新製品レビュー
“高機能”レンズ一体型カメラ特集:ライカQ3 43
撮影の本質を思い起こさせる、シンプルかつ特別な存在
2026年1月4日 12:00
「ライカQ3 43」は、「ライカQ3」のバリエーションモデルとして2024年9月に発売。レンズ一体型カメラでは希少な35mm判フルサイズの撮像センサーを搭載する。
名称の「43」は、焦点距離43mmのレンズを固定搭載していることに由来する。「ライカQ3」(2023年6月発売)が焦点距離28mmの広角レンズを搭載したのに対し、標準域の焦点距離で撮影したいという要望に応えたのが「ライカQ3 43」だ。
外観・仕様・装備
外形寸法は130×80.3×97.6mm、質量は約793g(バッテリー含む)。単焦点レンズを搭載したレンズ一体型カメラとしては比較的重量級の存在になるが、レンズ交換式のM型ライカを比較の前提にすれば、それほど気にならないだろう。
また「ライカQ3」がブラック系の貼り革を採用しているのに対し、本モデルではグレー系が用いられている。一目で違いが分かる点も特徴的だ。
固定搭載のレンズは、焦点距離43mm、開放絞り値F2の「ライカ アポ・ズミクロン f2/43mm ASPH.」。本モデル専用に設計されたレンズだ。
有効6,030万画素のフルサイズCMOSセンサーと、最新の画像処理エンジン「マエストロIVプロセッサー」を組み合わせている。
背面の操作系は「ライカQ3」同様にシンプルだが、配置は適切でボタンも大きく分かりやすい。使いにくさを感じることはなかった。
液晶モニターは上下チルト式の可動タイプを採用し、約184万3,200ドットと高精細で、構図やピントの確認もしやすい。タッチ操作に対応している点も実用的だ。
EVF(電子ビューファインダー)は、倍率0.79倍・約576万ドット。視認性の良さは今回試したレンズ一体型カメラの中でもトップクラスで、マクロ撮影やMF時に画面を拡大しても像が荒れることはなく、ピントの山を容易に確認できた。ファインダー性能にこだわりを感じさせる、ライカらしい優れたEVFといえるだろう。
マクロ切り換え機構を備えており、通常は「60cm~無限遠」としている撮影距離を、「26.5cm~60cm」へと切り換えることができる。この切り換え操作の感触がまた秀逸で、操作するリングがなめらかに心地よく動き出し、コクッとはまる感触とともに、距離指標が丸ごと入れ替わるという凝ったつくりだ。こうしたギミックのひとつにも手を抜かない点に、ライカらしさを感じさせられる。
作例
本モデル専用に設計された「ライカ アポ・ズミクロン f2/43mm ASPH.」の描写性能は出色で、有効6,030万画素という高画素センサーのポテンシャルを、余すところなく活かしている。またISO 5000という高感度での撮影にもかかわらず、ディテールの再現性も良好だ。高感度域におけるノイズリダクション性能の高さにも注目したい。
個人的にも43mmは好きな焦点距離だ。35mmではやや広く、50mmでは少し狭く感じる場面において、自分の視角になじむ、ほどよい画角を提供してくれる。広角系の「ライカQ3」に対して、本モデルにこの焦点距離が選ばれたことを歓迎するユーザーは多いのではないだろうか。
本格的なモノクロ撮影を楽しめるのも、本モデルの魅力のひとつだ。フィルムモードを「Monochrome High Contrast」に設定し、猫を撮影してみた。被写体検出機能として「人・動物認識」も用意されている。作例のような状況であれば、カメラが自動でピントを合わせてくれるため、構図や露出に集中できる点は心強い。
高画素であることを活用したクロップ機能が用意されており、元の43mmから、75mm相当、90mm相当、120mm相当、150mm相当へと段階的に変更できる。作例は、レンズをマクロモードに設定し、120mm相当にして撮影したもの。ここまでクロップしても約774万画素を確保できており、実用性は十分に高いと感じた。
ボケの美しさも魅力のひとつだ。クセのない柔らかな描写で、主題を自然に引き立ててくれる点は印象的である。レンズ交換のできないカメラである以上、この描写特性は重要だろう。ライカが誇るアポレンズだけあって、色収差はまったくといってよいほど見られず、その完成度の高さを実感させられた。
まとめ
あのライカのレンズ一体型デジタルカメラということで、使い始めの頃は触れるだけである種の緊張感が走った。しかしすぐに体になじみ、自然と撮影を楽しめるようになったのは、不思議な体験だった。
それは、本モデルが現代のデジタルカメラとしての実用性を高めていることによるものだろう。ライカならではの品質の高さはもちろんだが、本モデル専用設計の43mmレンズと高画素センサーの組み合わせは描写面での説得力が高く、持つ喜びだけでなく、撮る楽しみも同時に味わわせてくれる。
飛び道具のような高機能は備えていないが、写真を撮る道具としての本質を突き詰めた結果が、ライカQシリーズの存在だとも感じる。



















