PROGRESSIVE PRO LENS − 写真家がプロレンズを選ぶ理由

地元の風景を丁寧に、絵画を描くように表現する…風景写真家・木村琢磨さんインタビュー

雨で水流の増した川をローアングルから撮影。飛沫を浴びながらの撮影だったがPROレンズの防滴性能のおかげで水滴の付着を気にすることなく撮影することができた。
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO / 8mm(16mm相当) / マニュアル露出(F8、1/25秒) / ISO 200

写真家がレンズに求めるものとは何か。一言でまとめると、それは表現力になる。カメラとレンズが出逢い、描写性能・ボケ味・収差などが組み合わさり生まれるものの一端、それが写真表現だ。言わずもがなだが、レンズのもたらす役割は大きい。

この連載「PROGRESSIVE PRO LENS」では、写真家それぞれの写真への向き合い方、考え方などをインタビュー。その中で、オリンパスPROレンズの使用感や表現力について聞いている。

今回は地元の隠れた絶景を追い続ける風景写真家・木村琢磨さんが登場。木村さんならではの特殊な視点を、M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PROはどう表現するのだろうか。(編集部)

木村琢磨
1984年生まれ。地元岡山のコマーシャルスタジオに所属。2018年よりフリーランスとして活動予定。ライフワークとして地元岡山を撮影し続けている。

木村琢磨さんの使用レンズ
M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO

写真を撮り始めたきっかけは?

デザインの専門学校でデザインの素材用に自分で写真を撮り始めたことが本格的な写真との出会いでした。

専門学校生の頃に写真家・岩合光昭さんの作品と出会ったことでデザインの一部としての写真ではなく写真そのものの魅力に引き込まれていきました。

F1.8まで絞りを開けて近接することでフィッシュアイレンズ特有のデフォルメ効果と広角レンズとは思えない被写界深度の浅さが融合した仕上がりとなった。
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II) / M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO / 8mm(16mm相当) / マニュアル露出(F1.8、1/2,000秒) / ISO 200

現在、どのような写真の仕事をされていますか。

地元岡山の広告写真スタジオのスタッフとして活動しています。

広告に使う写真であれば人物、建築、プロダクト、料理などお客様の要望に合わせて様々な被写体を撮影しています。

ライフワークとして地元岡山の景色を被写体とした作品を制作しています。

2018年より現在勤めている広告写真スタジオを退職し、フリーランスフォトグラファーとして活動します。

影響を受けた写真家、写真集、メディアは?

写真を本格的に撮るきっかけを与えてくれたのは岩合光昭さんですね。

数年前、自分の写真の方向性に悩んでいた時に「この人は自分の目指すべきフォトグラファーさんだ」と感じたのは伊藤徹也さんです。雑誌の表紙に掲載されていた作品に一目惚れしたことがきっかけですね。

写真だけでなく音楽や絵画からも多く影響を受けています。

音楽ではパット・メセニーやスティーヴ・ライヒの楽曲からインスピレーションを受けることが多いです。

絵画ではマグリットやダリ、モネ、スーラーからの影響が強いです。

前日の雨で肉眼で天の川が確認できるほど空気が澄んでいた。F1.8の明るさとE-M1 Mark IIの高感度耐性のおかげで赤道儀を使わず星を止められた。
OLYMUS OM-D E-M1 MarkII / M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO / 8mm(16mm相当) / マニュアル露出(F1.8、60秒) / ISO 1600

地元岡山での撮影にこだわるわけとは?

最初は県外の有名な観光地や絶景スポットなどに撮影に足を運んでいましたが、地元岡山県をPRする仕事を任されたときに「自分が住んでいる場所でもまだまだ知らない景色が多いんだな」と地元の魅力を再発見・再認識させられたことで地元岡山県を被写体に撮影をしていこうと決めました。

岡山県を被写体に県外の方へPRすることはもちろん、地元の方にも岡山県の素晴らしさを伝えることができればと思い撮り続けています。

足元に生えていた植物を真下から見上げての撮影。フィッシュアイの画角の広さを生かして周りの木々を集中線のように巻き込んで背景に配置した。
OLIMPUS OM-D E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO / 8mm(16mm相当) / マニュアル露出(F5.6、1/25秒) / ISO 200

木村さんにとっての風景写真とは?

