交換レンズレビュー

XF23mmF2 R WR

小形軽量で綺麗なボケも楽しめる広角レンズ

FUJIFILM Xシリーズを愛用するカメラマンが今か今かと待っていた交換レンズがXF23mmF2 R WRだ。35mm判換算で35mm相当の画角は、FUJIFILM X-Proシリーズをはじめとしたストリートスナップ向けのカメラには最適な画角といえる。

しかし僕はこのようなレンズの登場はかなり先になるのでは、とも思っていた。というのも、Xシリーズには同じく35mm相当の単焦点レンズを備えたコンパクトでスマートなスナップカメラ「FUJIFILM X100シリーズ」がすでに存在し、交換レンズではXF23mmF1.4 Rが2013年に発売されているため、さらに35mm相当のレンズを発売するようには思えなかったからだ。

しかし2015年末に一筋の光が差した。XF35mmF2 R WRが登場したのだ。これによって軽量でコンパクトな“F2シリーズ”がスタートすることを想像できたのだ。そして待つこと約1年、2016年10月にF2シリーズ第2弾となる本レンズが発売された。

発売日:2016年10月
実勢価格:税込4万7,000円前後
マウント:富士フイルムX
最短撮影距離:0.22m
フィルター径:43mm
外形寸法:60×51.9mm
重量:約180g

デザインと操作性

本体サイズは最大径が60mm、全長が51.9mm、重さが約180g。デザインは前述のXF35mmF2 R WRと瓜二つ。全長が6mm長い分、ピントリングの幅が広がっているが、それ以外に外観上の差異は見受けられない。

35mmF2 R WR(左)との比較

またフィルター径も同じく43mmで、別売のスリット付きフード「LH-XF35-2」も共用できる。重さは35mm F2が約170gであり、10gの差しかない。

一方、同画角のXF23mmF1.4 Rは最大径72mm、全長63mm、重さ約300gであるところからも異なるキャラクターのレンズであることがよくわかると思う。

本レンズは見たとおり先細りのスタイルでとてもスタイリッシュなデザインだ。これはX-Pro2に装着した際に光学ファインダーのケラレを最小限に抑えるためで、実際に光学ファインダーを覗いてみても画面右下が少しケラレるだけだ。

X-Pro2の光学ファインダーで覗くと右下がレンズで少しケラレるが最小限に収まっている(付属レンズフード装着)

外装はピントリングにラバーを使用せず総金属仕上げで上質。またX-Pro2、X-T2と同じく防塵防滴、耐低温-10度仕様なので荒天時でも安心して撮影に集中できる。

レンズ駆動系は35mmF2と同じくインナーフォーカスのステッピングモーター式。像面位相差AF搭載機で使用することでAF-Cでもウォブリングの少ない高速で安定したAF動作を実感できる。動作音は野外ではまったく聞こえず、静かな室内でやっと聞こえる程度。ピントリングのトルクは適度な抵抗があり高級な仕上がりだ。

レンズのマウント側に搭載された絞りリングは1/3ステップのクリックがあり、F値は1段ごとに刻まれている。クリック感の印象としてはXF56mmF1.2 Rのように軽くなく、XF90mmF2 R LM WRのように重くもない、とても心地よいクリック感を実現していると感じた。

同梱のフードを装着したところ

作品

車の中でお行儀よくご主人の帰りを待つゴールデンレトリバーと目があった。前ボケはきらびやかで実に心地よい。

X-Pro2 / 1/5,400秒 / F2 / 0EV / +0.7EV / ISO400 / 絞り優先AE / 23mm

35mm相当の画角はスナップや風景撮影において、画面に入れたいものがたいてい収まる。背景のボケはなだらかでうるさくなく扱いやすい。

X-Pro2 / 1/60秒 / F2 / 0EV / ISO1600 / マニュアル露出 / 23mm(色かぶりをカメラ内RAW現像で補正)

民家の玄関照明に照らされた敷石。明るい開放F値を生かて夜も手持ちでスナップ撮影できるのが楽しい。

X-Pro2 / 1/60秒 / F2 / 0EV / ISO6400 / マニュアル露出 / 23mm

日没後、ビルの外壁に映したダブルスカイツリー。開放F値でも十分にシャープだが被写界深度を得るためにF2.8まで絞った。

X-Pro2 / 1/125秒 / F2.8 / 0EV / ISO6400 /マニュアル露出 / 23mm

X-Pro2の発色の良さと相まって、スッキリと爽やかにコントラストが出せるのが本レンズの特長だ。

X-Pro2 / 1/1,000秒 / F8 / +1.7EV / ISO800 / 絞り優先AE / 23mm

合掌造りの民家に干されていた干し柿のシルエットを狙った。形の良い光条を出すためにF16まで絞っている。逆光だが、気になるゴーストやフレアーは見られない。

X-Pro2 / 1/125秒 / F16 / -1EV / ISO2500 / 絞り優先AE / 23mm

整然と並ぶカラマツ林。F11まで絞り込むと画面の隅々まで極めてシャープに描写する。歪曲収差もほぼゼロで縦線がきちんと出ている。

X-T2 / 1/125秒 / F11 / -0.3EV / ISO640 / 絞り優先AE / 23mm

秋の夜空に浮かぶはくちょう座を捉えた。一段絞れば画面周辺部のコマ収差などもほとんど解消される。

X-T2 / 9秒 / F2.8 / +0.7EV / ISO3200 / 絞り優先AE / 23mm / ソフトフィルター使用

X-Pro2と同様に防塵防滴耐低温マイナス10度仕様なので、大雪の中での撮影でもまったく問題なく撮影を続けられた。

X-Pro2 / 1/250秒 / F11 / +1.3EV / ISO640 / 絞り優先AE / 23mm

開放F値、最短撮影距離付近で撮影した。最短撮影ではややソフトな描写になるので、シャープな描写を求めるときには1段ほど絞るとよいだろう。

X-T2 / 1/3,500秒 / F2 / +1EV / ISO800 / 絞り優先AE / 23mm

まとめ

35mm相当の画角が持つ表現の幅は無限だ。50mm相当と並んで万能レンズと言っていいだろう。XF23mmF2 R WRはどんな小さなバッグでも入れる場所に困らない極めて小さなレンズ鏡筒でありながらも、優れた光学性能と耐環境性能を持ち、さらにかわいらしくスタイリッシュなルックス。バッグに忍ばせておけばきっと幸せになれる1本だ。

今浦友喜

(いまうらゆうき) 1986年埼玉県生まれ。風景写真家。雑誌『風景写真』の編集を経てフリーランスになる。日本各地の自然風景、生き物の姿を精力的に撮影。雑誌への執筆や写真講師として活動している。

http://ganref.jp/m/yukimaeye