新製品レビュー

キヤノン EOS R50

EOS Rシステム最軽量のエントリーモデル 充実した全自動モードをチェック

3月に発売されたキヤノンの「EOS R50」は、APS-Cサイズセンサーを搭載したミラーレスカメラ。大口径RFマウントを採用する「EOS Rシリーズ」の、エントリーモデルになります。

キヤノンのエントリーモデルと言えば「Kiss」を連想するところで、実際に現行機種として「EOS Kiss M2」や「EOS Kiss X10」がラインナップされていますが、本機には「Kiss」の名がありません。それでも本機は、実質的に「Kiss」とみなしてまったく問題ないくらい、親しみやすく高性能なEOS Rシリーズの最新エントリーモデルとして仕上がっています。

RFマウントに最新のAPS-Cイメージセンサーを搭載

前述の通り、本機「EOS R50」はAPS-Cサイズセンサーを搭載したミラーレスカメラです。

大きなRFマウントにAPS-Cサイズセンサー。非常に余裕を感じます

有効画素数は約2,420万画素と一般的ですが、画像エンジンには最新の「DIGIC X」が採用されていますので、他のエントリーモデルと比べると画質的に大きな優位性があります。ここは最新モデルとしての強味でもありますし、径の大きなRFマウントにフルサイズよりは小さなAPS-Cサイズセンサーを搭載しているという、光学的な余裕によるものでもあります。

キットレンズ「RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM」との組み合わせ。ボディがホワイトカラーの場合、レンズはシルバーカラーが用意されます

実際に試写した結果を確認すると、画面の隅々まで安定した解像感が得られており、とても高画質なカメラであることが分かります。もちろん、こうした特性を活かしたキットレンズの性能によるところも大いにあると思います。

EOS R50/RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM/21mm/絞り優先AE(F8.0、1/50秒、±0EV)/ISO 100/WB:オート

設定できる常用最高感度は、エントリークラス中で最も高感度なISO 32000となっています。

ISO 32000で撮影した画像は、さすがに大伸ばしのプリントにはきついものがありますが、小さめのプリントやSNSへの投稿程度なら問題なく使用できるレベルと感じました。

EOS R50/RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM/45mm/絞り優先AE(F8.0、1/40秒、+0.3EV)/ISO 32000/WB:オート

徹底した小型軽量と気軽に使える優れた操作性

エントリークラスほど小型・軽量であることを求められるものだと思います。

「EOS R50」のサイズは、高さ×幅×奥行・質量は、約85.5×116.3×68.8mm・約329g(本体のみ・ブラックカラーは約328g)となっています。

これは同じエントリークラスのデジタル一眼レフカメラ「EOS Kiss X10i」「EOS Kiss X10」「EOS Kiss X90」はもちろんのこと、ミラーレスカメラの「EOS Kiss M2」よりも軽いです。

サイズ的には「EOS Kiss M2」よりほんの少しだけ大きいけどほぼ同じといったところで、RFマウントを採用していながらここまで軽く小さいのであれば、小型軽量化を求められるエントリークラス機として合格と言えるのではないでしょうか。

ダブルズームキットの望遠ズーム「RF-S55-210mm F5-7.1 IS STM」との組み合わせ。ボディカラーがホワイトでもレンズはブラックになります

シャッターボタンを押しやすいキヤノンならではのスプーンカットは本機でも健在。「EOS Kiss M2」よりも上位EOSの操作性に近づいており、上位機種と同時に使っても違和感は少ないと思います。

モードダイヤル周辺のボタン・スイッチ類の配列も、上位EOSに準拠していて使いやすい。ボタン類の種類が少なかったり、リアダイヤルが省略されていたりする辺りはKiss的ですが、シンプルな分、割り切った使い方ができるところがエントリークラスの逆に良いところなのではと思います。

最新EOSと同じく、マルチアクセサリーシューが採用されました。信頼性が向上しており、高速データ通信や電源供給が可能になっていますが、上位EOSと異なっているのは従来型の接点が非搭載となっている点。キヤノン純正の対応機器なら問題なく通信できるものの、接点を必要とする社外品の使用はできません。特に汎用のストロボを使いたいという場合には注意が必要になります。

