中井精也のエンジョイ鉄道ライフ「ジョイテツ!」

ゆる鉄探訪 第10回「小湊鐵道」

“乗り鉄”にも“撮り鉄”にもオススメ!

ソニーα1 FE 16-35mm F2.8 GM (30mm) 絞り優先オート (F8、1/640秒) ISO 400 WB:太陽光[Google Maps]
小湊鐵道随一の撮影ポイント「石神の菜の花畑」で撮影したこの作品がベストショット。その名のとおり菜の花で満開になる春が狙い目ですが、それ以外のシーズンもさまざまな撮影が楽しめます。撮影日は、雨が降ったり晴れたりの変わりやすいお天気。もしかして虹が出るのでは?と粘っていると、うっすらではありますが列車のタイミングにあわせて虹が出てくれました。
今までは赤とベージュのツートンカラーの車両ばかりだったので、いわゆるタラコ色の気動車が走る風景はかなり新鮮! また小湊鐵道に通う理由が増えました。

僕が大好きなゆる鉄路線をご紹介する「ゆる鉄探訪」。路線の撮影ポイントや見どころのほか、僕がその路線で撮影したBEST SHOTもご紹介します。

ソニーα1 FE 24-70mm F2.8 GM (29mm) 絞り優先オート (F3.2、1/10,000秒) ISO 400 WB:太陽光

10回目に満を持して登場するのは、千葉県を走る小湊鐵道。首都圏から比較的近い位置にありながら、昔ならではのローカル線の旅情を感じられる、僕の大好きな路線です。最近ではJRを引退したキハ40が導入され、さらに魅力的になりました。


ソニーα1 FE 24-70mm F2.8 GM (24mm) 絞り優先オート (F3.2、1/10,000秒) ISO 400 WB:太陽光

こちらは起点である五井駅に隣接した、車両基地の風景。この時点でもう昭和40年代くらいにタイムスリップしたみたいでしょ?ここには「こみなと待合室」というカフェを兼ねた待合室があり、その前から車庫の様子を存分に撮影することができます。小湊鐵道には「1日フリー乗車券」1,840円があるので、それを購入したら、懐かしい過去に連れていってくれる、タイムマシーンのような小湊鐵道に乗車しましょう!

こみなと待合室
https://kominatomachiai.com/


ソニーα1 FE 16-35mm F2.8 GM (23mm) 絞り優先オート (F5.6、1/800秒) ISO 400 WB:太陽光

ここは上総村上と海士有木の直線区間の中間くらいにある、浄水場へ向かう第4種踏切付近。以前は細い砂利道だったのですが、浄水場のリニューアルのためか道路が拡幅・舗装されて通りやすくなりました。両側が広々とした田んぼの風景のなかを、一直線に線路が伸びているので、自由度の高い撮影が楽しめます。写っている車両はJR東日本の五能線などで活躍していたキハ40。1986年に製造されているので、もう36年前の車両ですが、小湊鐵道では新車です(笑)。


ソニーα1 FE 24-70mm F2.8 GM II (33mm) 絞り優先オート (F8、1/320秒) ISO 400 WB:太陽光

続いてご紹介するのは、上総川間駅付近の田園風景。画面中央のちいさな森みたいになっているところが上総川間駅です。可愛い駅の周辺がすべて田んぼなので、四季折々に変化する田んぼの表情とからめて撮影できます。この駅はとてものんびりした印象ですが、近くに高校があるため、朝は大勢の学生さんたちが乗り降りし、とても活気のある風景になるのも嬉しいところです。


ソニーα1 ピンホールレンズ ZNONZ Is  マニュアル露出 (1/60秒) ISO 6400 WB:日陰

こちらは上総鶴舞駅近くの線路脇に立つ1本の木。まるでランドマークのような木をテーマにして、牧歌的な風景を切り取りましょう。作例は上総久保駅方向を向いて撮影したものですが、木の反対側から上総鶴舞駅方向を向いて撮影することも可能です。

