミュニティフェスタというお祭りが開催され、地元の小・中学生が丹精に育てたチューリップが公園を飾ります。
さらにこの公園には中央に池があるのですが、そこに浮かべた筏にもチューリップが咲き誇り、とても鮮やかな風景になっていました。奥では子どもが走ってきた電車と競争する微笑ましいシーンが見られたので、189mm相当で撮影。ハイクラスなコンパクトデジカメは標準ズーム相当のレンズを搭載したものが多いですが、このRX100 VIIは広角側は24mm相当、望遠側は200mm相当までカバーしているので、ほとんどのシーンをこれ1台でこなせてしまいます。僕がこのカメラを選んだのも、望遠レンズが使えることと、連写の速さが決め手でした。池の反対側から望遠で風景を圧縮して見せることで、チューリップのボリュームを出してみました。
RX100 VIIは広角側は24mm相当までカバーするので、伸びやかな作品も狙えます。この作品は28mm相当で撮影したもの。周辺光量落ちもまったくなく、F4.5で菜の花にピントを合わせると、まるで本格的なレンズ交換式カメラのように列車がぼけてくれたので、とても立体感のある作品になりました。青空などの撮影では気になるセンサーのゴミも、あたりまえですがレンズ一体型のコンパクトデジカメでは気にしなくていいのも嬉しいところ。
この圧縮感に、このボケ味。とてもコンパクトカメラとは思えない仕上がりに嬉しくなりました。今年は近所の桜しか撮影できなかったせいか、あっというまに夏になってしまったような気がしてしまいます。ステイホームの時間はふだんより緩慢に感じるのに、気がつけばあっというまに季節が変わっているという不思議な感覚。そしていつのまにか1年の半分が終わっているという衝撃。はやくいつものテンポに戻るといいな。
こちらは出羽公園から少し足を伸ばしたところにある綾瀬川にかかる鉄橋。土手に1本だけ桜の木があり、いろいろな撮影を楽しめました。まずは夕暮れで青く染まる桜と電車を。コンパクトカメラとしては大きめの1型センサーだけに、ミラーレスカメラまでとはいかないものの、手前の被写体にピントを合わせると大きなボケを得ることができます。開放ではボケすぎたので、F6.3まで絞って撮影しています。
同じ桜の木で、流し撮り。1/8秒より速いシャッター速度に限られますが、驚くことに電子シャッターを選択することでα9と同じようにブラックアウトフリー撮影ができます。このような流し撮りをするときなどに、威力を発揮してくれます。流れた花が躍動して、花の嵐のように幻想的なイメージになりました。ISO 1000まで上げてもなお、美しい画質をキープしているところにも注目です。
またまた同じ桜の木で、今度はハイキーで爽やかなイメージに。曇天や逆光の白い空を構図に入れるとその部分だけ弱くなるので、僕はいつも「白い空は親のカタキ」と自分に言い聞かせ画面に入れないようにしていますが、ここではあえて白い空を白いキャンバスのように使い、絵画のような印象にしてみました。春色の滝が列車に降り注ぐイメージで、パチり。
毎日のお散歩なので、雨がふることだってあります。ビニール傘をさしながら散歩していたら、桜の花びらが風で飛んできて、傘をおしゃれに飾ってくれました。白バックだと桜の花びらが目立たないので、緑バックになる位置を探して撮影。傘のなかを必死で撮影している僕は、かなり不審だったろうなぁ。
ワイド端の24mmで、パイプについた雨粒を主役にしてみました。雨の日は撮影したくなくなるけど、いっそ雨を主役にしてキョロキョロしてみると、素敵な光景が見つかるものです。コンパクトカメラなら傘をさしながらの片手撮影でも楽ちんです。ホワイトバランスの太陽光に調整機能を使ってブルーを+3、マゼンタを+1して、透明感のある色調にしてみました。
