新製品レビュー

HUAWEI Mate 20 Pro

超広角&トリプルカメラのシリーズ最上位モデル

HUAWEI Mate 20 Pro

中国Huaweiが発表したスマートフォン「HUAWEI Mate 20」シリーズ。独ライカカメラ社との協業によるカメラ機能に定評のあるMateシリーズの新製品で、新たに超広角レンズを加えたトリプルカメラとして生まれ変わっている。

製品発表会が行われたロンドンで、Huaweiから試用機材として最上位モデルの「HUAWEI Mate 20 Pro」が提供されたので、短期間ながら試用したファーストインプレッションをお届けしたい。

超広角レンズを搭載したトリプルカメラのMate 20 Pro

Mateシリーズは、同社のPシリーズと並ぶフラッグシップモデルに位置づけられている。どちらもライカと協業したカメラ機能を搭載したことで、スマートフォンカメラとしては独特の写りをした高画質カメラとしても人気を博している。

Pシリーズの最新モデルであるP20 Proでは、従来のカラーセンサーとモノクロセンサーの2つのカメラに加え、中望遠レンズを搭載したカメラを追加したトリプルカメラを採用していた。

本体背面。カメラが正方形に並ぶ独特のデザイン

このカラーセンサーとモノクロセンサーの組み合わせがPシリーズとMateシリーズ共通の特徴だったのだが、ここにきてMateシリーズはこの組み合わせを変更した。

Mate 20 Proで使われているカメラは、メインとなる27mm相当(35mm判換算時、以下同)の広角レンズを搭載した有効画素数4,000万画素カラーセンサーのカメラに、16mm相当レンズ・2,000万画素カラーセンサーのカメラ、80mm相当・800万画素のカラーセンサーのカメラ、という3つだ。

27mmと80mmという2つのカメラの画角は従来通りだが、新たに16mmという超広角レンズが追加されており、逆にモノクロセンサーが省かれてしまった。外観は4つのカメラが四角形に並んでいるように見えるが、1つはフラッシュとなっている。

レンズ表記も縦持ちを前提としているようだ。左上のフラッシュから時計回りに40MP・27mm F1.8、20MP・16mm F2.2、8MP・80mm F2.4(いずれも35mm判換算)のカメラが並ぶ

レンズは「VARIO-SUMMILUX-H 1:1.8-2.4/16-80 ASPH.」。レンズ銘としては光学5倍ズームという扱いになっているようだ。ただ、Huawei自身はメインの27mmに対して3倍の80mm、0.6倍の16mmという表現をしており、カメラのUIとしてもそのようになっている。

ちなみに、P20 Proは「VARIO-SUMMILUX-H 1:1.6-2.4/27-80 ASPH.」で、F値の数値も異なるが、これはモノクロカメラのレンズF値がF1.6だったからだ。Mate 20 Proではこれが省かれたため、カラーセンサー側のF1.8スタートという形になっている。

カメラを起動すると27mmで起動し、画角を変える場合は、画面上の「1x」をタッチすると「3x」(80mm)となり、もう一度タッチすると「5x」になる。これは、「ハイブリッドズーム」と呼ばれるズームで、恐らく中央切り出し方式のズームだろう。もう一度タッチすると「0.6倍」となり、16mm側のレンズが使われる仕組みだ。Huaweiは「(デジタルズーム併用で)16-270mmをカバーする」と話していたが、さすがに無理がある。

このズームボタンは上下にスライドさせればシームレスに画角を変えられるので、27mmからスライドさせて一気に16mmに移動させることは可能だが、Huaweiとしてはまずは望遠側に画角を変える、という考え方のようだ。センサーの解像度的に、27mmがメインであることは間違いないし、PシリーズとUIを統一しているという面もあるかもしれない。

27mmと80mmのカメラは、スペック的にはP20 Proと同等に見える。レンズ銘も変わっておらず、27mm側のセンサーサイズも同じ1/1.7型(80mm側は不明)であるため、恐らく同じセンサーやカメラを使っているのだろう(発表会場の説明員に聞いても分からなかった)。

これに2,000万画素センサーの超広角レンズを加えているわけだが、その意図はまったく不明ではある。もちろん、超広角レンズを搭載したことによる利便性の高さはいうまでもない。ただ、これまでモノクロセンサーとの組み合わせによる高画質をアピールしていたのだから、これを省いたことで単純に画質が低下する恐れがある。

