新製品レビュー

DJI Osmo Action 5 Pro

抜群の低照度性能に階調たっぷりの映像が魅力

ライバルはプロ仕様のミラーレスカメラ。

そういい切れるくらいに高品位な映像が撮れるアクションカメラが「Osmo Action 5 Pro」。

セールスポイントはたくさんあるけれど、デジカメ Watch読者が気になりそうなダイナミックレンジと低照度性能を重点的にチェックしてみた。

格上ともいえるミラーレスカメラの映像と比較しているので、ご自身の目で“使える映像”かどうか確認してもらいたい。

ブレ補正に次ぐ新機軸は?

アクションカメラの進化はブレ補正の進化といってよいだろう。

アクションシーンを撮影したり、アクションしながら撮影することが目的となるカメラなので、普通のカメラと異なり「画質<ブレ防止」となるためだ。いくら高画質でも、ブレブレの映像では意味がないということ。

そのような理由から、世代交代するたびにブレのない安定した映像が撮れるようになり、今では傾きだけでなく回転も補正して、常に水平で安定した映像が撮れるようになった。

とくに、アクションカメラの御三家といえる「Osmo Action」「GoPro HERO」「Insta360 Ace」シリーズなら、どれを選んでもブレ補正に不満は出ないだろう。それくらい、ブレ補正の性能は各製品ともに伯仲している。

いい換えるなら、ブレ補正は進化の余地がなくなり、差別化が難しくなったわけだ。

そこで各社ともに新機軸を打ち出すのだが、この辺りは3者3様で面白い。

個人的な印象として、明暗差の克服に取り組む「Osmo Action」、拡張性を重視する「GoPro」、映像美を追求する「Insta360 Ace」、という感じ。

今回レビューする「Osmo Action」の最新機種「Osmo Action」 5 Pro」(以下、Action 5)は階調再現の高さをアピールしていて、アクションカメラとしては珍しくダイナミックレンジを「13.5ストップ」と数値化している。

ミラーレスカメラで比較するなら、ムービーカメラとして著名なパナソニック「LUMIX GH7」が「13+ストップ」なので、スペック上は同等の明暗差が記録できるカメラといえる。

本体形状はAction 4を踏襲。底面にはマグネット式のクイックリリースプレートが付いていて、簡単に脱着することができる。カメラ保護シートとガラスレンズカバーなどの一部を除き、アクセサリー系はAction 4と共通して使用可能

画質を追求したアップデート

Action 5の撮像素子のサイズは、前モデルの「Osmo Action 4」と変わらず「1/1.3インチ」。ただしセンサーは一新されていて、ダイナミックレンジが広がり、かつ、低照度性能も高くなっている。

最大フレームレートは4K/120fpsでこれもAction 4と同じだが、新たに4:3のアスペクト比に対応したため、16:9で仕上げる場合は上下方向にクロップして構図を整える余裕が得られるようになった。

そのほかの進化点は以下の表のとおり。取材撮影が目当てなら、2台の「DJI Mic 2」と直接接続できる点も大きな進化だろう。

Osmo Action Pro 5とOsmo Action 4の比較
Osmo Action 5 ProOsmo Action 4
イメージセンサー次世代1/1.3インチCMOS1/1.3インチCMOS
絞りF 2.8F 2.8
FOV155°155°
ISO感度100~25600
100~51200(スーパー夜間)
100~12800
ダイナミックレンジ最大13.5ストップ非公表
色温度センサーありあり
画面デュアルOLED高輝度タッチ画面デュアルLCDタッチ画面
静止画最大解像度40MP9.98MP
スローモーション1080p/240fps(最大960fpsでインテリジェント生成)1080p/240fps
駆動時間240分160分
防水性能20m(防水ケースなし)18m(防水ケースなし)
Wi-FiWi-Fi 6.0、最大80MB/秒Wi-Fi 5.0、最大30MB/秒
内蔵圧力計あり。水深と高度を表示。入水、出水時に自動で録画を開始/停止。なし
音声録音48kHz 16ビット、AAC、デュアルDJI Mic 2直接接続(オリジナル高品質オーディオ)48kHz 16ビット、AAC、シングルDJI Mic 2直接接続(オリジナル高品質オーディオ)
内蔵ストレージ47GBなし
ほかスーパーナイトモード、被写体センタートラッキング、1TBのmicroSDに対応

