中井精也のエンジョイ鉄道ライフ「ジョイテツ!」
ポラ鉄!に挑戦②
2020年5月25日 06:00
前回ご紹介した、僕が愛用しているポラロイド690。今回はこのカメラで小湊鐵道といすみ鉄道を撮影した作品を、たくさんご紹介しちゃいます!
まずは僕の大好きないすみ鉄道の「第二五之町踏切」へ。カメラの隙間からポラロイドフィルムに光が入らないように、日傘をさして撮影したけど、やっぱり現像ムラなのか光線カブリなのかわからないムラができてしまいます。青空のような連続するトーンだと、どうしてもムラが目立ってしまいますね。まぁこれもポラロイドの味だ!と言い切りましょう(笑)
続いて列車の走行シーンを撮影します。このカメラはもちろんタイムラグはあるものの、意外に素早く撮れるので、こんなゆる鉄的な構図の作品にすることもできます。ただし完全に一発勝負なので、緊張感はかなりあります。1枚300円だし。今はすっかりデジカメでバリバリ連写するのに慣れてしまいましたが、そういえばポラに限らずフィルム時代は今より緊張感あったなぁと、しみじみ感じました。
今度はムラもなくキレイに撮れましたが、画面中央部に引っ掻いたようなカタチの光線漏れが。まぁこれも味ということにしましょう。現像するたびにどんな結果になるかドキドキするのも、このカメラの魅力かもしれません。いや逆にこれを魅力と感じられない人は、このカメラを選ばないほうがいいかも。
このカメラを使っていて思うのは、バリ鉄でも、ゆる鉄でも、キメキメの構図を作るのではなく、何気ない鉄道風景をラフにスナップするほうが、味わい深い作品になるということ。このカットはフツーのカメラで撮っても、フツーの写真にしかならないけど、ポラで撮ると、実に味わい深い風景に写ります。また順光よりも逆光のほうが、僕が求めている雰囲気に近い気がします。もっともっと使いこんで、ポラ写真の完成形を予測できるポラ想像力を磨きたいな。
あたりまですが、ポラロイドカメラには連写機能はありません。そこでどれくらいの連写が可能か、実験してみたのがこちらのカット。結果としては3秒間に1枚って感じでした。1枚目を撮ったら、すばやく撮影済みのフィルムが完全に吐き出されるのを待って引き抜いて口にくわえ(笑)、次のシャッターを切りました。露出をプラス補正したのですが、思ったよりローキーになってしまいました。2枚とも同じ明るさに写っているので、そもそも逆光+ハイキーな感じにするのは難しいのかもしれません。
上総大久保駅近くの田んぼで、順光で撮影。奇をてらわず、こんな感じで撮るのがいいんだと、だんだんコツをつかんできました。田んぼ部分にムラがありますが、それほど気にならない程度で一安心。列車は大きめに撮ったほうが、きちんと描写されます。このサイズぐらいが小さく撮る限界だと思ってください。
前のカットを撮影したあと、またまた「口にくわえ連写」で2枚目を撮影。690SLRは思いのほか正確なフレーミングができます。たださすがに隅っこ構図で攻めすぎると、こんなふうにギリギリになってしまうこともあるので注意です。問題は空の部分に出現した未確認飛行物体(笑)たま~にこの連続する光モレ?が出現するんだよなぁ……でも画面の中央にいい感じで出現したので、これはこれでお気に入りの作品になりました。こんな予測不能の結果があるのも、ポラロイドカメラの楽しみかもしれません。
やっぱり通常のカメラでは見落としてしまうような「さりげない場所」+「逆光」の組み合わせこそ、ポラ鉄!成功の法則ですね。上総大久保の踏切でさりげなく撮影しましたが、いい雰囲気に写りました。画面上部のハレーションはレトロっぽくていい感じ。下の現像ムラはないほうが良かったかな。
上総大久保のトトロを撮影したとき、奇跡が起きました。ほとんどアンバー系の色転びが多いのですが、このカットだけ激しいグリーンカブリになりました。結果として緑が強調された、メルヘンチックな作品になりました。トトロが奇跡をおこしてくれたのかな?
こちらは上総川間駅近くの踏切から撮影。ポラ鉄!では、この写真のようにふだんは邪魔だと感じる信号機などを入れたほうが、いい感じに写ることが多いように思います。デジタルピンホールカメラである「おもひでかめら」のときもそうでしたが、描写がゆるいカメラで撮るときは、画面内が整理されすぎていないほうがいい結果になることが多い気がします。そういう意味では、撮り方を変えなければいけないカメラとも言えるかもしれません。
こちらも何気ない踏切の風景。背後に写る農作業用のトラクターや軽トラがとてもいい仕事をしてくれています。記憶の中の夏の風景を写したような、いい色調になりました。
完全逆光の田んぼで撮影。ハレーションでまったく写らないかなと思ったのですが、意外にもいい雰囲気の作品になりました。やはりこのカメラは逆光で撮るのがおススメですね。今回の撮影を振り返ってみると、色カブリや光線カブリ、光線モレなどが、いつどこで、どんなふうに現れるかがコントロールできないところが、このカメラの難しくもあり楽しいところでもあることがわかりました。また順光よりも逆光、大きな明暗差があるシーンには向かないなど、撮影の方向性もわかってきたかな。
1枚300円というハードルは相変わらず高いですが(笑)、ほかのカメラでは表現できない作品が生み出せるこのカメラで、今後もいろいろと撮影してみたいと思います。もしみなさんも撮影に行き詰まったら、一度こういうカメラを手にしてみるのもいいかもしれませんよ。
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