繊細なマルチアクセサリーの接点を保護するために、専用のシューカバーが付属します。ボディカラーに合わせた色のシューカバーが付属するなど、こうした点はとても丁寧です。

手動ポップアップ式の内蔵ストロボを搭載しています。ガイドナンバーは約6で、充電時間は約5秒となっています。気軽な撮影ではあると意外に便利な内蔵ストロボですので、省略せずに搭載してくれたのは嬉しいところです。

ファインダーは約236万ドットと小型軽量なミラーレスカメラとしては標準的。倍率は……公表されていないのですが正直言って大きくはありません。ですがフィルム時代から「Kiss」のファインダーを見慣れていると、十分に実用的だと思います。ここはEVFを採用するミラーレスカメラの良いところで、液晶モニターしかない機種と比べれば結構大きなアドバンテージです。

背面モニターはバリアングル式。ワイド3.0型、約162万ドットですので、こちらも小型軽量なミラーレスカメラとしては標準的な仕様と言ったところでしょう。ただし、タッチ操作が行いやすいので、背面モニター主体での撮影が多いエントリーモデルのカメラとしては十分な性能だと思います。

高度な撮影機能もカメラ任せで大丈夫

エントリークラスということで、初心者がなるべく使い方に迷わないように親切な工夫が各所に施されています。それぞれの機能の効果が分かりやすいように図と説明を表示してくれるビジュアルガイドもそのひとつ。

「EOS R50」は絞り優先AEやマニュアル露出での撮影もできますが、どちらかというとカメラ任せの全自動モードが得意なカメラです。

なかでも「シーンインテリジェントオート」中の「アドバンスA+」は、難しい撮影条件でもシャッターを押すだけで、カメラが自動的に条件を判別して複雑な撮影処理をこなしてくれるという高度な全自動モード。

「明暗差のあるシーン」「暗いシーン」「深度を深くしたいシーン」などを自動判別して、ピントの位置や明るさを変えながら連続撮影し、これまたカメラ内で自動的に合成することで、より見栄えの良い写真を撮ることができます。

EOS R50/RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM/23mm/プログラムAE(F5.6、1/320秒、±0EV)/ISO 100/WB:オート

「明暗差のあるシーン」です。カメラが自動的に明るさを変えながら連続撮影を行い、自動的に合成処理をしてくれます。いわゆるHDR撮影と同じだと思いますが、白とびを抑えつつ、黒つぶれも軽減してくれるので、逆光時の人物撮影などに便利です。

EOS R50/RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM/18mm/プログラムAE(F4.5、1/20秒、±0EV)/ISO 640/WB:オート

「暗いシーン」です。暗所で連続撮影した画像を合成していることから「マルチショットノイズ低減」機能と同等の機能なのではないかと思いますが、カメラが自動判別して実行してくれるため、わざわざ自分で設定する必要がありません。夜景などでもノイズの少ない綺麗な写真が撮れます。

EOS R50/RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM/18mm/プログラムAE(F8.0、1/80秒、±0EV)/ISO 100/WB:オート

「深度を深くしたいシーン」です。近距離撮影時に作動することが多かったです。被写界深度が浅くなりがちなシーンで、ピント位置を変えながら連続撮影し自動合成する、いわゆる被写界深度合成をしているのだと思います。ネイチャーやテーブルフォトなどで被写体をハッキリと写すことができます。

「クリエイティブアシスト」はKissシリーズにも搭載されていた撮影機能のひとつですが、今回新たに追加された「アドバンスA+」のポイントは、シーンをカメラが自動的に判別して、自動的に最適な機能を作動させてくれるところ。作動するときは「シーン判別アイコン」が強調されるので、いま何が起こっているのかを知ることができますが、特に気にしなくてもより見栄えのする綺麗な写真が撮れるところが大きな特徴になっています。