僕にとって風景写真は絵画のようなものです。

見たままに写真に収めるスタイルではく、絵画を描くように写真という媒体を使って自分の世界を表現しているだけで、自分の表現方法が一番しっくりくるのが風景写真というジャンルなのかなと思っています。

同じ風景でもシャッターを切るときの気持ち次第で結果は変わるので、写真という言葉に囚われることなく心象風景として目の前の景色と向き合っています。

水平垂直を出してゆがみのない仕上がりに。太陽を直接画面に入れても派手なハレーションもなくクリアな結果を得られた。
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO / 8mmmm(16mm相当) / マニュアル露出(F5.6、1/4,000秒) / ISO 200

M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PROの画質・使い勝手は?

風景を撮るうえでもっと広がりを見せたいというシーンは多く、肉眼で見える以上の景色を一枚に収めてくれるのがこのレンズの一番の魅力です。

そこで重要になってくるのはディティールを再現するためのレンズの解像度です。広く写ったけれど精細さがなければ魅力が半減してしまいます。

M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PROは画面全体隅々までくっきりとそして鮮やかに描写してくれます。

肉眼で見る以上に良く写っているのではないだろうか? と思わされることも少なくありません。

自然風景を撮影していると、砂ぼこりであったり水辺や飛沫を浴びざるを得ないシーンともたびたび遭遇します。そんな悪環境をものともせず安心して撮影を続けさせてくれるのも、オリンパスのPROレンズならではです。

F1.8の明るさもフィッシュアイとしては珍しく、このスペックを生かして赤道儀を使うことなく星景写真を撮ることも容易です。F1.8の明るさとフィッシュアイの画角による相乗効果で、星空を丸ごと写し撮れます。

岡山県赤磐市の熊山にある小さなひまわり畑にて。夏本番、天の川とひまわりのコラボレーションをフィッシュアイの画角の広さとF1.8の明るさで赤道儀を使うことなく撮影することができた。
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO / 8mm(16mm相当) / マニュアル露出(F5.6、1/800秒、±0EV) / ISO 200

今後取り組みたいシリーズやテーマは?

自然風景の撮影は今後もライフワークとして続けていこうと思っています。

今もたまに作品として撮影することがあるのですが、風景写真の中に人と言ったような自分の特性を生かしての人物撮影など幅を広げていければと思っています。

ドローンを使っての空撮やBiRodという7.5mの一脚を使っての撮影も多く、他人とは違ったアングルの追求なども今後もしていきたいと思っています。

岡山県赤磐市の高倉山の山頂にて撮影。水平垂直を出して撮影することでFisheye特有の歪みを最小限に抑え、まるで超広角レンズで撮影したような写し方をした。
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO / 8mm(16mm相当) / マニュアル露出(F8.0、1/80秒) / ISO 200

写真展の開催や写真集の発売など、告知があればぜひ!

2017年12月5日より表参道のピクトリコギャラリーにて2度目の東京個展を開催します。

地元岡山の景色を被写体にした作品群を展示し、ピクトリコのペーパーを作品ごとに使い分けておりプリントならではの表現を楽しんでいただければと思っています。

木村琢磨写真展「IMAGINARY DAY」

期間:2017年12月5日(火)〜12月23日(土)
時間:10時〜19時
定休日:日曜日・月曜日
場所:ピクトリコ ショップ&ギャラリー表参道
イベント:デジタルカメラマガジン編集長・福島晃との対談(12月17日13時〜)
※イベント開催日は日曜日ですが特別にオープンします。

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デジタルカメラマガジン12月号で連動企画!

発売中のデジタルカメラマガジン2017年12月号では、木村さんがM.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PROの使いこなし術を解説しています。合わせてご覧ください。(編集部)

デジカメ Watch編集部