デジカメアイテム丼

バッファローの「極小」SSDにいよいよ1TB版が登場

SSD-PST1.0U3-BA

株式会社バッファローが、最小・最軽量をアピールするポータブルSSDシリーズ「SSD-PSTU3-BA」をご存知だろうか?

USBフラッシュメモリサイズのSSDで、同社史上最小(14.6×8×28mm)をうたう製品。USBポートに装着した際の飛び出し部分の長さは、約17mmと1円玉の直径よりも短い。また、重量は約4.5gと、1円玉5枚分よりも軽い。

SSD-PST1.0U3-BA

まさに「USBフラッシュメモリーのような」SSD

ラインアップは250GB(SSD-PST250U3-BA)、500GB(SSD-PST500U3-BA)、1TB(SSD-PST1.0U3-BA)の3種類。250GBと500GBモデルについては、9月上旬に発売済み。1TBモデルについては、11月下旬に発売された。

希望小売価格は、250GBが6,600円、500GBが1万円、1TBが1万8,800円となっている(いずれも税込)。

2.5インチサイズの内蔵SSD(1TB)が7,500円〜9,000円ぐらいの価格帯なので、割高感があるものの、USBフラッシュメモリーのようなサイズという大きなメリットを考えれば納得できる。

ノートPCに装着。見た目はSSDではなくUSBフラッシュメモリーのようだ

というのも、この手の製品は、挿しっぱなし運用を想定しているからだ。メーカーの推奨例としては、据え置き型ゲーム機やテレビ録画での利用を想定。特に、薄型TVの壁掛け時であっても、飛び出し部分が約17mmと短いため、そのまま利用できる可能性が高い。

では、これが作業用のノートPCだとどうだろうか? ケースなどに収納して持ち歩く場合、ピッタリサイズのケースを選ぶだろうから、いくら飛び出し部が約17mmと短くても、収納できないケースが考えられる。

ケースのサイズに余裕がない場合は、装着したままのノートPC運用は避けるべきだろう。しかし、飛び出し部が短いということは作業ノートPCにおいて、極めて有利に働くことも事実だ。

例えば、不慮の接触によるデータ破損。こういったものが防げる可能性が高い。所謂、2.5インチサイズのSSDを搭載するようなポータブルSSDの場合、ケーブルの先に本体があることから、落下や引っ張られるなどの不慮の接触によって、データ的なトラブルが発生しやすい。

これが、飛び出し部が約17mmのUSBフラッシュメモリータイプであれば、そういった事故が軽減できるというわけだ。

飛び出し部は100円玉より短い

なお、接続インターフェースは、USB 3.2(Gen 2)のUSB Type-Aを採用する。昨今のPC事情を考えれば、USB Type-Cに対応してもらいたいものだが、ゲーム機やテレビなどへの接続を考えたら、まだまだUSB Type-A形状が正しいのだろう。

ノートPCでの運用を考えても、接続口のサイズ的な意味で、USB Type-CよりもUSB Type-Aの方が大きく、安定した接続が可能だろう。なお、メーカーによると、USB Type-Aの採用には放熱を考慮した面もあるということだ。

また、本体は米国MIL規格「MIL-STD-810H 516.8 procedure IV」に準拠。同社では、試験サンプルを122cmの高さからすべての辺・面・角の合計26方向に落下させる試験を実施。試験サンプル5台以内で、26方向の落下すべてにおいて正常を確認しているという。

そういった意味でも、安心して利用できるポータブルSSDになっていると言えそうだ。

満足いく転送速度

公称での最大転送速度は、読み込み約600MB/秒、書き込み約500MB/秒となっている。

ベンチマークソフト「CrystalDiskMark」を使ってみると、データサイズが「1GiB」(GiB=ギビバイト。2進接頭辞)の時、シーケンシャルアクセス(SEQ)のリードとライトが約628MB/秒と約634MB/秒となっており、公称値よりも高い結果となった。ランダムアクセス(RND)もリードが約238MB/秒、ライトが約258MB/秒とまずまずの結果。

チェック環境

  • マザーボード:MPG Z390 GAMING PRO CARBON
  • OS:Windows 10 Pro 22H2
  • CPU:Intel Core i9-9900K CPU @ 3.60GHz
  • メモリ:64GB
  • 接続端子:USB 3.1 Gen2 Type-A
  • 利用ソフト:ベンチマークソフト「CrystalDiskMark」、ディスクユーティリティソフト「CrystalDiskInfo」
ベンチマークソフト「CrystalDiskMark」を使用したベンチマーク結果(データサイズは1GiB)

その後、データサイズを「4GiB」「8GiB」「16GiB」と試したが、さほど数値に変化はみられなかった。

データサイズ「4GiB」時のベンチマーク結果
データサイズ「8GiB」時のベンチマーク結果
データサイズ「16GiB」時のベンチマーク結果

しかし、データサイズを「32GiB」「64GiB」にした時、著しい性能の低下がみられた。

データサイズ「32GiB」時では、シーケンシャルアクセスでリードが約178MB/秒、ライトが約580MB/秒。ランダムアクセスではリードが約133MB/秒、ライトが約160MB/秒と大幅に性能低下していることがわかる。

データサイズ「32GiB」時のベンチマーク結果
データサイズ「64GiB」時のベンチマーク結果

発売前の貸出機であることを前提に話すと、本製品をUSBポートに挿しっぱなしにした場合(起動後6時間程度)、温度が60度を前後していた。この状態で負荷をかけた結果、79度まで上昇。こうしたこともあり、熱対策のためのいわゆるサーマルスロットリングが発動したと考えられる。

長時間利用&高負荷のせいか、温度が79度まで上昇していた

同社では、外付けSSDの自己診断機能「S.M.A.R.T.」(Self-Monitoring, Analysis and Reporting Technology)情報をクラウドに蓄積し、SSDの健康状態を把握する故障予測サービス「みまもり合図」を提供しており、同製品も対応であるため、製品の異常をいち早く知ることができるというのは安心ポイントだろう。

さらに、ファイルコピー高速化アプリ「CopyBooster」(Windows)も提供しており、データのコピー時間の短縮が期待できる。

本体そのものが極端に高速性を特徴とするものではないが、こうしたサービス・ソフトウェアに対応することで、より使い勝手が良くなっている印象だ。

まとめ

「SSD-PSTU3-BA」は、一見するとUSBフラッシュメモリにしかみえないサイズのポータブルSSDだ。

飛び出し部が約17mmと短いため、拡張性のないノートPC向けに、ストレージの増設といった運用も考慮できるだろう。

むしろ、作業用ストレージとして、屋外ではノートPC、屋内ではデスクトップPCといったように複数のPC間で使い回す、本質的なポータブルSSDとしての運用も大ありだ。

欲を言えば、「USB 3.2 Gen2x2」(最大転送速度:20Gb/秒)対応だと嬉しいが、あまりコストをかけると、それはそれで購入しにくくなるため、良い案配なのだろう。

ともあれ、これだけ小型でハンドリングしやすい製品は歓迎だ。持ち運び用に端子キャップなどがあればもっと嬉しいが、装着しっぱなしを考えればなくてもいいのかな? どうなんでしょう?

飯塚直

(いいづか なお)パソコン誌&カメラ誌を中心に編集・執筆活動を行なうフリーランスエディター。DTP誌出身ということもあり、商業用途で使われる大判プリンタから家庭用のインクジェット複合機までの幅広いプリンタ群、スキャナ、デジタルカメラなどのイメージング機器を得意とする。