動画撮影も分かりやすく設定できます

「EOS R50」で記録できる動画モードの最大は「4K 30p」(3,840×2,160)。

実質6Kで記録して4Kにリサイズする「6Kオーバーサンプリングプロセッシング」を採用した、クロップなしの4K30p動画ですので、「EOS Kiss M2」に比べて高画質な映像を記録することができます。

動画撮影モード時もビジュアルガイドが丁寧にカメラの使い方を教えてくれます。「レビュー用動画」なんて項目があるあたり、いまの動画撮影の要望によく応えていて親切ですね。

作例とともに

キヤノン独自の「デュアルピクセルCMOS AF II」と、拡大・細分化されたAFエリアによって、小型軽量なエントリークラスのカメラとは思えないほどAFは速く快適です。被写体検出アルゴリズムも性能が向上しており、被写体のピントを合わせたいところを正確に追従し続けてくれました。

EOS R50/RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM/45mm/オートブラケット(F6.3、1/100秒、±0EV)/ISO 1600/WB:オート

上位EOSと同じように、被写体を自動的に検出し分ける「自動」モードを搭載しているのも嬉しいところ。

「クリエイティブフィルター」ももちろん搭載しています。キミガヨランがちょっと印象的な造形で生育していましたので、荒いイメージで陰影を強調する「ラフモノクロ」を選んで撮影してみました。

EOS R50/RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM/45mm/(F5.6、1/120秒、±0EV)/ISO 320/WB:オート

背面モニターを引き出し、ローアングルでタンポポにとまったミツバチを撮影。どうということもない写真ですが、小さくて軽い「EOS R50」だからこそこんな写真も気軽に撮る気になります。ダブルズームキットの「RF-S55-210mm F5-7.1 IS STM」も、望遠レンズとは思えない軽さで写りが良いところがまた良かったです。

EOS R50/RF-S55-210mm F5-7.1 IS STM/210mm/(F7.1、1/50秒、+0.3EV)/ISO 100/WB:オート

スナップ撮影にももってこいな「EOS R50」。スマートフォンと同じようにモニターでの操作がメインのカメラですが、快晴の日中で見づらかったためEVFを使って撮影しました。撮影条件によって撮影スタイルを選べるあたりは、エントリークラスと言っても、やはり本格的なミラーレスカメラなのだなと実感。

EOS R50/RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM/45mm/オートブラケット(F5.6、1/250秒、-0.7EV)/ISO 100/WB:オート

れっきとした「EOS Rシリーズ」の一員なわけですから、当然、上位クラスのEOSと同じく高画質な写真が撮れるわけです。今回は用意がなかったためやりませんでしたが、数多くラインナップされている他のRFレンズを使えば、さらに本格的な撮影だって可能です。ここはレンズ交換式カメラの良いところ。

EOS R50/RF-S55-210mm F5-7.1 IS STM/210mm/絞り優先AE(F8.0、1/160秒、±0EV)/ISO 100/WB:オート

まとめ

本機「EOS R50」は名前こそ「Kiss」ではありませんが、フィルム時代からいくつもの「EOS Kiss」を使ってきた経験から言わせてもらうと、間違いなく最高の出来の「EOS Kiss」になっていると思います。コンパクト性、初心者に優しい操作性、画質、AF性能、どれをとっても素晴らしく満足できます。

そして、本機が「EOS Rシリーズ」のカメラであるところがまた良い。すでに充実している「RFレンズ」のなかから目的にあったレンズを自由に交換できます。「EOS Kiss M2」はこれができないところが今となっては残念。

最初の一台として買ったユーザーが上位EOSにステップアップしたとしても、普段使い用として本機を残すのは賢い選択でしょう。すでに上位機種を所有しているユーザーが、最強に小型軽量なサブ機として本機を追加するのも上手い使い方だと思います。なんとも無駄のない名機です。

曽根原昇

(そねはら のぼる)信州大学大学院修了後に映像制作会社を経てフォトグラファーとして独立。2010年に関東に活動の場を移し雑誌・情報誌などの撮影を中心にカメラ誌等で執筆もしている。写真展に「イスタンブルの壁のなか」(オリンパスギャラリー)など。