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復刻版「ライカM6」「ズミルックスM 35mm F1.4」

新旧M6を見比べる

11月に発売されたフィルムカメラ「ライカM6」(2022年モデル)および「ライカ ズミルックスM f1.4/35mm」の外観写真をお届けする。

ライカM6(2022年モデル)

参考として、筆者私物のライカM6(1984年モデル)と各部を見比べていく。左が復刻版のライカM6、右がオリジナルのライカM6。

正面の「LEICA M6」という表記や、トップカバー端部の「ERNST LEITZ〜」の刻印が、ライカM6ならではの特徴として再現されている。

復刻版のライカM6は、内部構造やパーツなどを「ライカMP」と共用しているのが特徴。ライカM6より新しい世代のパーツのため、二重像の見やすさや露出計インジケーターの表示が改良されている。足りないパーツはオリジナルのライカM6の設計図を元に作られたという。

わかりやすい見分けポイントは、ファインダー窓のコーティング。反射時の色が異なる(左が復刻版)
新旧Leitzバッジは微差。以前見学した本社カスタマーケアでは、調整時にLeicaバッジを牛乳瓶のフタのように剥がし、作業後に新しいものを貼り付けていたので、旧のほうは必ずしも本体の年代と紐付かないかもしれない

トップカバーの質感の違いは、オリジナルの「亜鉛ダイキャスト+ブラッククローム」に対し、最新デジタル機のライカM11と同じ「真鍮削り出し+耐傷性マットブラックペイント」になっているため。

例えばライカMPのブラックは、剥げやすいペイントが味わいになっているが、復刻版ライカM6のコンセプトはデイリーユースでガンガン使えるフィルムカメラだそうで、傷に強いペイントとしている。巻き戻しがノブ式でなく迅速なクランク式であるのも、そのコンセプトに通じる点だろう。

コンセプトとその求める機能から「ライカM6」が復刻された印象だが、レザーの“MADE IN GERMANY”刻印を再現するなど、マニアックな部分にもコダワリが感じられる(左が復刻版)
マウント内部。ライカM6のTTL露出計は、シャッター幕面の白丸を測光する仕組み
復刻版
オリジナル
箱も新しいものが用意された(左が復刻版)。入荷時のサイズもほぼこのままで、現行ライカの化粧箱(大きくて引き出しが沢山ついている)とは様子が異なる。右は年代不明だが、オリジナルのライカM6に使われていたもの

ライカ ズミルックスM f1.4/35mm(復刻版)

赤ズマロンや初代ノクティルックスを再現した“クラシックライン”に続く製品。“スチールリム”と呼ばれる、ズミルックスM 35mmの初代をモチーフに作られたレンズになっている。

本レンズのオリジナルは、1961年に“世界で最も明るい広角レンズ”として登場。鏡筒デザインの変更を経つつ、1990年代まで同じ光学系を継承していた。後年の非球面レンズ採用タイプに対し、現代の基準ではクセの強い(収差を抑えきれていない)描写であることから、いわゆる“オールドレンズ”的な市場でも人気を得た。

例えばピントレバーが無限遠で「パチン」とロックされる機構は初代ならではのもので、ねじ式のライカスクリューマウントから、バヨネット式のMマウントへの過渡期らしい時代の特徴と言えるものだろう。

オリジナルにはライカM3用のメガネ付き(近接用アタッチメント。0.65mまで寄れる)もあったが、復刻版は最短1mのタイプのみ。レンズフードは、OLLUX風のはめ込み式だけでなく、ねじ込み式のスリットタイプ(46mmフィルターが装着可能)も付属する。

スチールリムといえば、思い浮かぶのはこのスタイル。OLLUX風の同梱フードを装着
こちらは46mmねじ込み式のレンズフード。スチールリム以降の世代というイメージが強い形状
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本誌:鈴木誠