デジカメアイテム丼
あの“左手デバイス”がより小型に…「Loupedeck Live S」
Lightroomで使い勝手を試す
2023年3月28日 12:00
Loupedeckの最小最安モデル
2月1日に一般販売が開始された左手デバイス「Loupedeck Live S」の実機をお借りすることができたので、簡単ながら紹介したい。価格は税込2万9,700円となっている。
Loupedeck(ループデック)シリーズは、クリエイティブ系ソフトの操作を効率化するためのコントローラーだ。現行機種としては比較的大型の「Loupedeck+」、カスタマイズ性が高い「Loupedeck CT」、小型にまとめた「Loupedeck Live」の3機種があった。
今回そこに加わったのがLoupedeck Live Sで、Loupedeck Liveよりもさらに小型になり、省スペースかつ持ち運びもしやすくなっている。価格もLoupedeckシリーズで最も安価で、Loupedeck Liveの税込3万9,600円から約1万円安くなった。
本機はクラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」で出資が募られており(募集は終了)、約4,000人から7,600万円以上の支援を集めた。Loupedeckはフィンランドの会社で、2021年にはゲーミングデバイスを手がける米Razerから出資を受け、資本提携している。
スマホサイズのコンパクトさ
本体サイズは150×85.5×30mmで、厚みは別にするとスマホとほぼ同じ程度だ。本体のみの重量は168gとこれまたスマホと同じくらいである。
無線接続の機能は無く、PCとは常時USBで接続して使用する。本体にはUSB Type-C端子がある。同梱のケーブル(2m)は両端USB Type-Cだが、USB Type-Aへの変換コネクタが付属しているので、従来のPCでもすぐ使える。
Loupedeckといえば、ディスプレイ式のタッチパネルが特徴的だ。本気は横5、縦3の15のタッチパネルボタンがある。ここに機能を割り当てて実行するのが基本の使い方だ。タッチパネルを横にスライドすると次のページが出てくる。ページは1つのソフト当たり14まで増やせるので、210もの機能を割り当てられる。
加えて2つのダイヤルによって、調整項目のパラメーターを調節できる。これも自由に割り当てができる。ダイヤルはクリックストップがあるタイプなので、調整には使いやすい。また、プッシュもできるので調整値のリセットなどが可能となっている。
ほかには4つの押しボタンが両脇に配置されている。これも割り当て可能で、ソフト内のページ移動などに利用可能だ。
ショートカットより早い操作
今回はAdobe Lightroom Classicと組み合わせて試用してみた。個別のソフトに対応したLoupedeck上の割り当てセットをプラグインまたはプロファイルと呼ぶが、LightroomやPhotoshop用のプラグインは購入時からインストールされているので、すぐに使い始めることができる。
なお、本機にはダイナミックモードという仕組みがあって、アクティブになっているソフトを検出してそれに合わせたプラグインやプロファイルを自動切り替えできるようになっている。そのため例えばLightroomを起動すると、即座にLightroom用の割り当てが表示される。
Lightroomのライブラリページを出すと、タッチパネルにはレーティング、カラーラベル、各種フラグ、フィルターのON/OFF、削除などの表示が出る。初期設定ではレーティングは2と3だけだったりするが、よく使うレーティングにカスタマイズすることも可能だ。
Lightroomの場合、レーティングのショートカットキーは数字キーがそのまま適用されるので良いのだが、カラーラベルも数字キーになっており(レッド→6など)わかりにくい。そうしたところは本機を使うとタッチパネルに色で表示されるので使いやすくなる。
続いて現像ページに移る。この時左下の丸いボタンが初期設定ではライブラリページと現像ページのトグル切り替えになっているので、これを押すだけで良い。ちなみにキーボードだとCtrl+Alt+1とCtrl+Alt+2なので、なかなか押しにくい。
現像ページではご覧のような項目が表示される。仮想コピーもワンタップですぐに作られるし、前後の比較も簡単にできる。自動補正といった機能も画面でクリックすれば一発なのだが、Lightroomは表示が込み入っていて1つ1つの操作部が小さい。そのため、よく使う機能ならマウスで押すよりもLoupedeckのボタンを押した方が使いやすいだろう。
ここでLoupedeckの最下列に並んだアイコンはトリミングやマスクだが、これを押すとその機能の詳細な機能が表示される。ここでもトリミングならアスペクト比のボタンを押すだけで瞬時に切り取り枠に反映される。Lightroomのプルダウンから選ぶ手間が無いので早い。
機能は自在にカスタマイズ可能
初期設定で入っていない項目はLoupedeckの設定ソフトで追加できる。Lightroomの機能は一覧になって登録されているので、ここから選んでドラッグすれば良い。
筆者のPCにはLightroomの社外プラグインとしてDxOのPureRAW2がインストールされている。すると、選択項目にPureRAW2に画像を送る設定が出ていた。そこで、空いているスペースに割り当てたところ、ワンタップでPureRAW2に渡すことができた。これも通常はメニューをたどったりしないとならないので時短になる。
そして2つのダイヤルにも機能を割り当ててみた。ここでは上のダイヤルに露光量、下のダイヤルに色温度を設定した。いずれもプッシュするとリセットされる。露光量は1クリックで0.05動く。実際に試してみるとクリックストップの感触がよく、微妙な調整から大幅な調整まで思いの通りに補正できた。マウスでスライダーを動かすよりもかなり使いやすかった。
この露光量と色温度の割り当てはライブラリページでも有効なので、ライブラリで一覧しながらざっと明るさと色を調整するといった使い方もできる。
一方、ダイヤルでマウスポインターの位置の項目を動かしたい場合は、ダイヤルに「マウス移動 水平」を割り当てると良い。現像ページの各パラメーターのスライダーまたは数字のボックスをマウスでクリックしたままダイヤルを動かすと数値を変更できる。また、もう1つのダイヤルに「マウス移動 垂直」を割り当てると、トーンカーブやカラーグレーディングといった2次元の項目を縦横独立して動かすことも可能になる。
PC起動時の画面(メイン画面)は、よく使うソフトなどを登録してランチャーにしておくと便利だ。特定のURLをブラウザで開くといったこともできる。
高性能な左手デバイスの入門機
Loupedeckシリーズが気になっていた人も多いと思うが、従来は価格の高さや場所をとるという点でハードルが高かったように感じる。約3万円という価格をどう見るかはそれぞれだと思うが、比較的買いやすくなり「Loupedeckの入門機」と呼べる仕上がりになったのではないだろうか。
左手デバイスやミニキーボードは色々あるが、ディスプレイ式のキーでアイコンや機能名を表示してくれるのはありがたい。これが無いといちいちキーの割り当てを覚える必要があって効率が悪い。そして表示するテキストも日本語に対応している点も評価できる。
今回試した以外のクリエイティブソフトにも対応しているとのことであるし、Webブラウザや配信ソフトなどのコントロールも可能なので、1台あると幅広く活躍するのではないかと感じた。