交換レンズレビュー

SG-image AF 25mm F1.8

ビビッドなフォーカスリング印象的 スナップ向きの単焦点レンズ

「SG-image AF 25mm F1.8」は、APS-Cサイズ対応の単焦点レンズです。25mm(35mm判換算約37.5mm)という画角に、開放F1.8の明るさを備え、パンケーキレンズと呼んでも差し支えないコンパクトな金属鏡筒が特徴となっています。

今回は富士フイルムXマウント用を試用しましたが、ソニーEマウント用もラインアップされています。Amazonでの価格は2万2,250円です。

外観・仕様

焦点距離は25mmですが、APS-Cサイズ用のため、35mm判換算での焦点距離は約37.5mm相当となります。

外形寸法は約φ72×32mm。開放F値がF1.8と比較的大口径ながらコンパクトにまとめられています。そのため携行性にも優れ、日常的な持ち歩きにも適しています。

鏡筒は金属製で、外観の質感はしっかりとしています。質量は約145gと軽量で、ボディに装着してもバランスよく扱うことができます。

今回試用した個体はフォーカスリングの色がオレンジでしたが、バリエーションとしてレッド、オレンジ、シルバー、ブラックもあります。

操作性

レンズ本体にはフォーカスリングのみが備わり、ボタンやスイッチ類は一切なく、非常にシンプルな仕様となっています。そのためフォーカスモードの切り換えや絞り値の設定はカメラ側で行う必要がありますが、スナップ撮影などではレンズ側の操作部を頻繁に操作する場面はそれほど多くないため、かえって気軽に使える印象です。

金属製の独特なレンズフードが付属します。俗に言うフジツボ型の要素を取り入れた角型デザインで、堅牢な金属製という点はカメラファンにとって魅力的です。有害光を抑制する機能はもちろん、外観も精悍で、常時装着しておきたくなる存在感があります。

作例

本レンズはステッピングモーターによる静粛かつ高精度なAFも特徴です。ピントを合わせたい距離に合焦し、迷いの少ない動作を見せてくれます。日常のスナップでも快適に使える印象です。最短撮影距離は30cmと標準的ですが、小物撮影やテーブルフォトには十分対応でき、近接描写も実用的です。駆動音が小さいため、動画撮影にも向いているようです。

富士フイルム X-H2S/SG-image AF 25mm F1.8/絞り優先AE(1/400秒、F2.8、+0.3EV)/ISO 800

37.5mm相当という焦点距離は、35mmよりわずかに広く、50mmほど窮屈ではない絶妙な画角です。富士フイルムのレンズ付きフィルム「写ルンです」が採用している画角に近く、多くの人にとって馴染みやすい視野といえるでしょう。普段使いのスナップでは自然に構図がまとまり、被写体との距離感もつかみやすいため、安心して使える画角だと感じました。

富士フイルム X-H2S/SG-image AF 25mm F1.8/絞り優先AE(1/125秒、F2.8、+1EV)/ISO 160

F4まで絞っても画面四隅にはわずかな像の乱れが残りますが、通常の撮影では大きな問題にはなりません。コンパクトで軽量という利点は携行性に優れ、スナップ撮影などの用途で快適です。高屈折率レンズ3枚を含む5群7枚の光学設計は、価格を考慮すれば十分納得できる描写性能を備えており、日常的な常用レンズとして安心して持ち歩ける存在といえるでしょう。

富士フイルム X-H2S/SG-image AF 25mm F1.8/絞り優先AE(1/50秒、F4.0、+0.7EV)/ISO 160

まとめ

本レンズはAPS-Cフォーマットにおいて標準域に近い焦点距離をカバーしつつ、開放F1.8の明るさと軽快なサイズを両立しています。ステッピングモーターによる静粛かつ高精度なAFは、スナップや動画撮影でも安心して使える実用性を備えています。

描写面では開放付近で周辺部にわずかな像の乱れが残るものの、一般的な用途では大きな問題になることは少ないと思われ、F4前後まで絞れば比較的安定した画質が得られます。明るさを生かした背景の整理や違和感のない自然なボケ味もあり、価格を考慮すれば十分納得できる水準です。

金属鏡筒のコンパクトな外観や独特なレンズフードも所有欲を満たし、軽量で携行性に優れるため日常使いにも最適。中国製のリーズナブルなレンズながら、気軽に装着しつつ表現の幅を広げられる一本として、スナップを中心に幅広い撮影で活躍できるでしょう。

曽根原昇

(そねはら のぼる)信州大学大学院修了後に映像制作会社を経てフォトグラファーとして独立。2010年に関東に活動の場を移し雑誌・情報誌などの撮影を中心にカメラ誌等で執筆もしている。写真展に「イスタンブルの壁のなか」(オリンパスギャラリー)など。