この味わい深い描写は、ピンホールレンズで撮影したもの。僕はこれまで使っていたピンホールレンズはボディキャップを改造して自作したものでしたが、仕事でお付き合いのあるズノン株式会社さんから試作品をいただいたので、テストを兼ねて撮影してみました。

ピンホールカメラは作るのは簡単ですが、穴のサイズや形によって、明るさや描写力がなかなか安定しません。でもこのZNONZ Isは精巧に作られているだけあり、抜群の安定感を誇っています。描写力もピンホールらしさが良く出ていて、お気に入りのレンズになりました。現在このピンホールレンズの製品化に向けて、クラウドファンディングが行われていますので、興味のある方はぜひ覗いてみてくださいね。

ノンレンズ光学素子4種のターレット撮影機材、ZNONZⅠs
https://camp-fire.jp/projects/view/603840


ニコンD7000 AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED (21mm相当) 絞り優先オート (F8、1/4秒) ISO 200 WB:晴天

続いては月崎駅。月崎駅は冬になるとライトアップが施され、とても幻想的な風景になります。都会の洗練されたライトアップとは違う、ボランティアの方々が手作りでライトアップした風景は、どこかぬくもりにあふれているように感じます。月崎駅の近くにある「いちはらクオードの森」でも、大規模なライトアップが行われていますので、あわせてお楽しみください。月崎駅といちはらクオードの森は、シャトルバスが運行されています。

いちはらクオードの森 イルミネーション
https://maruchiba.jp/sys/data/index/page/id/13429


ニコンD300S AF-S VR Zoom-Nikkor 70-300mm f/4.5-5.6G IF-ED (153mm相当) 絞り優先オート (F4.5、1/500秒) ISO 560 WB:晴天

月崎駅と上総大久保駅の間は、撮影ポイントが豊富ですが、もっともメジャーなのがこちらのポイント。築堤のうえを走る列車を、森をバックに撮影できるので、晴れた日はもちろん天気の悪い条件でも、「親のカタキ」である白い空を入れずに撮影することができます。

作例は大雪のシーンですが、なかなか写真に写りづらい雪の粒も、背景の暗い森をバックにすることで、目立たせて撮ることができました。運が良ければ年に数回は雪景色になりますので、雪が降ったら迷わずここに向かいましょう(笑)。


ソニーα1 FE 70-200mm F2.8 GM OSS II (188mm) 絞り優先オート (F3.5、1/400秒) ISO 800 WB:日陰
ソニーα1 FE 70-200mm F2.8 GM OSS II (88mm) 絞り優先オート (F5.6、1/250秒) ISO 800 WB:日陰

上総大久保駅から踏切を渡った反対側の空き地には、数本のイチョウが立っています。11月下旬から12月になるとイチョウの葉が色づき、さまざまな構図で、列車とからめて撮影できます。1枚目は森を抜けてくる列車を、望遠レンズで。2枚目はイチョウの木を入れて縦構図で。駅の待合室には、近くにあった小学校の生徒たちによってトトロが描かれており、ゆる〜い無人駅の風景を撮影することもできます。


ソニーα1 FE 24-70mm F2.8 GM II (28mm) 絞り優先オート (F8、1/1,000秒) ISO 800 WB:日陰

「石神の菜の花畑」のすぐ近くには羽雄神社があり、参道の鳥居と列車をからめて撮影することも可能です。やってきたのは小湊鐵道が誇る観光列車「房総里山トロッコ」で使用されている機関車。たまたま試運転が行われ、客車を連結せずに走ってきてくれたので、味わい深いシーンになりました。モノクロで撮影したら、まるで昭和初期にタイムスリップしたみたいでしょ? この車両、SLのように見えますが、実は観光列車用に新造されたディーゼル機関車です。

小湊鐵道は駅とその周辺で撮影するだけでも十分満足できる稀有な路線。初心者からベテランまで、「乗り鉄」と「撮り鉄」の両方を楽しみたいひとにも、とにかくオススメの路線ですので、ぜひ訪ねてみてくださいね。

