岡嶋和幸の「あとで買う」

1,697点目:写真を語り合うための新たなジャンルを提案

PhotoGenreLab『写真ジャンル論』

ネットショップのカートの中にある「あとで買う」には、様子見をしているなど気になるアイテムがたくさん入っています。この連載では、フォトライフに関連する製品を中心にその中身をお届けします。どのような物に興味を持ち、どのような視点で選んでいるのかなど、日々の物欲をお楽しみください。

PhotoGenreLab『写真ジャンル論』

本日は写真のジャンルの本です。私はポートレート、風景、夜景、動物、飛行機など被写体やシーン別の写真のことを「ジャンル写真」と呼んでいますが、本書で論じられているのはそれとは違うようです。

「好きな写真集や、最近見た写真展についての会話を耳にすることがほとんどない」「撮る文化は広がっても、見る文化が育っていない」という本書の概要で述べられている点も、私の周りの人たちには当てはまりませんが(少なくともフォトスクールや写真ゼミの受講生などはそうではないので)、「SNSで流れてくる無数の写真は、誰が撮ったかも知られず、ただ通り過ぎてしまう」という指摘はなるほどと思いました。

著者が音楽ジャンルや美術史を学びながら構築した、写真を新たに体系化する「EPT」(Expressive Photography Taxonomy:表現写真分類)には興味を覚えました。本書ではそれをもとに写真を7つのジャンルに分類していますが、表現スタイルなどで整理されたその方法はいろいろ参考になりそうです。

写真の見方が分からない人や、写真をもっと深く楽しみたい人にとってのヒントになるでしょう。写真史を学ぶきっかけにもなると思います。

販売価格は1,760円で、Kindle版もあります。

1967年福岡県生まれ。東京写真専門学校卒業。スタジオアシスタント、写真家助手を経てフリーランスとなる。作品発表のほか、セミナー講師やフォトコンテスト審査員など活動の範囲は多岐にわたる。写真集『ディングル』『風と土』のほか著書多数。写真展も数多く開催している。日本写真協会(PSJ)、日本作例写真家協会(JSPA)会員。カメラグランプリ選考委員。