イベントレポート

写真家が語るカメラとしての魅力 トリプルカメラスマホ「HUAWEI P20 Pro」

ライカ×ファーウェイ共同セミナーで

イベント当日に登壇した2人。左から写真家の内田ユキオさん、ライカカメラジャパン株式会社マーケティング・リテール統括部の米山和久さん。

8月21日、ファーウェイ・ジャパンは、ライカカメラジャパンとともに共同セミナーを都内で開催した。HUAWEI P20 Proのカメラ機能を写真家の内田ユキオさんが解説した本セミナー。ここではその模様をお伝えする。

ライカカメラの歴史

前半はLeicaパートとして、ライカのカメラが歩んできた歴史が紹介された。スピーカーは、ライカカメラジャパン株式会社マーケティング・リテール統括部の米山和久さん。

そもそもライカの歴史は、1914年にオスカー・バルナックがウル・ライカを開発したことにはじまる。それは、35mm判フルサイズフォーマットの原点でもあった。写真家や著名人にも多くの愛用者を抱えていることが紹介され、ライカのカメラに対する精神として写真の本質とエッセンスとが脈々と受け継がれていることが、まず紹介された。

写真と人の関わりをデザインする

後半パートは、内田さんが登壇。熱狂的なライカユーザーとしての視点からみたP20 Proのカメラ性能が語られた。

内田さんのプレゼンは米山さんのパートを受け、カメラの発展とそのあゆみから始まる。

内田ユキオさん

初めに触れたように、ライカの歴史はウル・ライカで幕をあけた。そして、1954年に現在もレンジファインダーカメラの完成型とも称されるライカM3が誕生する。ライカカメラ社は黄金期を迎えるが、しかしそれは他のカメラメーカーにとっても1つの岐路となる出来事でもあった。

ライカM3は他のカメラメーカーの追随を許さないほどの完成度を誇り、それ故にレンジファインダー機の開発を断念した、他のカメラメーカーはこぞって一眼レフカメラの開発に転向。後の趨勢からわかる通り、時代は一眼レフカメラを選んだ、という逸話が紹介された。

しかしながら今、ミラーレスカメラの台頭でその一眼レフカメラも岐路に立たされている。そう語る内田さんは、カメラの発展の歴史をあらためて振り返り、小さなフィルムを大きく引き伸ばして見られるようにするという発想が、カメラの小型化につながっていったのだという。

当日のプレゼンテーション資料より(撮影:内田ユキオ)

小型のカメラが誕生したことで、外にカメラを持ち出すことが可能になった。それは、チューブ入りの絵の具が生まれたことで印象派の画家が戸外で絵画を描きやすくなったのと同様、ひとつの画期的な出来事であったのだ。

「ライカは写真家を外に誘ってくれた」。そう内田さんは続ける。

色がきちんと定義されたカメラ

試用にあたり、日記を書くようにしてP20 Proを持ち歩いたという内田さん。さまざまな利用シーンが想定されているマートフォンであるだけに「タフ」に使うことができたとして、「大雨のときでも、気兼ねなく撮影できた」という。

いくつかのスライドでP20 Proで撮影された作品が紹介されたが、どの作品もほぼカメラ任せで撮影したものだという。

1枚目の作品。画像にノイズが発生しないことで緑がきれいに写ること、マゼンタの色味をきれいに使っているとの評があり、色がしっかり定義されたカメラだと称賛する。

当日のプレゼンテーション資料より(撮影:内田ユキオ)

次の作品はミックス光のもとで撮影されたもの。複雑に光が入り混じった状況だったが、これもカメラ任せで、特別な技術は使っていないという。それでも、画像が汚くならないのはAIの搭載が功を奏しているため。

当日のプレゼンテーション資料より(撮影:内田ユキオ)

こうしたミックス光下での撮影の場合、撮影者には画面内の輝度差や、場合によっては主役が不在となることなど、様々な条件を考えて工夫することが求められる。そしてさらに、構図や露出といった技術も必要だ。

しかしP20 Proの場合、AIによる状況認識が働くため、撮影者は構図だけに専念することができるという。作品を撮るために必要なほとんどのことを、カメラ側がクリアしてくれるため、純粋に構図を調整できるようになる。そして、自分自身がそのシーンの何に心動かされたのかを考えるのだという。それは、カメラの理想形であり、今後のデジタルカメラに向けた願いでもあるのだ、内田さんは語る。

撮るのが難しい被写体にも

日常生活で常に持ち歩いているからこそ、撮れる写真がある。そして、これまでデジタルカメラが苦手としていた領域で、ようやく撮影できるようになってきた被写体にもP20 Proはしっかりと対応するという。

そうしたシーンの例として、炎と水の表現がある。ゆらめく炎の色や花びらについた水滴の表現について、スマートフォンで撮影したとは説明されなければわからないほどのクオリティーに仕上がるという。

当日のプレゼンテーション資料より(撮影:内田ユキオ)

当日のプレゼンテーション資料より(撮影:内田ユキオ)

水族館も難しいシーンの1つ。写真写りの良さは撮ってみなければ分からず、魚は動体予測がしづらい被写体だ。中でもクラゲは、分厚いガラス越しでの撮影となるほか、ミックス光で露出まわりの設定も難しい。内田さんが撮影結果を確認している横で、しっかりとしたカメラ機材で四苦八苦していた人から、「うそ……」という声が漏れ聞こえたというエピソードも紹介した。

当日のプレゼンテーション資料より(撮影:内田ユキオ)

当日のプレゼンテーション資料より(撮影:内田ユキオ)

人を緊張させないカメラ

人との出会いの記憶を、ぜひ写真に残していってほしいと語る内田さん。もっとポートレイト撮影を楽しんでほしいと話す。

小型のP20 Proは、人に向けても緊張感を与えないため、人物撮影だけでなく子どもやペットの撮影にも最適。夜の街の複雑なミックス光であってもカメラ任せでしっかりと撮影することができると、シーン認識の強さを強調されていた。

肌の色再現の良さも、P20 Proの特徴の1つ。「ワイドアパーチャモード」や「プロモード」とあいまって撮影シーンの幅は広い。

当日のプレゼンテーション資料より(撮影:内田ユキオ モデル:野口菜菜)

当日のプレゼンテーション資料より(撮影:内田ユキオ モデル:野口菜菜)

トリプルカメラの使い分けは?

3つのアウトカメラを搭載したP20 Pro。内田さんは中間画角のズームはいっさい使っていないという。広角端は歪みがみられず、テレ端の画質も高いそうだ。

また、画づくりに関しては、色味はソフトかつ鮮明であるとして、ライカに通じるものがあるという。もちろん、スマートフォンとしての利用シーンがふまえられており、記憶色寄りのチューニングになっているのではないか、と感想を述べつつ、それでも一般的なスマートフォンの画づくりに比べれば地味目の調整になっているとのこと。地味目ながらも深みのあるトーンが再現されており、ぎりぎりのところで階調が残るチューニングとなているのではないか、という感想を聞くことができた。

レンズには「VARIO-SUMMILUX-H 1:1.6-2.4/27-80 ASPH.」の銘がつけられており、画づくり同様に、ライカは相当高い基準値を設けて開発を行ったのではないかとコメント。コストに関する妥協がみられないと、画づくりを含めたレンズ性能の高さを評した。

本誌:宮澤孝周