ちなみに、47GBの内部ストレージを搭載した点は秀逸なアップデートだ。

この容量は決しておまけ的なサイズではなく、4K/30fpsで約1時間48分(カメラ内残量表示)の撮影が行える十分な大きさといえる。

これなら、メモリーカードを忘れたりカードエラーが生じた場合でも、内蔵ストレージだけで撮影が敢行できるだろう。

また、過酷な環境下でメモリーカードを入れ替えるという危険を冒さなくて済む点も、大容量内部ストレージのメリットだ。

内部ストレージの容量が大きいので、ダブルスロット的に撮影できる。ただし、ミラーレスカメラのようにデータの振り分けはできず、どちらを使うか選択することになる

13.5ストップのダイナミックレンジ

Action 5は画質(ダイナミックレンジと低照度性能)の改善にかなりの力を入れている。

前機種のAction 4もアクションカメラの中では優れた画質を有していたが、それを上回るうえ、製品のWebサイトで「プロ仕様のカメラに匹敵する」とアピールするほど自信があるようだ。

「さすがにそこまでは……」とは思うものの、メーカーがいうのだから気兼ねなく比較をしてみた。

比較対象のカメラは、パナソニック「LUMIX GH6」(以下、GH6)。ダイナミックレンジが「13+」(ダイナミックレンジブースト時)とAction 5のカタログスペックに近いので、無謀な相手ではないはず。現行モデル「LUMIX GH7」の前機種にあたる。

Action 5の露出は初期設定の状態(ISO 100~25600オート)。

GH6はダイナミックレンジブーストをオン(ISO 800~12800オート)にして、色作り設定は「スタンダード」、撮影モードを「P」設定に。本来GH6はシーンに合わせて撮影設定をすることで本領を発揮するカメラなのだが、今回は初心者がすぐに使える基本的な設定とした。

使用レンズは手ブレ補正機能未搭載のOM SYSTEM「M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO」で、カメラ本体でブレ補正を行っている。したがって、ブレ補正に関しては少々不利な状態だ。そもそも、歩き撮りにはジンバルを使うタイプのカメラなわけだし。

また、GH6よりもAction 5の方が画角が広いため、Action 5はGH6の最広角に近い画角になるように、ブレ補正を「RockSteady」、画角を「標準(歪み補正)」を選択(35mm判換算15mm)。GH6は最広角の35mm判換算14mmで撮影。

記録形式は両者とも10ビット。ただしLog形式は使わず、カメラ任せの撮って出しの色を比較している。

【ダイナミックレンジを比較】
Action 5とGH6を同じプレートに乗せて手に持ち、同時に撮影した映像を比較。Action 5はシャドウもハイライトもつぶれにくく、多くのシーンで濃淡が描写されている。その代わり、場面によってはノッペリとした描写が出やすい。対してGH6は、暗い部分は暗く/明るい部分は明るく記録することで、現場の雰囲気や空気感が出ている映像。写真家がよく目にする映りだ

逆光のシーンも程よく調整されている。

ライバル機がHDR調になりやすいのに対し、Action 5は逆光の雰囲気を活かしつつハイライトやシャドウの階調感を出しているので、不自然さを感じにくい。写真家が逆光写真を上手に補正したような色調だ。

この色調をベースに、シャドウを詰めればシルエット調の映像が作れるし、シャドウを明るくすればHDR調の仕上げにもできる。

撮って出しとして使うだけでなく、色調補正ベースでも扱いやすい映像といえるだろう。

【逆光テスト】
「普通のカメラ」が苦手とする完全な逆光となるシーンでも、不自然さを出さずに上手く色調を引き出している。撮って出しの映像として使うには最適。この色調が気に入らないのなら後から色調を補正するか、Log撮影して自分で色を作ればよい

ダイナミックレンジに関しては、Action 5は多くの場面でも黒つぶれし難いし、白とびし難いカメラという印象だ。

たとえば、暗い中から明るい外へとカメラを振っても、全体の露出を大きく変えることなく、シャドウやハイライトの色調をさりげなく調整してつじつまを合わせている。

とくにハイエストライト付近の色再現性が高いため、ダイナミックレンジの広さよりも階調感の高さを感じる映像といえるだろう。

この手のシーンはミラーレスカメラで撮影すると補正が面倒なのだが、Action 5なら「程よく補正した状態」で撮影してくれるので、撮って出しでも補正ベースとしても“使える”映像が簡単に入手できる。

【強い明暗差の処理】
暗いシーンから明るいシーンに出ても、映像全体の露出変化が抑えられていて明暗が安定している。最初のシーンでは、街灯が灯る暗い場所から明るい空にカメラを振り、あえて露出が暴れるような撮り方をしているのだが、頑張って明暗を維持しているのは好印象。それだけでなく、白とびしていた空の階調を“スッ”と描写するなど、部分的な明暗のコントロールがとても上手い

