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年末のヒヤリ体験…ポータブルSSDが突然認識不能に。800GBのデータ復旧に挑んだ記録

EaseUS Data Recovery Wizard

ストレージの容量表示が出ず、読込中のマークが出続ける。ストレージが突然読み込まなくなった

カメラ専門メディアの記者として、日頃から読者の皆様に「バックアップは2重化を」「データ管理は慎重に」と伝えている立場の筆者が、年末にまさかの大失態を犯してしまった。

「あれ、読み込まない……」。バックアップを取ろうとした瞬間、わずか3時間前まで正常だったポータブルSSDが突然認識不能に陥った。しかもカメラで記録したCFexpressカード内のデータは削除したあと——唯一の命綱が消えた瞬間だった。

普段から基本の大切さを説いている身でありながら、「急いでいた」「大丈夫だろう」という油断から手順を省略。その結果、800GBの撮影データが失われる事態に陥った。こんなミスは個人的に初めて。

幸いにもSサイズのJPEGは別に残っていたため「最悪、何とかなるだろう」という一縷の望みはあった。しかし、小さいサイズのデータでは用途が限られる。冷や汗が止まらなかった。

※本記事は筆者の実体験に基づくものです。今回はデータ復旧ソフトで復元できましたが、ストレージの故障状態や破損の度合いによっては、ソフトウェアでは復元できないケースもあります。物理的な障害が発生している場合は、専門のデータ復旧業者への依頼が必要となる場合があります。

事の発端は「急いでいた」という油断

今回使用していたのは、2025年10月に購入したばかりの大手メーカー製ポータブルSSD。使用期間はわずか2カ月程度で、800GBほどを使用していた段階でのトラブルだった。

撮影後に空港で、ポータブルSSDにメモリーカードからデータをコピー。データの転送完了を確認した後、CFexpressカード含めて返却する予定だったため、その場でカード内のデータを削除してしまった。

言い訳をすると、様々な要因が重なっていた。前夜のうちにコピー作業ができず、翌朝は機材返却の時間が迫っている。空港での搭乗時刻も気になる——こうした状況の中で、「とりあえずポータブルSSDにコピーすれば大丈夫」という判断をしてしまった。

搭乗口付近でポータブルSSDへデータをバックアップ。搭乗案内も始まり「急いでいた」ことが判断を鈍らせた

通常であれば、バックアップを取ってからメモリーカードを空にするのが鉄則。しかし疲労と焦りの中で、自分自身が説いてきた基本手順を省略してしまった。これが今回の失態の始まりだった。

北九州から羽田へ。機窓から見える富士山が美しかった。この時はまだ、その後の悪夢を知る由もなかった

帰宅して、ポータブルSSDからHDDへのバックアップをしようとすると、ポータブルSSDが認識しない。macOSでは何の表示も出ず、完全に無反応。Windowsに接続すると、ドライブとしては表示されるものの、クリックすることもできず、「フォーマットする必要があります」という絶望的なメッセージが現れた。

Windowsではドライブ表示はされるが、容量残量も表示もなく、クリックすると「フォーマットする必要があります」の文字。フォーマットすれば800GBのデータは完全に失われる

何度接続し直しても状況は変わらない。OS標準のディスク修復ツールを試してみたが、こちらも全く機能しなかった。

わずか3時間前まで正常に動作していたポータブルSSDが、突然読み出せなくなった。そして、カメラのCFexpressカードは既に空。データの所在は完全に失われた。

最後の望み「EaseUS Data Recovery Wizard」

途方に暮れたが、次の手段としてデータ復旧ソフトウェアの使用を検討した。いくつかの製品を実際に試してみた結果、「EaseUS Data Recovery Wizard」が最も使いやすく、操作もわかりやすかった。

