デジカメアイテム丼
ポートレートに非日常な演出を…手軽に使えるポータブル小型フォグマシン
Ulanzi FM01 FILMOG Ace
2024年1月10日 07:00
Ulanziが「FM01 FILMOG Ace ポータブル 小型フォグマシン」を2023年11月に発売した。税込価格が1万4,999円とフォグマシンとしては安価なことから話題になっているアイテムだ。そこで今回は、ポートレート撮影で実際に試してみた。
Ulanzi(ウランジ)と聞いてピンとこない方もいるかもしれない。2015年設立の中国メーカー深圳市优篮子科技のカメラアクセサリーブランドで、国内外のよく知られたブランドに比べると比較的新興勢であろう。三脚、バッグ、ライト、ケージ、マイク、スマホ関連アイテムなど広く展開している。高いコストパフォーマンスに加えてデザイン性も良く、日本でも最近知名度が上がっているようだ。
筆者も昨年、初めてのUlanzi製品として3,000円ほどのミニ三脚を購入した。今回の撮影でもバックライトのストロボを固定するためにこのミニ三脚を使用している。
すぐに出てくる使い勝手の良さ
フォグマシンは煙や霧を演出するための装置で、非日常的なイメージの撮影が可能になる。これまではいわゆるスモークマシンが使われていたと思うが、比較的大型でAC電源が必要であるなど使用のハードルが高かった。
最近になってハンディタイプのフォグマシンが登場してきているが、中でも本機は1万円台という価格と小型軽量な作りになっているのが大きな特徴だ。
付属の専用ケースに必要な物が収まるようになっており、持ち運びしやすい。本体は片手で持てるほどの大きさなので、使用時に特に苦労することはなかった。
バッテリーはリチウムイオン充電池の18650×2本。同梱されているのですぐに使える。USB Type-Cによる本体充電に対応している。
このフォグマシンは、フォグリキッドという専用の液体を加熱してフォグを出す仕組み。フォグリキッドは60mlが付属している。リキッドは植物性グリセリンが主成分で非毒性とのことだ。
フォグリキッドは容量8mlのチャンバーに入れてから本体にセットする。1回の充填でフル出力で10分ほどフォグを出せる。しっかりしたラバーのフタが付いており、リキッドが入った状態でも持ち運びは可能だった。使用後はチャンバーがかなり熱いので、補充は冷めてから行った方が安全だ。
なお記事執筆時点では、リキッドの単体販売は直販サイトに出ていなかった。今後追加されるかとは思うが、価格も不明である。
本体の操作部は外すとリモコンになる。本体下部に三脚穴もあるので、スタンドに付けるなどして離れた場所からフォグを出せる。操作としてはフォグの量(表示の上側)と風の量(表示の下側)を組み合わせて調節するイメージだ。
フォグを広範囲に拡散させたい場合は風量を強くし、逆に霧のような形で留まらせたい場合は風量を弱くすると良いようだ。今回はフォグ量を最大、風量を最小にして別の人に歩きながらフォグを蒔いてもらった。
吐出に関してはインタバールも可能。吐出時間とその間隔を設定して自動運転もできる。
フォグの効果で雰囲気のある写真に
今回はハウススタジオでストロボを使ったポートレートを撮影した。ストロボ(LEDでも)はこういったスモーク表現とは相性が良く、特に後方から照らすバックライトを使うとフォグ感が強調される。
バックライトはカラーフィルターを付けた小型のストロボ。フォグマシンにはウォームアップが必要なタイプもあるようだが、本機はボタンを押すとすぐにフォグが出てくるのも良いところ。
一方、メインのストロボを使用せず、バックライトのみでシルエット風に撮影するのも良かった。アイデア次第で様々な表現ができそうだ。
面白いところでは、付属のスポンジフィルターを使うとフォグがゆっくりと出てきて下に流れるようになる。テーブルフォトやフード撮影で活用できそうなアタッチメントとなっている。
フォグ自体は煙たいというものではなく、少し甘い香りが出るが不快な感じではなかった。
安くても実用性は高い
この金額で個人がフォグマシンを持てるというのは、少し前ならちょっと考えられなかったことだ。例えばコスプレ写真などでもフォグマシンはしばしば使われるが、多くはスタジオに備えてあったりレンタルする必要があったと思う。それをカメラバッグに入ってしまう大きさで実現しているのは画期的だ。
大型のスモークマシンほど吐出量はないので、画角の中に充満させるには1~2分動作させる必要があった。撮影者1人でも使えるが、可能ならフォグマシンを持ってくれる人が別にいると撮りやすいだろう。
そして風の影響を受けやすいので、屋外での使用は無風でないと難しそう。今回もエアコンが動作しているだけでそちらにフォグが吸い込まれてしまい、途中でエアコンを止めて撮影したほどだ。また、滞留のコントロールは難しく、ちょうど良い位置に良い量が来るようにと試行錯誤が結構必要だった。
なお煙を検知するタイプの火災報知器はその原理上、こうしたフォグにも反応する可能性はあるとみられる。そのため、使用場所の管理者にフォグマシンを使って良いかの確認は必要だろう。今回のスタジオにも事前にフォグマシンの使用を伝え、問題が無いことを確認している。
と、気をつける点もあるが「安い割りには結構使えるな」というのが正直な感想。撮れた写真はまさにフォグマシンを使ってこそのもの。今後「フォグ撮影」のブレイクを予感させるような撮影アイテムだった。
モデル:進藤もも