磨きのかかった低照度性能

まずは、初期設定の動画モードで撮影した夜のシーンを見てほしい。

Action 5は低照度撮影に適した「スーパーナイト」モードも搭載されているが、それを使わず、あえて初期設定のまま撮影してみた。

ちなみに、初期状態のISO感度は100~25600のオート設定になっている。

【夜間の撮影】
Action 5で撮って出しの夜映像。カメラを延長ロッド(自撮り棒)に乗せて手持ちで撮影。艶やかで立体感のある描写がとても美しい。薄闇に立つ人物の解像感も出ているし、車の照明で移動する影のわずかな濃淡も描かれている。夜空が「黒」ではなく微妙な濃淡で描写されていることもあり、質感がとても高く感じる映像だ

これは凄い!

アクションカメラとは思えない映りで、通常の動画モードでも十分過ぎる低照度性能だ。

中間調から急激に暗くなるため明るさが足りなく見えてしまうが、光の届く範囲はメリハリがあり解像感も高い。その画作りが実に「夜」らしい雰囲気を醸し出している。

もっとも驚くのはまだ早くて、この映像を少し補正することで、ミラーレスカメラで撮影したような階調感の高い映像に化ける。一見すると黒くつぶれている部分でも濃淡が記録されているので、補正に強いというわけだ。

事実、ダイナミックレンジで画像比較をしたGH6と同じシーンを撮り比べてみると、補正後の映像は互角といえるほどのクオリティーに見えるはず。

【夜間撮影を補正】
前半はAction 5の未補正映像、後半は色調補正したAction 5の映像とGH6の未補正を比較したもの。Action 5の映像は、ひと手間加えるだけでミラーレスカメラの映像に匹敵する潜在能力を持っている。ちなみに、補正内容はトーンカーブで中間調を持ち上げただけの簡単な調整

ちなみに、GH6はカメラ+レンズで約45万円。対するAction 5は5万5000円。この価格差を考慮すると、Action 5のコストパフォーマンスは驚異的。

もちろん、細部を検証すると画質に差はあるが、写真と異なって動画は次々と絵柄が変化していくため些細な粗は目立ちにくい。Action 5の映像は、それを上手く活かしてハイクオリティーに見せているという印象だ。

また、前述のとおりAction 5には低照度撮影に特化した「スーパーナイト」モードが搭載されている。

このモードにするとISO感度の上限が51200まで拡張され、さらにAIによるノイズ低減アルゴリズムにより鮮明でクリアな映像が映せるようになる。

とはいうものの、ISO 51200ともなるとハイスペックなミラーレスカメラでも画質に不安を覚えるレベル。写真家なら躊躇する感度といえるだろう。

そこで、スーパーナイトモードを含めてISO感度をごとに撮り比べたてみた。

画質の傾向としては、感度を上げると暗い部分が見えてくる代わりに、細部はとろけるように曖昧になっていく。これが、ISO 25600までの変化の様子だ。

スーパーナイトモードにすると、この変化の流れから一転。ISO 25600の画質を維持して明るさやシャープネスがアップしたように見える。

全体を眺める限り輝度ノイズや色ノイズも抑え込まれていて、ISO 25600では埋もれ気味だった薄くて細いラインも復元されている。この辺りはAI処理による効果なのだろう。

【スーパーナイトモード】
前半はISO1600からスーパーナイトモード(ISO51200)までを感度順に並べた映像。後半は、前半の映像を部分的に切り出したもの。拡大映像を見ると分かるが、スーパーナイトモードになるとこれまでの流れとは逆転し、細部の描写がアップしているように見える

悩ましいのは、Action 5は通常の動画モードでも十分に感じる点だ。わざわざスーパーナイトモードに設定を変更しなくてもよいのでは、と思えるほどに通常の動画モードの性能がよい。

また、スーパーナイトモードは画角が少し狭くなる。さらに、シャープネス効果を適用したようにエッジが太く見える場合もあるので、繊細な描写が必要なシーンはその点を考慮して選択しよう。

ISO感度別の画質を検証した結果、撮って出しの映像ならISO 25600、色調補正を前提とするならISO 6400かISO 12800を上限としたオート設定が運用しやすく感じた。

ISO 6400だと暗い映りになることもあるが、Action 5はダイナミックレンジが広いため黒つぶれに見える個所でも階調が記録されている場合が多い。それを補正で引き出せば、ISO 25600で明るく写すよりも繊細な描写が得やすくなる。

【補正後の高感度画質】
ISO 6400の映像とISO 25600に合わせて明るさを補正した映像の比較。ISO 6400を補正した映像はISO 25600よりも繊細な描写が得られている。暗くて見えない部分も階調が記録されているので、さらに明るく補正して昼のように見せることもできるなど潜在能力は高い(映像25秒~)

