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プロ監修で注目「Enduranceカメラバッグ」の見どころ
一眼レフ機材と1〜2泊の荷物をひとまとめ
2016年10月19日 11:30
10月5日に発売された「Endurance(エンデュランス) カメラバッグ」について、同製品を監修したプロフォトグラファーの中原一雄さんと、販売元で企画・デザインを行ったビーハーフ株式会社の担当者に話を聞いた。
Enduranceカメラバッグは、いかにもカメラが入ってます!という貴重品の気配を消したカジュアルテイストを狙いつつ、一眼レフ機材とノートPCに加え、手回り品や1〜2泊の着替えまで一つにまとめられるよう企画された。クイックにカメラを取り出せるサイドアクセス機構も備えるなど、収納容量だけでなく、使い勝手においても懐の深いカメラバッグに仕上がっている印象だ。
細かいやり取りから生まれた、細やかな仕様
ビーハーフ担当者によると、カメラバッグを製品化する場合、通常はサンプルを1つ作って最終仕様が決まることが多いところ、Enduranceカメラバッグでは2〜3個のサンプルを作ったそうだ。企画側として「このバッグは中原さんの納得が全て。でなければプロジェクトとして意味がない」という目標を明確に持っていたからだという。
明確だったのは企画側の姿勢だけでなく、中原さんのオリジナルバッグに対するオーダーもまた同様だった。既存のカメラバッグに感じた物足りなさを踏まえ、叶えたい要望を自らスケッチにまとめてビーハーフの担当者に見せた。実際にプロトタイプを使いながら細かな調整を重ね、製造元が決まってから約半年で製品に仕上がった。
泊まりの撮影でも荷物をまとめたい
Enduranceバッグがどんなユーザーにマッチするかは、中原さん自身の撮影スタイルを知るのが近道だろう。中原さんはクルマよりは電車や徒歩での移動が多く、月に1〜2回は地方出張で日帰りか1〜2泊する。そんな時に、荷物はカメラバッグひとつか、せいぜいプラスアルファ程度にまとめたかったそうだ。
例えば、遠出の帰りに土産が増えて手がふさがり、カメラを取り出すのが億劫になってシャッターチャンスを逃した経験はないだろうか。中原さんもそのような体験から、上部スペースを可変できるロールトップ構造にして、撮影機材以外の荷物もなるべく一つにまとめやすいよう工夫した。こうしたアイデアを各部に盛り込んでいった結果こそ、発表以来このバッグが支持を集めている理由だろう。
35mm一眼レフカメラ対応の収納スペース
注目のカメラ機材スペースは、35mmフルサイズの一眼レフカメラを想定。縦位置グリップのないフルサイズ一眼レフカメラに、広角・標準・望遠のF2.8ズームレンズ(いわゆる大三元)と、さらに単焦点レンズ1本が収まることを基本としている。実際に最終製品を試してみたところ、大三元レンズに加えて単焦点がさらに2〜3本も入ったという。
ノートパソコンは、背中側の大きな収納スペースに入れる。A3程度のスペースがあり、中原さんが出先の撮影で使う二つ折りのレフ板が入る。ノートパソコンは13型のMacBook Proを想定して仕切られているが、背面の収納スペース自体は大きいので、パソコン用の仕切りを無視すれば15型でも難なく収まるだろう。
また、三脚の取り付けも可能だ。深くしっかりとしたポケットのある側面にはバッグの高さを超えない程度の小型三脚、正面のホルダーを使えば3段の中型三脚も取り付けられそうだ。バッグの真ん中に取り付けることで、歩行時に体が左右に振られることも抑えられる。何より、三脚を持ち出すためにカメラバッグを変えたり、バッグと別に三脚ケースを持つことをしたくなかったそうだ。
ウエストベルトもついている。荷物が10kgを超える場合はウエストベルトを併用することで、荷重を腰に預けられるという。これにより体感で数kgほど軽くなるそうだ。山登りをする中原さんが登山用のバッグから得たアイデアで、ロードバイクを愛するビーハーフ担当者の「背負ったバッグが左右にブレにくくなる」という見識とともに装備された。バッグを手にしたら、めいっぱいの機材を詰めて試してみたいところ。
「カジュアル感」で素材やパーツにもこだわり
昨今よく聞く「カメラバッグらしくない」という言葉の中には、もちろんバッグのスタイリングもあるが、見た目の素材感や佇まいも「カメラバッグらしさ」への影響は大きい。あまりにシッカリとした外装素材だと、いかにも高級で、高価なモノが入っていそうに見える。
そこで、表に見える部分の素材はカジュアル感を重視し、見た目のよさと軽量化を両立した。いっぽう背中側は機動性や快適性に影響するため、フラッグシップのカメラバッグに使われるというグレードのものが選ばれた。このようにポイントを見極めた緻密な素材選定が行われたことで、企画側の「中原さんの要望を叶えつつ価格は2万円を切る」という目標が達成された。
プロ同士のコラボレーションが結実
こうして中原さんの要望を盛り込んで形になったEnduranceカメラバッグ。企画したビーハーフ担当者は「私達アマチュアとプロでは機材も使い方も違って驚いた。レフ板を持ち歩いたり、撮影講座の間に背負いっぱなしだったり、使うのも長時間。タフに使われるので保護のポイントを妥協してはいけないなど、新しい発見があった」と印象を語る。
発売までを振り返って中原さんは、「自分はわがままを言っただけ。ふわっとしたイメージを形にしてもらえた」と満足のコメント。ビーハーフではこれまでにもカメラバッグの企画を手がけたが、「今回は中原さんの明確なイメージとラフスケッチがあり、ゼロからやるのとは違った。ここまで密な商品開発は初めて」と担当者は話す。通販限定の製品ではあるが、ぜひ機会があれば手にとって、両者の熱がこもったコラボレーションを堪能したい。