最後の望みを託したEaseUS Data Recovery Wizard。無料版で2GBまで復元できるのが決め手となった

無料版もあるため、実際にデータが読み込めるかどうかを確認してから製品版を購入できる。しかも2GBまでは実際に復元を試すことができるため、本当に復旧できるのかを事前に確認できる安心感がある。もしここで読み込めなければ、専門のデータ復旧業者に依頼するしかない——そう覚悟を決めてソフトウェアを起動した。

無料版を起動し、認識しなかったSSDをスキャン。この時点では本当にデータが読み込めるのか半信半疑だった

すると、しっかりポータブルSSDを認識。見覚えのあるデータを読み込み始めた。スキャンには時間がかかったが、確かにファイルリストが表示されている。この時点で、データ復旧の可能性が見えてきた。

スキャンが開始された。進行状況を示すバーが少しずつ進んでいく。この数分間が長く感じられた
見覚えのあるファイル名が次々と表示される。「助かるかもしれない」——この瞬間、初めて希望が見えた

無料版での確認後、製品版の購入を決断。ライセンスは1カ月(9,790円)、1年(1万3,090円)、永久ライセンス(1万9,600円)の3種類がある。

とりあえず目の前のデータをどうにかしたいという緊急時には、1カ月ライセンスの存在は非常にありがたい。本格的な復旧作業に取りかかった。

約4時間の復旧作業、結果は「95%」

データの読み込みから保存まで、トータルで約4時間ほどを要した。といっても、基本的にはソフトウェアが自動的に処理を進めてくれるため、放置している間に作業が完了していた。

まず一部のファイルで復元を試みた。72.95GBのデータが正常に復元できることを確認
さらに別のファイル群でも復元テスト。251.61GB分のデータも問題なく復元された

復旧が完了すると、ソフトウェア上では「復元が完了しました」と表示された。しかし実際にファイルを確認してみると、一部のデータが破損していたり、開けないファイルが存在した。体感として、約95%のデータが正常に復元できたという印象だ。

驚いたのは、ファイル名やExifデータなどもそのまま保持されていた点だ。データ復旧というと、ファイル名が数字の羅列になったり、撮影情報が消えてしまうイメージが強かったが、今回はほぼ完全な状態で復元された。

それでも、最悪の事態「すべてのデータが失われる」事態は免れた。業務上必要な写真データはほぼすべて復旧できた。

ただし、繰り返しとなるが、今回は幸運にもデータ復旧ソフトで対応できるケースだった。ストレージの故障が物理的な障害の場合、ソフトウェアでは対応できず、専門業者への依頼が必要となる。また、論理的な障害であっても、上書きが進んでいたり、損傷が激しい場合は完全な復旧が困難なケースもある。

今回のケースから学んだこと

今回の経験から、改めてバックアップの重要性を痛感した。特に以下の点は、同じような失敗をしないための教訓として心に刻まれた。

バックアップは必ずその場で2重化すること

今回のように「1つのストレージに頼る」状態は極めて危険だ。通常通りPC本体にもバックアップを取ってからメモリーカードを空にしていれば、このような事態には陥らなかった。どんなに急いでいても、基本手順を省略してはいけない。

「大丈夫だろう」は禁物

「新しいSSDだから大丈夫」「これまで問題なかったから大丈夫」——こうした油断が命取りになる。ストレージは突然故障するものだという前提で行動すべきだった。

データ復旧ソフトの存在を知っておく

今回、EaseUS Data Recovery Wizardに救われた。無料版で確認してから製品版を購入できるシステムは、冷静な判断を助けてくれた。データ復旧ソフトの存在を知っているだけでも、いざという時の選択肢が広がる。

まとめ

はからずもEaseUS Data Recovery Wizardに救われた。有償の復元ソフトを使う機会はあまりなかったが、今回は非常に有用だった。

とはいえ、そもそも筆者の不注意から発生したこと。大切なデータを守るために、基本を徹底しよう。読者の皆様も同様のトラブルにご注意いただきたい。

本誌:佐藤拓