新製品レビュー

LUMIX GH5(静止画編)

スチルカメラとしてもしっかり進化 色再現性も向上

GHシリーズはLUMIXのミラーレス機の中でフラッグシップの位置にあるカメラ。LUMIX GH5は2014年4月に発売されたLUMIX GH4の後継機となるモデルだ。3年の月日を経て様々な部分が改良されている。

GHシリーズは「動画に強いモデル」の印象が先行しているが、実は静止画撮影の性能も飛躍的に進化している。

デザイン

本体の質量は約725g(バッテリーと記録メディアを含む)。GH4の約560g(同)とくらべるとズッシリと重くなっている。ボディも一回り大きくなっており、GH4ユーザーであれば「大きい」と感じると思う。

ただ、ホールド感は非常によくなっている。手の大きな人でもストレスなく使えるはずだ。また、別売のバッテリーグリップDMW-BGGH5を装着することも可能。さらにボディは大きくなるが、人物撮影などで縦位置の撮影が多い読者は使用すると良いだろう。

マイクロフォーサーズのメリットの1つはボディサイズを小さくできることでもあるが、GH5のように本格的に使い倒すタイプのカメラでは、少々大きくなっても使いやすさやホールド感を優先した方が良いと筆者は思っている。

ボディには軽量で耐久性に優れたマグネシウム合金フレームを採用しており、堅牢性に優れている。触った感じも一切手抜きを感じられない作りの良さが伺える。

もちろん防塵・防滴設計なので悪天候などでの撮影も安心だ。また、耐低温設計により-10度まで耐える点もポイント。当たり前の事であるが、防塵・防滴に対応したレンズを装着することを忘れないでいただきたい。

ボタン類

上面右側には操作系が集中している。モードダイヤル、電源、WBボタン、ISOボタン、露出補正ボタン、シャッターボタン、動画ボタン、前ダイヤルがある。

どのボタンも押しやすく操作しやすい。WBボタン、ISOボタン、露出補正ボタンは迷わないように高さや突起をつけてあり、慣れれば見なくても操作できる。

上面左側には、ドライブモードダイヤルがある。連写やセルフタイマー、6Kフォト、インターバル撮影などもここで選択する。

背面右側には多くのボタンやダイヤルがある。フォーカスモードレバーや新搭載のジョイスティック。多くのファンクションボタン。後ダイヤル、DISPボタン、AE・AFロックボタンなどだ。

ジョイスティックを備える

背面の左側にはFn5(ファンクションボタン)と再生ボタンがある。Fn5は、デフォルトではLVFと背面モニターの切換として使える。

撮像素子

レンズ交換式のLUMIXシリーズでLUMIX GX8に次いで2機種目となる2,000万画素越えのセンサーを搭載。本機に搭載されるのは有効2,033万画素のLive MOSセンサーで、GH4の1,605万画素に比べて画素数は約25%もアップしている。

さらに、2,033万画素のセンサーとしては始めてのローパスフィルターレスとなった。それにより、レンズの良さをグッと引き出せるようになっている。

画像処理エンジンには新開発のヴィーナスエンジンを採用。処理スピードにも余裕があり自然な色表現や階調表現を実現している。高感度性能に関しても高精度マルチプロセスNRによりディテールを残しながらノイズも制御している。

その結果、高感度撮影時でも高い解像感を実現。常用感度はISO200~ISO25600まで選択可能。実際に使用して感じたことは、色作りが今までのLUMIXとはひと味違うという印象。

色再現性が飛躍的によくなり、透明感も感じられる。画にメリハリがあり透明感が感じられる。クリアでヌケのよい色表現により、夕景や青空の表現も好印象だ。

そのため、風景、人物、花などを撮影しても色の作りの良さに驚かされるはずだ。静止画の画作りはかなり優秀だと言えるだろう。

高感度性能は個人的にはISO1600から、シーンによってはISO6400くらいまでは実用レベル。街撮りであれば高感度でもあまり気になることはない。人物などを撮影するとISO1600でも陰影のざらつきが気になるかもしれない。とは言え、高感度性能もGH4に比べ飛躍的に向上していると言えるだろう。

AF

進化した空間認識AFは、今までのLUMIXでは感じられなかったほど高速かつ高精度なAFを実現してくれた。空間認識AFはピント位置の異なる複数のライブビュー画像から空間を認識し、被写体までの距離情報を瞬時に算出、一気に合焦領域までピント合わせを行うAF制御だ。

色や被写体の動きなども検出してくれるので、動き物もストレスなく撮影できるようになっている。GH5でAFの性能を引き出すには、240fpsの処理速度に対応したレンズを使うと良いだろう。

