神保町写真教室の教科書「写真総合」by 岡嶋和幸先生

半順光と半逆光(撮影基礎:光)

一歩進んだ“自分らしい”“伝わる”写真表現が学べる「インプレス・フォトスクール 神保町写真教室」。その分かりやすく実践的な講座内容に定評のある岡嶋和幸さんが12回にわたって本誌Web特別講座を連載。写真撮影の基本となるピント、露出、色、レンズ、光、構図、そして実践的な撮影方法の中からトピックを厳選してお届けします。(編集部)

半順光と半逆光

半順光はシャドウが輪郭を強調
被写体の斜め前方に光源がある状態です。シャドウが被写体の輪郭を強調するため立体感が生まれます。真正面からの順光で平面的に感じるときは、撮影者と被写体の位置関係を調整するなどして陰影をつけるといいでしょう。
半逆光ではハイライトが輪郭を強調
被写体の斜め後方に光源がある状態です。ハイライトが被写体の輪郭を強調するため立体感が生まれます。真後ろからの逆光で平面的に感じるときは、撮影者と被写体の位置関係を調整するなどして変化をつけるといいでしょう。
半順光や半逆光で動きを出す
半順光や半逆光は、それぞれに画面全体が引き締まった感じの仕上がりになります。被写体の影が斜め後方や斜め前方に伸びるため、それを生かすことで動きが感じられる画面構成になります。遠近感や奥行き感が強調されるなど効果的です。

被写体の立体感と表情を両立できる

順光の状態から狙う方向を少し変えることで半順光、逆光の状態からだと半逆光になります。それぞれサイド光との中間くらいの光線状態で、斜めからの光に照らされることで陰影がついて立体的になり、被写体やシーンの表情が豊かに感じられるようになります。

光源に直接照らされた部分に露出を合わせた場合、サイド光に対して半順光はハイライト、半逆光はシャドウの面積が多くなります。そのため半順光は色彩豊かで、半逆光は彩度が控えめに仕上がります。どちらもサイド光と同様、自然光の場合は朝や夕方の斜光を利用すると生かしやすくなります。陰影を意識しながら光と被写体の向きを調整しましょう。

半逆光での撮影では、被写体と背景の明暗差が強まるぶんハイライトが白く飛んでしまったり、シャドウが黒くつぶれてしまいやすいです。露出補正では画面全体に対して一律に明るさが変わるため、どちらか一方をなくそうとすると、もう一方の白飛びまたは黒つぶれの範囲が広がってしまいます。デジタルカメラはシャドウが黒くつぶれにくい傾向があるので、そのあたりを踏まえながら、光が印象的に感じられるように明るさをバランスよく調整するといいでしょう。

これに対して半順光の撮影では、サイド光のときと同様、シャドウが暗くなりすぎてもいいので、ハイライトがちょうどいい明るさになるように明るさを調整します。

また、半順光と半逆光のどちらも、階調補正機能の設定によってはシャドウが明るく持ち上げられて陰影が弱まることがあります。それによりそれぞれの光の特徴が薄れてしまう可能性もあるので、階調補正の効果を弱めたり、場合によってはオフにするといいでしょう。

レンズコーティングの役割

フレアやゴーストを低減する技術がコーティングです。コーティングが施されていないと、レンズとレンズの間で光が反射を繰り返して、これがコントラストや解像力の低下につながります。

コーティングが施されていれば、レンズ面やレンズ内部での光の反射を減らして透過率を高めることができます。逆光などで起こりやすいフレアやゴーストの発生が低減できるなど、クリアでシャープな描写が可能になります。カラー写真の発色を良くする効果もあります。
左:コーティングなし、右:コーティングあり。レンズ面での光の反射を減らして透過率を上げるのがレンズコーティングの一番の役割になります。

写真撮影の総合教科書『写真総合』を発売予定!

カメラの基礎から実践、作品制作、展示までを網羅的にまとめた写真撮影に関する総合教科書『写真総合』を発売。その一部を本連載で紹介しています。「インプレス・フォトスクール 神保町写真教室」の公式テキストしても採用予定です。ぜひご期待ください。(編集部)

仕様
『写真総合』岡嶋和幸 著
2017年9月発売予定/定価:本体3,680円+税
B5変型判/320ページ

内容
第1章 カメラ基礎/第2章 撮影基礎/第3章 撮影実践/第4章 写真制作/第5章 写真表現/第6章 プレゼンテーション/写真関連用語集

※本書の仕様、発売日、内容は変更になる場合があります。

図版制作●村上総、吉光さおり(Kamigraph Design)
イラスト●今道千里

岡嶋和幸