交換レンズレビュー
キヤノン RF35mm F1.4 L VCM
動画対応も充実 軽量化・高画質化を果たしたRF待望の大口径広角レンズ
2024年7月9日 07:00
キヤノンが単焦点レンズ「RF35mm F1.4 L VCM」を7月12日(金)に発売する。今回、短時間ながら試用する機会を得たので実写とともに使用感などをお伝えする。直販価格は税込25万3,000円だ。
軽量になりミラーレスカメラとのバランスが向上
EOS Rシリーズに対応するRFレンズの新レンズとなる。RFレンズの35mmはこれまで「RF35mm F1.8 MACRO IS STM」があったが、今回開放F1.4のタイプがLレンズのグレードで加わった。
”35mm F1.4“は焦点距離35mmでは代表的な大口径レンズとして各社が高性能品をリリースしており、人気も高い。同社では一眼レフカメラ用としては長らく「EF35mm F1.4L II USM」があり、RFレンズでもF1.4タイプが望まれていたところだと思う。
本レンズはいろいろと新しい点があり詳しくは発表会の記事を見て欲しいが、使っていて良かったのは小型で軽量ということだろう。EF35mm F1.4L II USMは約760g、全長105.5mmだったところを本レンズは約555g、全長99.3mmとしている。
フィルター径も72mmから67mmにサイズダウンしており全体的に一回り小さくなった。そして、サイズ以上にミラーレスカメラで使いやすい軽さになり、ボディとのバランスも良くなったと感じる。
EF/RFレンズで初めてとなるVCM(ボイスコイルモーター)によるフォーカスレンズ駆動とナノUSMによるフローティングレンズの駆動を組み合わせたということで、合焦はかなりスムーズで全く問題の無いものだった。
動画撮影も意識されており、アイリスリングを搭載している。録画中に滑らかに絞りを変えられるという機能で、リングにクリックは無い。なお、発売済みのボディにおいて静止画撮影時はリングで絞りを変更することはできないが、2024年6月以降に発売されるボディでは静止画でもアイリスリングが機能する。
絞りリングはマウント寄りに搭載。静止画撮影時はAポジションにしてボディから絞り値を設定する。Aポジションに固定するスイッチも備えている。
面白いところでは着脱式のリアフィルターホルダーも備えている。シートタイプのフィルターが入るので、フロントと合わせてダブルのフィルターワークというのも可能。着脱式なのは、使用しない場合は外してゴーストの発生が抑えられるようにしているためだ。
まとめ
一眼レフ時代はボディも重かったので、レンズもある程度の重量があった方がバランスが良かった面もあるが、ミラーレス時代になって軽くなったボディにはやはり軽いレンズが使いやすい。
”35mm F1.4”といえば大きく重いというイメージがあるが、本レンズは軽量化されたことで日常的に使いやすい機動性を備える。加えて、動画撮影も強く意識しており、新世代とも言える35mm F1.4のレンズと言えそうだ。
やはり開放絞りでの被写体が浮き出る感じなど、大口径レンズならではの点も見逃せない。それに、夕方や夜など暗くなってからの撮影にも大口径が威力を発揮する。
25万円オーバーだが、実はEF35mm F1.4L II USMの直販価格が税込29万1,500円なので多少買いやすくなっている点も見逃せない。コストがかかるBRレンズを使わずに高画質を達成できたためだが、RFユーザーにとって待望とも言える1本をぜひ試してみてほしい。