また、測距点はGH4の49点から一気に225点になり画面の広い範囲を高密度にカバーしている。ボディも大きくなり、フォーカスエリアも増えているので、画面をタッチしてフォーカスエリアを変更するよりも、新搭載のジョイスティックを使うことで効率よくフォーカスエリアの選択や移動ができるようになっている。

測距点

さらにAFカスタム設定を搭載している点もポイント。シーンに応じて設定できる4つのプリセットが用意してある。さらに、ベースのプリセットを任意でカスタマイズできる。カスタマイズではAF追従感度やAFエリア切換感度、被写体の動きなどを細かく設定できるようになっている。動き物を撮影する方はこれらの設定を変更することで、より効率よく撮影できるはずだ。

連写

連写性能もアップしており、AF追従時、GH4の約7コマ/秒に対して約9コマ/秒を実現。AF追従無しであれば約12コマ/秒でも撮影可能だ。

また、バッファメモリーの大容量化により600枚以上(JPEG、UHS-II、U3対応SDカード使用時)の連続撮影も可能となっている。実際に飛行機撮影を行い連写撮影を行ったが、途中で止まったり、AFが極端に外れることは一切なかった。

下の作例は、高速連写で撮影した飛行機の1コマ。白い被写体でもしっかりと追従してくれて、ピント合わせもばっちり。飛行機の窓など細かな部分までしっかりと表現できている。

LUMIX GH5 / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm/F4-6.3 ASPH. / POWER O.I.S. / 1/1,000秒 / F7 / 0EV / ISO200 / シャッター優先AE / 400mm

6K/4Kフォト

GH5では同社が力を入れている4Kフォトも進化。ついに4Kを超して6Kフォトの撮影が可能になった。

4Kフォトでは約800万画素だったが、6Kフォトでは約1,800万画素にアップしている。GH4の静止画の画素数が約1,600万画素だったので、それよりも約200万画素も多い。

それによりディテールの表現力のアップに加え、A1相当までのプリントが可能になっている。6Kフォトのフレームレートは30fpsとなる。

6Kフォトの作例。LUMIX GH5 / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm/F4-6.3 ASPH. / POWER O.I.S. / 1/1,600秒 / F8 / +0.3EV / ISO800 / 250mm

GH5は6Kに加え4Kフォトの撮影もできる。GH4と同様の30fpsに加えて、60fpsも可能になっている。これは、被写体の一瞬の動きをより多くのフレームで捉えることができるということ。鳥の羽ばたきなど画素数が800万画素で十分な場合で、より多くのフレーム数が必要な場合に使用すると良いだろう。

4Kフォトの作例。LUMIX GH5 / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm/F4-6.3 ASPH. / POWER O.I.S. / 1/2,000秒 / F10 / +0.3EV / ISO1600 / 167mm

6K/4Kフォトモードには引き続き3つのモードがあり、「6K連写/4K連写」(シャッターボタンを押している間だけ連写撮影する)、「6K連写/4K連写(S/S)」(シャッターボタンを1度押した後、指を離しても録画する。もう1度、シャッターボタンを押すと撮影終了する)、「6Kプリ連写/4Kプリ連写」(シャッターボタンを押した瞬間の前1秒、後1秒の計2秒を撮影する便利なモード)から選択可能だ。

6K/4Kフォトは動画として記録して、後から切り出すので決定的瞬間を捉えやすい。6K/4Kフォトは、必ずJPEGへの切り出しが必要。今までは1コマずつの切り出しだったが、GH5では最長で5秒分の画像を一括して切り出すことが可能になった。

また、電子シャッターの宿命でもあるローリングシャッター歪みを前後のコマを合成することで軽減できる機能も搭載している。

手ブレ補正

GH5には定評のあるボディ内手ブレ補正を採用。5軸補正タイプで、最大5段分の補正が可能だ。実際に効きもよく、低速シャッタースピードで夜景撮影や街スナップも楽々こなせる。

さらに、ボディ側の手ブレ補正に加え、レンズ側の手ブレ補正も使う「Dual I.S.2」にも対応。その結果、広角側だけではなく、望遠側でも的確に補正することが可能となった。LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm / F4.0-6.3 ASPH. / POWER O.I.S.といった超望遠レンズも安心して使える。

ファインダー

EVFには高精細な368万ドットの有機ELファインダーを採用。有機ELの高コントラストによりしっかりと被写体を確認できる。ファインダー倍率も0.76倍と大きく、アイポイントは21mmと長いため、眼鏡を掛けていてもケラれることもなく視認性も高い。タイムラグも少なく、ストレスは最小限だ。