この日はかなりの大雨だったので、雨粒がピント面に落ちることを期待してMFで置きピンし、列車が通過する間をずっと連写。シャッター速度をできるだけ速くしたかったので、ISO 6400まで上げましたが、それほど画質が劣化することなく撮れたのには驚きました。本当に雨粒がいい位置に落ちるかは運しだいなので何度かチャレンジすると、みごとに雨粒が浮かび上がる瞬間を撮ることができました。ホワイトバランスで全体を青くし、ハイキーな露出にすることで、クリアーな印象に仕上げています。
「ここから先に進むなら、俺を倒してからいくんだニャ」的なボス猫を入れて。実際には警戒心が強く、すぐに逃げてしまいそうでしたが、威圧感のないコンパクトカメラの小ささとサイレントシャッターで、猫ちゃんを刺激することなく撮れました。本格的な機材での撮影は最高だけど、傘を片手にコンパクトカメラをぶら下げて散歩するのは、ちょっとした冒険みたいでワクワクします。
こちらも出羽チューリップコミュニティフェスタで飾られた花と列車。こういうシーンでは木の陰から突然列車が現れるので、完璧な位置で撮影するのは難しいのですが、このRX100 VIIはなんと最高約20コマ/秒の連写速度を誇っているので、かんたんにベストショットを撮ることができます。ちなみにどれくらい連写が速いかを、パラパラ漫画にしてみましたのでご覧ください。
あえてゆっくりにしてありますが、実際の電車はもっとすごいスピードで走り去っていくので、ここまで刻んで撮れるのは凄いことなのです。コンパクトカメラとは思えない連写性能でしょ? 24〜200mm相当をカバーして約20コマ/秒連写が可能なこのカメラなら、たいていの鉄道写真は撮れちゃうのです。
明暗差が大きいシーンでしたが、シャドウ補正機能のDRO(Dレンジオプティマイザー)を強めにかけることで、白飛びや黒つぶれのない自然な描写にできました。センサーが小さいコンパクトカメラはこういう明暗差の大きいシーンや暗いシーン、高感度撮影時の余裕がないのが弱みですが、このRX100 VIIは厳しい撮影シーンでも不満を感じることはまったくありません。ここで使ったDROなどαシリーズでおなじみの機能がそのまま搭載されているだけでなく、メニューの構成やFnメニューなどもαシリーズと同じなので、レンズ交換式カメラのサブ機としてもストレスなく使えるのが嬉しいところです。
最後は望遠端の200mm相当で撮影した作品。センサーが小さくボケにくいと言われるコンパクトカメラでは表現が難しい前ボケ撮影も、ご覧のとおり見事にこなしてくれました。
気がつけばもう夏の花が咲いています。ルンルン気分で蜜を吸うアゲハチョウを、ちょっと離れた位置からパチり。レンズ交換も必要なく、さりげなくカバンから出して、こんな写真をサクッと撮れるのが、このカメラの最大の魅力かもしれません。小型軽量なコンパクトカメラながらαシリーズと遜色ないRX100 VIIは、最高のお散歩カメラと言えるでしょう。価格は15万円に近く"コンデジ"としては怯むほど高価ですが、これを買っておけば間違いないと太鼓判を押せる高性能なので、ふだんレンズ交換式カメラをメインに使っている方も、頼りになるサブ機として導入を薦めたい1台です。サブ機どころか、いつのまにかメイン機になってもおかしくない性能を秘めているので、お気をつけて(笑)。
中井精也からお知らせ
ゆる鉄画廊は新型コロナウイルスの感染拡大抑制のため3月27日から休業しておりましたが、6月6日より営業を再開いたしました!
当面は営業時間を短縮し、平日、土休日ともに13時〜18時の営業とさせていただきます。入口ドアの開放、消毒液の設置、スタッフのマスク着用など感染対策を徹底してまいりますので、ぜひお越しください。
そして営業再開にあわせて、写真展「青春鉄路1 ―中井精也が80年代に記録した珠玉の鉄道風景―」を開催いたします。ステイホーム期間に発掘したアマチュア時代の作品38点をプリントでご覧いただけます。興浜南線、日中線、天北線、木原線、赤谷線、栗原電鉄、南部縦貫鉄道、高千穂線、鹿児島交通などなど、懐かしい鉄道風景をお楽しみください!
期間
2020年6月6日〜7月中旬ごろ
営業時間
13時〜18時(定休日:火・水)