Huawei側は、「ライカとの協業で画質は認定を受けている」といった説明をしており、また、「技術革新によって画質は維持している」とも話している。いっそのことフラッシュを省いて4カメラにしても良かったのでは、という気持ちもあるが、正方形にレンズを並べた関係上、合成が難しく、できたとしても時間が間に合わなかった、といった事情もあったかもしれない。

もしくは、Pシリーズはモノクロを維持し、Mateシリーズはカメラの利便性を高めるという方向での棲み分けを図るつもりなのかもしれない。開発期間の関係ということなら、来年以降のモデルで意図が分かりそうだ。

さて、いずれにしてもトリプルカメラだ。スペック的には超広角カメラが追加されただけだが、内部としてはSoC(システムオンチップ)がKirin 980という最新モデルに変更され、AI処理を高速に実行できるNPU(Neural Network Processing Unit)がデュアルになり、GPUも新しくなった。このあたりで画質の向上が図られている可能性はあるだろう。ISPについてのコメントは特にないが、改良が加わっている可能性もある。

画質は同等で利便性高く

前置きが長くなったが、実際のカメラ機能だ。使い方はP20 Proと変わりはない。試用したのはグローバルモデルなので、日本版P20 ProとはややUIが異なる面もあるが、基本的な部分は同等だ。

カメラのUIは従来通りだが、新しいボタンも追加されている。左上にあるのはHiVisionと呼ばれる、画像認識によるツールを起動するボタン。右側にある「1x」を押すたびに3倍、5倍、0.6倍の順番に画角が変わる。AIによるシーン認識はいくつか新しいものも増えているようだ。「曇り」「滝」「歴史的建造物」などが表示された。

メインは27mmレンズのカメラだが、解像度は10MPが標準となっている。これも従来通りで、デジタルズームやほかの画角との整合性のためだろう。ただ、撮影してみると、超広角レンズだけ20MPで撮影されているようだ。

Exifを見てみると、超広角レンズの実焦点距離は3.95mm。さらにメインの27mmレンズも実焦点距離は3.95mmとなっている。80mm(Exif上は81mm)の実焦点距離は2.4mm。センサーサイズが異なるためだろうが、ちょっと判断が難しい。

それはともかくとして、使い方としては通常のスマートフォンカメラと変わらない。AIによるシーン認識機能は従来通り搭載されていて「マスターAI」という表現になっているが、デフォルトではオフになっている。P20シリーズでもアップデートで途中からデフォルトがオフになったので、利用者からのフィードバックが多かったというのは想像に難くない。

特に、青空が顕著に青くなる「Huaweiブルー」や、文字を認識して四角形に切り取ろうとするといった独特の動きが嫌われたのかもしれない。ただ、今回テストしてみた限り、青空の表現はだいぶ大人しくなり、文書認識は動作しなくなっているようだ。

Mate 20 Proで撮影。かなりこってりしたブルーが落ち着いたものになっている。
こちらはP20 Proで撮影。

フィルムモードは従来通りで、標準、鮮明な色、ソフトな色の3種類が選択できる。標準の「写真」モードに加え、ビデオ、プロ、ポートレート、夜景、アパーチャの各モードも同様に搭載されている。

さらに「その他」からモノクロ、パノラマ、HDR、ARレンズといったカメラ機能が利用できる。新しいのは「ARレンズ」と「水中」の2モードだ。特に水中モードは、専用の防水ケースが用意されるほどの本気度だ。

基本的にはオートモードの「写真」、シャッタースピードやISO感度、ホワイトバランスなどを調整できる「プロ」の2つを使い分けることになるだろう。今回はモノクロセンサーが省かれてしまったが、「モノクロ」モードも用意されており、機能はP20 Proと同等だ。

P20 Proで定評のある「夜景」モードも従来通り搭載されている。連写画像を合成することで、手持ちでもブレなく夜景を撮影できるというもので、ISO感度を上げて手ブレを防ぐため、多少画像は荒れるし、絵画のような絵作りになる場合もあるが、合成によるノイズ低減も働いているようで、スマートフォンで撮影できる夜景画像としては破格の写りを見せる。

16mm相当という超広角レンズでの夜景モードは迫力がある
夜景モードのシャッタースピードはオートだと最大5秒まで上がるが、実際に5秒間シャッターを開いているのではなく、連写合成の時間が5秒間。手ブレしないで明るく撮れるので、暗い屋内の撮影にも向いている