中井精也からのお知らせ

1日1鉄!カレンダー2023

毎年好評の「1日1鉄!カレンダー」を販売いたします。今年も最新作品を中心に中井精也が見つけた絶景やゆるい鉄道風景を掲載いたしました。ぜひお部屋に飾ってね。

ご購入は、今後のゆる鉄画廊NOMADの店頭やAmazonで販売いたします。Amazonの販売は開始次第「中井精也1日1鉄!ブログ」でご案内いたします。

「1日1鉄!ブログ」
https://ameblo.jp/seiya-nakai/

壁掛けカレンダー

<内容>
壁掛けタイプ/見開きA2相当
本文26ページ/フルカラー/日曜始まり
価格 2,200円(税込)※サイン付き

卓上カレンダー

<内容>
卓上タイプ/B5相当サイズ
表:全面カレンダー(メモ欄付)/裏:写真作品+1行カレンダー
価格 1,500円(税込)

ゆる鉄画廊NOMAD開催情報

「ゆる鉄画廊NOMAD(ノマド)」は、中井精也が撮影した鉄道写真作品を展示・販売いたします。作品をさまざまな種類の額に入れて販売するほか、ここでしか買えない書籍やポストカード、グッズなどを販売いたします。また直筆サインや、記念写真撮影など、中井精也本人とふれあえる貴重な機会ですので、ぜひお越しください。

<ゆる鉄画廊NOMADホームページ>
https://garou.ichitetsu.com/

<中井精也ツイッター>
https://twitter.com/railman_nakai

開催予定一覧

【第18回】ゆる鉄画廊NOMAD福島

2022年11月11日(金)〜13日(日)に福島でゆる鉄画廊NOMADを開催いたします。期間中は毎日、中井精也は在廊しております。仙台・山形に続いて、東北地方3回目のNOMAD開催です! 10月に復旧した只見線の最新作品も展示販売予定です。ぜひお越しください。

さらに、11月14日(月)には、恒例の写真教室も開催いたします。今回は専用のマイクロバスをチャーターして、撮影ポイント近くまで楽々の移動。いろんなオススメ撮影スポットで一緒に写真を撮りましょう!ご予約詳細はリンクから。

<ゆる鉄画廊NOMAD福島>
https://ameblo.jp/seiya-nakai/entry-12770035452.html

営業時間:
11/11(金)13時〜16時
11/12(土)10時〜16時
11/13(日)10時〜15時
会場:福島市写真美術館
https://www.f-shinkoukousha.or.jp/hanano-shashinkan/

実施日:2022年11月14日(月)
参加費:25,000円(税込)
定員:先着20名様
集合:朝9時20分福島駅西口改札口

<ゆる鉄画廊NOMAD福島写真教室>
https://ameblo.jp/seiya-nakai/entry-12770044800.html

◯ゆる鉄画廊NOMAD岐阜2
2022年12月15日(木)〜18日(日)
会場:ギャラリーpieni onni
https://www.pieni-onni.com/

それ以外にも、様々な場所でNOMADを計画しておりますので、詳細が決まりましたらご案内いたします。皆様の街へ「ゆる鉄画廊NOMAD」は出張いたしますので、近くに来た際には、ぜひお越しくださいね。

※場所・営業時間など詳細は決まりましたら、メルマガやブログでお知らせいたします。
※スケジュールは変更になることもあります。

中井精也

1967年、東京生まれ。鉄道の車両だけにこだわらず、鉄道にかかわるすべてのものを被写体として独自の視点で鉄道を撮影し、「1日1鉄!」や「ゆる鉄」など新しい鉄道写真のジャンルを生み出した。2004年春から毎日1枚必ず鉄道写真を撮影するブログ「1日1鉄!」を継続中。広告、雑誌写真の撮影のほか、講演やテレビ出演など幅広く活動している。全国を旅しながら自身の作品を販売する「ゆる鉄画廊NOMAD」を展開中。テレビレギュラー番組に「中井精也のてつたび!/NHK BSプレミアム」、「ヒルナンデス!/日本テレビ系列」、「にっぽん鉄道写真の旅/BS-TBS」などがある。https://ameblo.jp/seiya-nakai/