また、低照度のシーンで不満を感じたのはブレ補正の精度だ。歩きながら撮影すると、“ガクン”という感じで映像に滲みが出やすい。

立ち止まり、左右や上下にゆっくりとカメラを振る程度なら映像の乱れは感じないのだが、底付き感のある振動は吸収し切れないようだ。
昼間の撮影なら走ってもブレを感じない映像が撮れるだけに、その差に不満を抱いてしまう結果となった。

【低照度での歩行撮影】
低照度のシーンを手持ちで歩きながら撮影。ブレは気にせずに普通に歩いている。ブレ補正による映像の滲みはだいぶ抑えられているが、シーンが暗くなるにつれ目立ってしまう

もっとも、低照度時のブレ補正に関してはライバル機も抑え切れていないので、Action 5の品質が低いというわけではない。それだけ、暗いシーンにおける電子的なブレ補正は難しいということなのだろう。

夜間に歩きながら撮影するときは、この辺りに注意して足をゆっくりと踏み出すか、カメラを持つ腕で上下動を吸収するように意識したい。

長時間撮影に向いたアクションカメラ

アクションカメラをレビューするときは、同じような行動を繰り返している。昼間や夕方、夜間などの時間帯を狙い、1回当たり6時間程度の撮影を数日にわたって行うというパターンだ。

これによりカメラごとの個性が見えてくるし、なによりバッテリーの持ちを体感的に把握できるようになる。

たいていの機種でバッテリー切れが生じるので、予備バッテリーはもちろん、緊急用のモバイルバッテリーも用意して撮影に望んでいるのだが……。

ところが、Action 5の撮影ではバッテリーを交換した記憶がない。

もちろん6時間ずっと動画を撮影しているわけではないが、設定や映像の確認も頻繁に行っているので、駆動時間は結構長いはず。

にもかかわらず、1つのバッテリーで撮影を終えた点は驚きだ。Action 4に比べて駆動時間が50%長くなったとアピールするだけのことはある。

撮影時間に関しては、ほかにも「止まらない」という点が印象に残っている。

炎天下の屋外で、4K 30fpsで長時間撮影していても熱停止することはなかった。

試しに満充電のバッテリーで連続撮影時間を測定してみたところ、4K 30fpsの設定でバッテリーが空になるまで撮影することができた。そのほかの設定による撮影時間は以下の表のとおり。

録画モード別の連続撮影時間比較
4K/30fps4K/60fps4K/120fps1080P/240fps
記録時間2時間29分16秒48分34秒34分43秒44分18秒
バッテリー残量0%57%62%59%

以前から「Osmo Action」シリーズは熱停止しにくいカメラだったが、Action 5になってその性能がアップしたという感じだ。

ちなみに長時間テスト撮影の環境はというと、約31℃の室内で撮影ボックスに入れて無風状態にし、熱のこもりやすい状況にしている。

屋外や歩きながら撮影するシーンでは本体に風が当たって冷えやすいので、より長い時間の撮影が期待できるだろう。

長時間撮影のテスト環境。撮影時はすべての面を塞ぎ、密閉された空間にしている。熱が蓄積され続ける不利な環境にもかかわらず、4K/30fpsでバッテリーが空になるまで撮影できる耐熱性脳は素晴らしい

ブレ補正はどれを選べばよいのか?

ほかにもAction 5で気になった点を簡単に紹介しておこう。

まずは、よかったというか、よ過ぎた機能が高輝度OLEDの背面モニター。

コントラストも発色も抜群で、ファインダーとしても再生画面としても申し分のない美しさだ。

しかしながらこの美しさが災いし、実データ以上によく見えてしまう。つまり、パソコンのモニターで見る映像とのギャップが大きいということ。パソコンのモニターにもお金を掛けたくなってしまう。

そして、Log撮影時にリアルタイムLUTが適用できるようになった点。

前もって仕上がりの様子を見ながら撮影できるし、アプリを使えばワンタップで「撮影時に見ていた色」に復元できるのでとても便利。

新機能ではないが、アクションカメラの設定で悩むのが映像ブレ補正の種類だろう。

Action 5は「RockSteady」「RockSteady+」「HorizonBalancing」「HorizonSteady」が用意されていて、設定によって選べる解像度やフレームレート、画角が異なってくる。