オートモードでの写りは、スマートフォンカメラとして十分以上に高画質でよく写る。解像感も高く、モノクロセンサーなしでも一定レベルの画質を確保しているのは間違いないようだ。デジタル処理によって16mm側でも歪曲収差は抑えられており、すみずみまでよく解像する。

16mmでの作例。歪みもかなり補正しているようだ
同じ場所から27mmで。細部まで緻密な描写
こちらは80mmの作例。どの画角でも十分な写りをする
ハイブリッドズームで135mm相当。描写は甘くなるが、こうしたシーンでは十分実用的
さらに10倍のデジタルズームで270mm相当。縮小画像であれば使えそうだ

レンズとしては27mmがもっとも高画質のようだが、今回新搭載の16mmレンズも存外いい写りを見せる。多少、四隅の流れや色収差も見られるが、スペックを考えれば目くじらを立てるほどではないだろう。

ハイブリッドズームによる5倍(135mm相当)での画像はやや塗り絵のような印象もあって処理にわざとらしさがあるが、まあ、スマートフォンの画面で見たりSNSに投稿したりするレベルでは十分と言って良さそうだ。

モノクロでの画質については、三脚を使った詳細な比較をしていないので何とも言えないが、ダイナミックレンジにわずかに差が見られるようには感じられたが、思ったよりも差は少ないようだ。

モノクロモードで撮影。

従来通り、デジタルのボケ処理でF0.95まで選べるワイドアパチャー機能も搭載しているし、さらにボケの形をコントロールする機能も面白い。インカメラのHDR機能で背景を飛ばさずに顔を明るく撮影できる機能も便利だ。

ポートレートモードでの背景のコントロール機能。ボケの点光源をハート型にした。
背景の点光源ボケを渦巻きにした。
これは「うろこ」という表現だが、大口径レンズの口径食をシミュレーションをしている感じだろうか。
ここから3枚は、顔検出した被写体を認識して切り抜いた上で背景を置き換えるほか、光の当たり具合もシミュレートされていて面白い。
そのままインカメラで撮影すると背景が飛んでしまうようなシーンでも、HDRで撮影すれば背景も生かして撮影できる。

利便性という意味では、レンズ前2.5cmまで寄れるというスーパーマクロ機能も便利だ。レンズが超広角側に自動的に切り替わるようで画面上がちょっとばたつくが、至近まで寄れるのは便利だ。

オートモードの状態で、27mmの広角カメラを使って被写体に近寄ると、自動的にスーパーマクロモードになる。その状態で撮影するとExif上でのレンズの焦点距離は3.95mmで、画素数は16mmレンズの超広角カメラと同じ20MPになるため、レンズを切り替えているようだ。ただし、画面での倍率表記は「1x」のまま。

ということで、スペックとしてまとめると、ライカ認定のVARIO-SUMMILUX-H 1:1.8-2.4/16-80 ASPH.を搭載したカメラがMate 20 Proだ。カメラ機能では、「画質の向上」よりも「利便性の向上」を追求した結果、モノクロセンサーを省いても同等画質を目指しつつ、超広角レンズの便利さを追加した、という形だろう。画質だけを追求するという意味では残念だが、十分に写るカメラでもあり、超広角から中望遠までをカバーできることで、さらに便利になったカメラがMate 20 Proだ。

27mm相当で撮影。下の16mmと比べてこれだけ写る範囲が異なるので、さまざまなシーンで活躍できる。確かに、利便性という意味では大幅に向上している。
16mm相当で撮影。
Mate 20 Pro / 27mm相当 / 1/33秒 / F1.8 / ±0EV / ISO400
Mate 20 Pro / 27mm相当 / 1/340秒 / F1.8 / -1.0EV / ISO50
Mate 20 Pro / 27mm相当 / 1/737秒 / F1.8 / +1.0EV / ISO50
Mate 20 Pro / 16mm相当 / 1/694秒 / F2.2 / ±0EV / ISO50
Mate 20 Pro / 27mm相当 / 4秒 / F1.8 / ±0EV / ISO640
Mate 20 Pro / 27mm相当 / 1/120秒 / F1.8 / ±0EV / ISO125

小山安博

某インターネット媒体の編集者からライターに転身。無節操な興味に従ってデジカメ、ケータイ、音楽プレーヤー、コンピュータセキュリティなどといったジャンルをつまみ食い。軽くて小さいものにむやみに愛情を感じるタイプ。デジカメ、音楽プレーヤー、PC……たいてい何か新しいものを欲しがっている。