新製品レビュー
“高機能”レンズ一体型カメラ特集:富士フイルム X100VI
ボディ内手ブレ補正で実用性が高まった、人気シリーズの最新モデル
2026年1月2日 12:00
2011年3月発売の初代「X100」から続く人気シリーズの最新モデルが、富士フイルムの「X100VI」だ。発売は2024年3月。
ダイヤル操作を基調としたクラシカルなデザインや、EVFと光学式ファインダーを切り替えられる「ハイブリッドビューファインダー」といったシリーズ共通の特徴を継承。そしてついにボディ内手ブレ補正機構を手に入れたこともあり、断続的な供給不足が続くほどの人気を博している。
外観・仕様・装備
外形寸法は128.0×74.8×55.3mm、質量は約521g(カード、バッテリー含む)となっている。APS-Cサイズ相当のイメージセンサーを採用しているレンズ一体型カメラとしては、小型・軽量と言いがたいものがある。ただし本モデルはクラシカルで重厚なデザインや、ハイブリッドビューファインダーを楽しむためのカメラなので、それは問題にならないだろう。むしろ確かな存在感と操作感を味わうことができ、カメラで撮影する心地よさに満たされる印象だった。
固定搭載のレンズは焦点距離23mm(35mm判換算で約35mm相当)、開放絞り値F2のフジノン単焦点レンズ。前モデルから受け継がれているものだが、撮像センサーが前モデルの約2,610万画素から約4,020万画素へと高画素化しても通用しているのだから、元来素性の良いレンズなのだろう。加えて本機には、最大約6段分のボディ内5軸手ブレ補正機構が組み込まれている。
X100シリーズのアイデンティティともいえる「ハイブリッドビューファインダー」は、OVF(光学式ビューファインダー)とEVF(電子式ビューファインダー)を切り替えて使えるというものだ。
OVFは視野率約95%、倍率約0.52倍という仕様。決して高くはない数値だが、自然な見え具合とフレームの外まで確認できる余裕は、やはり光学式でしか味わうことができない。現代では貴重な存在なのだ。
一方EVFは、視野率約100%、倍率約0.66倍、解像度約369万ドット。解像度も高く視差がないことから、実際の撮影ではEVFを使う場面が多くなると思う。しかし、「OVFも使える」という気持ちの余裕こそが、本モデルを使う上での大きな価値といえる。
3型約162万ドットの背面液晶モニターは上下チルト式。最高レベルの性能ではないものの、精細感は十分に高く、ピントや構図の確認もしやすい。実用面で不満を感じる場面はなかった。
作例
まだ残っていた紅葉を撮影してみたが、ピント面の解像感は素晴らしく高く、画面全体での描写性能の良さがよく表れた。質感表現も良好で、葉や枝のリアリティが、生々しいまでに忠実に再現されている。約4,020万画素へと高画素化したことは、最新の画像処理エンジン「X-Processor 5」と相まって、搭載レンズの性能をしっかりと引き出している。
初代「X100」から受け継がれているフィルムシミュレーションも、Xシリーズ最多の全20種類が利用できる。映画用フィルムをイメージした「ETERNA/シネマ」は、フラットな階調と抑えられた彩度が、現実感を静かに主張しているように感じられる。ハイコントラストで高彩度な仕上げに慣れた目には、むしろ新鮮な光景として映るのではないだろうか。
被写体認識によりネコの瞳に自動でピントを合わせてくれるのも、現代のレンズ一体型カメラの良い点だ。ピントの確認に気を取られることなく、構図や露出に専念できるのはありがたい。前モデル「X100V」では人物以外の被写体検出には対応していなかった。人によっては品薄ながら本モデルを選ぶ理由の1つになるだろう。
最短撮影距離はレンズ先端から約10cm。見た目に反してかなり寄れる部類で、テーブルフォトなど小物を被写体にした撮影では大いに役立ってくれる。ただし、この距離域ではOVFで正確な構図を作るのは難しく、EVFや背面液晶モニターの使用が前提となる。その意味でも、「ハイブリッドビューファインダーで良かった」と実感できる場面のひとつだ。
まとめ
ハイブリッドビューファインダーやクラシカルなデザインといったシリーズ共通の個性を受け継ぎつつ、要望の多かったボディ内手ブレ補正機構を内蔵。さらに約4,020万画素の高画素センサーの採用は、描写性能や撮影の安定性に確実な効果をもたらしており、実写を通してもその違いを実感できた。
往年のスタイルを懐かしむだけでは、古めかしいだけの、ただ使いにくいカメラになってしまう。現代的なデジタルカメラとしての使いやすさや完成度をきちんと高めている点に、現在のレンズ一体型カメラとしての価値を見いだすことができた。