基本的には、補正が強くなるほど解像度もフレームレートも画角も制限されると考えればOK。前述の4つの設定では、後者になるほど補正(制限)が強くなる。

常用に適した設定として「RockSteady」と「RockSteady+」があるが、問題はどちらを選べばよいのかという点。

これに関して筆者はずっと迷っていて、“念のため”と考えて画角は狭くなるけれど強い補正(安定)が得られる「RockSteady+」を選ぶことが多かった。

でも、これはアクションカメラの中でも広い画角を有するAction 5にとって、もったいないことに思えてしまう。

そこで、2台のAction 5を使い「RockSteady」と「RockSteady+」の差を比較検証してみた。その結果が下の映像だ。

【ブレ補正モードの比較】
前半は「RockSteady」と「RockSteady+」、後半は「RockSteady」と「HorizonBalancing」の比較。画角は選択できる最広角の設定。実際に比較してみると、「RockSteady」で十分に思えてくる

「RockSteady+」は「RockSteady」よりわずかに映像が安定して見えるが、そのわずかな差を求めるよりは、「超広角」の画角が選択できる「RockSteady」を使うほうがAction 5らしい映像が撮れるだろう。

映像を安定させたいのなら、「RockSteady+」より強い補正で水平が維持される「HorizonBalancing」がいい。走っても揺れない映像を撮ることができる。
以上の検証を踏まえ、筆者はこれから「RockSteady」を常用することにした。

Action 3でも4でもなくAction 5一択

Action 5は特筆すべきポイントが多いので、写真家が気になるだろうポイントを中心に紹介してみた。

レビューというよりもテスト撮影っぽくなってしまったが、いろいろと比較したくなるくらいにAction 5が気に入ったということだ。

とくに画質に関しては、Action 4が登場したとき以上の驚きを感じている。

いつもなら、Action 4や3も併売されているので「コスパのよいそちらもおススメ」と紹介するところだが、Action 5に関してはこれ一択!

普段からミラーレスカメラで撮影している写真家ならなおさらで、Action 5を選ぶことで「納得できる画質」の「超広角に強い動画環境」が得られる。

Action 5の画角は最大約9mm(35mm換算)。これは、交換レンズでは得難い超広角域だ。それが5万5,000円で手に入るのだから、レンズ1本をAction 5で代用するメリットは大きいはず。

また、Action 5は目的別にたくさんのセットが用意されている点も魅力といえる。

今回のレビューは汎用的な「Osmo Action 5 Proアドベンチャーコンボ」を使用しているが、ほかにも、オートバイ、ダイビング、ロードバイク、サーファー向けのアクセサリーを同梱したセットも用意されている。趣味に合わせて選んでもらいたい。

アドベンチャーコンボのセット内容。本体、バッテリー×3、保護フレーム、接着式カーブベース、1.5m延長ロッド、多機能バッテリーケース2が含まれた、長時間撮影におススメのセット。3つのバッテリーを同時に充電できるケースが便利で、できればこのセットをベースにして必要なアクセサリーを選びたい

それと、今回のレビューでは、別途用意されている「ロードバイクアクセサリーキット」も使用してみた。ミニハンドルバーマウント(94g)、バイクシートレールマウント(47g)、リストストラップ(56.7g)の3つのマウントが含まれていて、サイクリング中に多彩なアングルで撮影できるキットだ。

各マウントはマグネット式のクイックリリースになっているので、Action 5の脱着も簡単。信号待ちの合間に、後ろから前という感じにカメラ位置を素早く変更できる。

「ロードバイクアクセサリーキット」以外にもたくさんのキットや単体パーツが用意されているので、Action 5を単体で購入した後に必要なパーツを揃えるのもよいだろう。

【ロードバイクキット使用時の映像】
前方を映すミニハンドルバーマウントを下ハンドルの先端、後方はシートレールにバイクシートレールマウント取り付けて撮影した映像。自転車で後方を撮影する方法は意外と悩むので、スマートに装着できるシートレールマウントは重宝するパーツだ

最後に、今回はアクションカメラのレビューとしては異例の「ミラーレスカメラと撮り比べ」をしてみたのだが、実感したのは「Action 5はラク」なこと。

ミラーレスカメラで撮影設定をして、ブレに気を付けて慎重に撮影して、家に帰ったら色調補正して、という一連の作業が、撮影ボタンを押すだけで完了する。昼夜逆光晴れ雨雪徒歩ランニング乗り物などあらゆるシーンにおいて、ボタンを押すだけでいい。

しかも、撮って出しの色調は写真家好みに寄っているし、ミラーレスカメラとの画質の差も感じにくいので、かなりの好印象だ。

ミラーレスカメラユーザーで動画環境の充実を考えているのなら、サブ機としてAction 5を導入するのもアリだと思う。

桐生彩希