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ライカSL2とライカSL

Lマウントフルサイズ機の新旧外観比較

11月23日に発売されるミラーレスカメラ「ライカSL2」の外観を紹介する。今回は従来機「ライカSL」も用意して外観を比較してみた。なお、ライカストアでは11月15日からライカSL2の実機展示を行うという。

11月13日21時追記:発売日が11月23日に決定したとの連絡を受けたため、上記部分を更新しました。

ライカSL2は、パナソニックおよびシグマとの協業で話題になった「Lマウント」を採用するミラーレスカメラ。35mmフルサイズのCMOSセンサーを採用する。初代の「ライカSL」は2015年10月に発表された。

機能面の主なアップデートは、従来のライカSLが2,400万画素だったところから、ライカSL2では4,730万画素に高解像度化。さらにセンサーシフト式の手ブレ補正機構も搭載するなど、現在のカメラ市場における"フルサイズミラーレスカメラ"のトレンドとなっているポイントを押さえてきた。

かつ、価格設定も(ライカ製品としては)戦略的だ。ライカSLの発売時価格(2015年11月)は税別92万円だったが、ライカSL2は税別81万円。この4年間でライカ製品は幾度か価格改定(=為替変動などによる値上がり)があったことも踏まえると、ライカSL2は上記のアップデートを含みつつ、リーズナブルな価格設定を意識していることが伺える。

遠目に見たスタイリングはライカSLを継承しつつ、よく見ると共通部分の少ない仕上がりになっていることがわかる。例えばボディ外装は張り革を巻いたようなデザインになっており、アルミむき出しのつるんとしたライカSLの見た目とは印象が異なる。未来感の強いライカSLに対し、マウント部周辺にいわゆるエプロンと呼ばれる造形があるライカSL2には、少しクラシックな要素も感じ取れる。テイストの違いという印象だ。

左からライカSL2、ライカSL。

背面や上面のボタン/ダイヤル類は、ファインダーを覗きながら操作する部分については基本的に配置が共通している。異なるのはカメラ正面側のFnボタンが1つ増えていることと、背面左手側のボタン配置がライカM10/ライカCL/ライカQ2と同じく3ボタンに厳選されていることぐらい。ライカのカメラはその背面から"ゴミ箱マーク"が少しずつ排除されつつあり、個人的には清々しい気持ちになる(画像削除の機能自体は存在している)。

正面のボタンが2つに増えた。
背面。右手側のジョイスティックはAF枠移動とAF-ONボタンを兼ねる(カスタマイズ可能)。
動画撮影用にオーディオ端子を標準搭載したほか、USB Type-C端子からの充電・給電・テザー撮影に対応。
ダブルSDスロットは、どちらもUHS-IIに対応。
SDスロットの使い分け設定。
マルチファンクションハンドグリップ用の接点と、バッテリー。ライカSL/ライカQ2と共通。

メニュー構成もそれらの先行機種が基本になっていることがわかる。MENUボタンを押すとお気に入りメニュー(表示項目をカスタマイズ可能)が最初に開き、更にMENUボタンを押すと本来のメインメニューが1ページずつ表示されていく。

メニューが6ページもあるのはシンプル志向のライカにしては多いほうで、「プロ向け」を謳う働き者なAFミラーレスカメラゆえ。いっぽう日本のミラーレスカメラでは"ファミリー向け"を謳う機種にもメニューが17ページあって面食らった経験があるので、「ユーザーの利便性」とはすなわち選択肢を増やすことなのか、それとも厳選することなのか、それぞれに開発者の苦労が忍ばれる。

メニュー画面。
AFプロファイル。シーンに応じたAF特性を選べる。
各項目の効き具合も調節可能。
レンズプロファイルに「Mレンズ」「Rレンズ」が搭載。15〜800mmまでのRレンズをカバーしている。
こちらはMレンズ。広角トリ・エルマーの16mmからアポ・テリート135mmまでをカバー。所有レンズだけをプロファイル一覧に表示させるレンズリスト機能も備わった。
タッチ操作を想定した情報表示画面。
タッチやスワイプ操作でも撮影設定を変更できる。

ライカSLでは、筆者がメガネを掛けた状態でファインダーを覗くと、眼の位置がセンターからズレるごとに徐々にファインダー像が暗くなっていくが、ライカSL2にはそれが感じられない。パネルが液晶から有機ELに変わっただけでなく、光学系にも手が入っているのだろう。相変わらずカメラの格に見合った高品位な見え方だ。ライカSLは(その価格を受け入れられるかはさておき)「ミラーレスカメラで最高品質のファインダー」との呼び声が高かったが、ライカSL2もそのイメージを継承するに違いない。

もちろんライカSLがそうであったように、発売後のファームウェアアップデートによる継続的な機能向上や改善にも期待したい。ライカSLは2015年11月の発売以降、Ver.2.0(2016年4月)、Ver.3.0(2017年7月)とメジャーアップデートが定期的に行われてきた。ライカSL2についても、1年後、2年後に改めてその実力を再検証する必要が出てくるだろう。例えば今回試用したバージョン(ファームウェアVer.0.9D)には、連写合成で1億8,700万画素の画像を生成するマルチショット機能がまだ実装されていないようだ。

現時点で明らかになっていないライカSL2の細部などについては、ライカ本社の製品担当者へのインタビューなどを通じて後日お届けしたい。

本誌:鈴木誠