新製品レビュー

LEITZ PHONE 3

1型センサー搭載のライカ監修スマートフォン

ソフトバンクから「LEITZ PHONE 3」が登場した。ベースはAndroid機のシャープ製端末「AQUOS R8 pro」だ。1型イメージセンサーと「SUMMICRON 1:1.9/19 ASPH.」を搭載しているのは先代モデルと同様である。本モデルはライカの世界観を味わえる撮影モード「LEITZ LOOKS」が拡充されたのが大きなトピックとなっている。

携帯電話としての詳細やスペックは僚誌「ケータイ Watch」の該当記事を参照して欲しい。

大型センサーと銘レンズがコラボレーション

「LEITZ PHONE 3」の魅力の1つは、1型という高級コンパクトデジタルカメラに匹敵するセンサーサイズだ。多眼カメラ化がトレンドのハイエンドスマートフォンとは対照的である。

有効画素数は約4,720万。4つの画素を1つとして処理するピクセルビニング技術を採用しているため、記録画素数は1,180万画素となる(フル画素での記録も可能)。

レンズはライカ監修の「SUMMICRON 1:1.9/19 ASPH.」というシングル仕様で35mm判換算19mm相当の画角となる。M型ライカのブライトフレームを模したファインダー表示で撮影を楽しむことが可能となっている。

0.7x(19mm相当)
1x(28mm相当)
2x(50mm相当)

可変絞りを再現する「LEITZ LOOKS」

「LEITZ PHONE 3」ではライカの世界観を堪能できるモード「LEITZ LOOKS」を拡充。「SUMMILUX 28mm」「SUMMILUX 35mm」「NOCTILUX 50mm」というライカ代表的レンズの写りをイメージした描写と、フィルター効果「ORIGINAL」「MONOCHROME」「CINEMA CLASSIC」「CINEMA CONTEMPORARY」に新しく「ENHANCED」「VIVID」が追加された。

ORIGINAL
MONOCHROME
CINEMA CLASSIC。
CINEMA CONTEMPORARY
ENHANCED
VIVID

さらに絞りの効果を模した「可変絞り」機能が搭載されている。F1.2(NOCTILUX 50mm)またはF1.4からF8のF値をシミュレーション可能で、ボケ、周辺光量などの調節も可能である。

「RAW」撮影で自分なりの表現も

「LEITZ LOOKS」だけでなくマニュアル撮影のRAWモードで自分の作風を出すこともできる。「マニュアル写真」にモードを切り替えると「ISO」「フォーカス」「シャッタースピード」「露出補正」「ホワイトバランス」の設定ができるようになる。

マニュアル写真モード
撮影後は好みのアプリでRAW現像可能だ。今回はGoogleの「Snapseed」(無料)をインストールして調整を試みた
プルダウンとホリゾンタルなメニューを指先で選択して、きめ細やかな画像処理ができる
スマートフォンアプリ「Snapseed」でRAWデータを表示。豊富なメニューで現像できた
RAW撮影したDNGデータをそのままJPEGに変換
各種調整を加えて現像処理したカット

作例

「LEITZ PHONE 3」は電源ボタンのダブルクリックでカメラ機能が立ち上がるので、スナップ撮影もスピーディーかつ快適に行えた。RAW撮影もいいが、やはりライカの世界観を出した「LEITZ LOOKS」での撮影が楽しい。

「Leitz」ロゴと撮影情報を写し込むこともできるので、作品の鑑賞者に「ライカを使っています」とアピールすることもできる。今回はこの機能を使って撮影している。


LEITZ LOOKSの「MONOCHROME」で。深みのあるシャドウと、SUMMICRON 1:1.9/19 ASPH.による金網のボケ感がいい雰囲気だ。

LEITZ PHONE 3/28mm相当/プログラムオート(1/5,000秒、F1.9、±0.0EV)/ISO 50

「NOCTILUX 50mm」の可変絞りでF1.2にして撮影した。境界判定がうまくいかずボケがおかしくなった。ファーストノクチの写りになっているのだろうか? なお撮影情報は「SUMMICRON 1:1.9/19 ASPH.」になる。

LEITZ PHONE 3/19mm相当/プログラムオート(1/1,400秒、F1.9、±0.0EV)/ISO 50

ヌケ感のある青空と精細な木々の描写がいい。1型のセンサーは懐深い写りが魅力である。

LEITZ PHONE 3/28mm相当/プログラムオート(1/2,300秒、F1.9、±0.0EV)/ISO 50

このような単純な被写体はボケをうまく表現できた。色合いもどことなくコッテリしていてライカっぽく感じる。

LEITZ PHONE 3/50mm相当/プログラムオート(1/2,500秒、F1.9、−0.7EV)/ISO 50

「LEITZ LOOKS」モードだとブライトフレームではなくフル画面での撮影になる。コントラストの高いモノクロームの描写が気に入った。

LEITZ PHONE 3/28mm相当/プログラムオート(1/1,800秒、F1.9、±0.0EV)/ISO 50

セカンドのノクチを長年愛用していたのでどうしても「NOCTILUX 50mm」を多用してしまう。が、ボケがおかしくなるシーンが多々あったのが残念である。そういうときは「可変絞り」で少し絞ってやるといい。

LEITZ PHONE 3/50mm相当/プログラムオート(1/800秒、F1.9、±0.0EV)/ISO 50

何気ないシーンも露出をアンダー目にするといい雰囲気に撮れた。何よりも「Leitz」ロゴが同時記録されると何となくいい感じに?

LEITZ PHONE 3/50mm相当/プログラムオート(1/500秒、F1.9、−1.16EV)/ISO 50

「LEITZ PHONE 3」はやはり「LEITZ LOOKS」で楽しむ端末だと感じた。RAWやノーマルモードでの撮影ではベース機とおそらくあまり差はないと予想されるからだ。せっかくならばこの「LEITZ LOOKS」で好みのフィルターをチョイスして撮影を楽しみたい。

LEITZ PHONE 3/28mm相当/プログラムオート(1/170秒、F1.9、±0.0EV)/ISO 50

まとめ

「LEITZ PHONE 3」はライカファンが持つスマートフォンとしてよくできていると思う。以前発売されていた2台のモデルより着実に独特の世界観を深めることに成功していると感じた。

外観も「Q3」風のルックスになり高級感を増している。付属のレンズキャップやカバーも相変わらずの仕上げで好感が持てた。

「LEITZ LOOKS」に荒削りな部分が散見されたが、ファームウェアのアップデートで解決されれば文句はない。

1966年神奈川県生まれ。新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。雑誌、広告、Web、ストックフォト、ムービー、執筆、セミナー、コンサルティングなどで活躍中。有限会社サスラウ代表。著書にはiPhoneで撮影した写真集「iPhonegrapherー写真を撮り、歩き続けるための80の言葉(雷鳥社)」「iPhone フォトグラフィックメソッド(翔泳社)」などがある。公式サイト:http://www.sasurau.com