液晶モニター

液晶モニターはLUMIX初となるRGBW対応のモニターを搭載。輝度が高く視認性が高くなっている。サイズは3.2型で162万ドット。フリーアングルモニターなので使い勝手もよい。ローポジションやハイポジションでの撮影も楽々行える。

記録メディアスロット

GH5には2つのSDカードスロットが搭載されている。両スロット共にUHS-I/II対応している。スロットは順次記録、バックアップ記録、振り分け記録に対応している。

バッテリー

GH5ではGH4やGH3で使用していたバッテリーDMW-BLF19を採用している。GHシリーズを歴代使っているユーザーにはありがたいはずだ。撮影可能枚数は液晶モニター撮影で410枚程度、ファインダー撮影で400枚程度となっている。

端子類

端子はUSB3.1のType-CとHDMI Type Aを搭載。HDMIはテレビなどと同じ大きな端子なので、ガッチリと取り付けできて安心だ。また、ヘッドホン端子とマイク端子を備えている。

シンクロ端子も搭載されているので、スタジオ用ストロボなどを発光させる際には役立つだろう。

無線機能

GH5ではWi-Fiに加え、Bluetoothを搭載している。Bluetoothを搭載したことで低電力での接続も簡単になっている。常時接続によりスムーズな連携が可能だ。Wi-Fiも2.4GHzと5GHzに対応しており混信耐性も強化されている。

無線機能の設定画面

作品

L.モノクロームを使いポートレート撮影。フィルムのような質感で、味のある表現を求めている方にはお薦めだ。

LUMIX GH5 / LEICA DG NOCTICRON 42.5mm/F1.2 ASPH. / POWER O.I.S. / 1/1,000秒 / F1.6 / +0.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / 43mm

ISO800で香港の街並みを撮影。高感度でもノイズ感は全く気にならない。明るい部分と暗部の表現にメリハリがあり、筆者のイメージ通りに撮影できた。

LUMIX GH5 / LEICA DG NOCTICRON 42.5mm/F1.2 ASPH. / POWER O.I.S. / 1/125秒 / F1.2 / -0.3EV / ISO800 / 絞り優先AE / 43mm

画面の外に太陽がある風景写真を撮影。半逆光のシーンでもダイナミックレンジに余裕が感じられる。空の明るい部分と手前の少し暗めの岩肌の表現力も高い。

LUMIX GH5 / LEICA DG VARIO-ELMARIT 8-18mm/F2.8-4 ASPH. / 1/400秒 / F5.6 / -0.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / 8mm

カウアイ島の灯台と海を撮影。クリアな描写が空のヌケをしっかりと表現できている。灯台のディテールもしっかりと描写している。

LUMIX GH5 / LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm/F2.8-4 ASPH. / POWER O.I.S. / 1/160秒 / F6.3 / -0.7EV / ISO200 / 絞り優先AE / 60mm

青々とした草の上に無造作に置いてあったフォークリフトの木製トレーを撮影。太陽が木に当たり木漏れ日になっていたが、ハイライトからシャドーまでしっかり表現できている。

LUMIX GH5 / LEICA DG VARIO-ELMARIT 8-18mm/F2.8-4 ASPH. / 1/250秒 / F4 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / 15mm

夕景を撮影。クリアでヌケのよい表現力は圧倒的。夕日の難しいグラデーションまでしっかりと表現できている。

LUMIX GH5 / LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm/F2.8-4 ASPH. / POWER O.I.S. / 1/640秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / 60mm

まとめ

様々なシーンで撮影をしてみて、GH5の静止画機能は大きくに向上していると感じた。色の表現も飛躍的に向上しているので、撮影者の思い通りになるはずだ。

設定によって高彩度、高コントラストの画作りも可能なので、SNSにアップしたい場合など撮影用途に合わせてフォトスタイルの調整などをして見るのも楽しい。

色々と紹介したが、気になる読者は是非実機を触って、本機の魅力を堪能していただきたい。動画機能については改めて紹介したいと思う。

モデル:高取祐司

上田晃司

1982年広島県呉市生まれ。米国サンフランシスコに留学し、写真と映像の勉強しながらテレビ番組、CM、ショートフィルムなどを制作。帰国後、写真家塙真一氏のアシスタントを経て、フリーランスのフォトグラファーとして活動開始。人物を中心に撮影し、ライフワークとして世界中の街や風景を撮影している。現在は、カメラ誌やWebに寄稿している。